六日目:チビ猫、デザインかぶりを心配する
チビはちいさなおててで、せっせとお絵かきをはじめました。
そもそも、ねこはあんまり、お絵かきをしないものですが……
だいじょうぶ。やる気になれば、できるのです!
けれど、しばらくかいてみたところで、はっと気が付きます。
あの子は大人気の歌姫さんです。
もしかしたら、べつのファンのひとも、ツリータワーをプレゼントするかもしれません。
そのときに、よくにたデザインだったら……。
きっとあの子も、そのファンのひとも、「えっ」とおどろいて、がっかりしてしまうことでしょう。
もちろん、いまだれかがひそかにつくっているもののカタチを、知る方法などないのですが……
せめて、いまわかるかぎりのものとは、かぶらないようにしたい。
『ただ、だれかのまねっこをして作っただけのプレゼント』なんて、思われるのはくやしすぎます。
それに、いろんなツリーハウスをみておいて参考にすれば、夢のツリータワーはよりすてきなものになることでしょう。
チビは、いろんなツリーハウスの絵や写真をさがしてみることにしました。
じっさいに建っているハウスの写真や、ちいさなおもちゃの写真。
いろんなタッチのイラストや、ゲームの画面。
なんと、ほんもののキャットタワーの写真もでてきます。
いろんな画像をみているうちに、チビのしっぽはるんるんと揺れだします。
あれいいなあ。このタワーであそんでみたい。
やっぱりブランコはゼッタイだよね。屋上では、ほしぞらも見れたらいいかも。
そうして一日ののち、チビは結論づけました。
だいじょぶ、きっと、かぶってない。
ようし、これで、いってみよう。
もしもつくってみてむりそうなら、直せばいいだけです。
チビはニコニコと、お絵かきのつづきにもどります。
そうしてできあがったのは、屋上つき、三階だての『大樹のタワー』の絵でした。
よこっちょにはブランコが。かくしとびらをぬけたうら手の小島には、ないしょのハンモックがふたつ、こかげでゆれています。
もちろん、コンテストで賞がもらえるような、りっぱな絵ではありません。
それでも、夢をいっぱいつめこんだその絵は、チビの目にはきらきらとかがやいてみえるのでした。
昨夕はちょっとだけ涼しく感じました。ありがたや^^
次回『間奏~日向、『まずは塊より始めよ』ってのは間違ってるってよ?』
どうぞ、お楽しみに!