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チビ猫、みっつの『おくりもの』をもらう

 ワールド公開の手つづきをおえたチビは、しばらくぼうっとしていました。

 ここまでがんばってきたことたちが、あふれるように、よみがえってきたのです。

 けれど『ぽんっ』とせなかをたたく、やさしいにくきゅうのかんしょくに、はっとわれにかえりました。


「チビ。

 よくぞりっぱにやりとげたにゃ。

 やくそくどおり、ワガハイが『かした』ご本は、きょうから正式に、チビのものにゃ。

 おめでとう、チビ。メリークリスマスにゃ!」


 ふりかえると、ばけねこさんがわらってます。

 ばけねこさんは、あの二冊のご本――ここまでずっと身近において、なんどもなんどもよみかえしてきたたからものです――のうえに、かわいいリボンをそっとかけて (というか、おいて)くれました。


 ほぼほぼ、もらえるのは確定のようなものでしたが……

 それでもこうしてみると、よろこびがむねにわきあがります。

 チビはピカピカのえがおで、ありがとう、とスリスリ。

 ばけねこさんも、ほかほかのえがおで、どういたしましてとスリスリ返しです。


 しばらくして、なかよしふたりのスリスリがひとだんらくすると、ヒロさんがニコニコと口をひらきます。


「僕からも、プレゼントがあるよ。

 このパソコンを、チビにあげる」

「ミャッ?!」


 おくられたのは、ちいさなこねこには大きすぎるほどの、ビッグプレゼント。

 なんと、いままでさぎょうをしてきたヒロさんのパソコンを、まるっとくれるというのです!


 チビはもうびっくり、おどろきの声を上げて、ヒロさんをみあげます。

 ヒロさんは『ほんとだよ』とてれた笑いをうかべて、こういいました。


「いまから別のパソコンにかんきょう作りなおすのも、ちょっとめんどうでしょ?

 僕はもう、あたらしいパソコンかったから、えんりょなくうけとって!」

「い……い、……いいのっ?」

「うん。

 チビはまた、すてきなワールドをつくるでしょ?

 そうやって使ってもらえれば、このパソコンも喜ぶよ」

「………………!」


 チビはもう、なんにもいえずに、ヒロさんにぽんっととびつきます。

 ヒロさんがひしっとチビをうけとめたそのとき、ピンポンとチャイムがなりました。


「あっと、もうこんな時間。

 ごめん、ちょっとだけまっててね。おきゃくさまをお通しするから。

 チビも、よくしってるふたりだよ」


 ヒロさんがいちどチビをおろして、いそいそとへやを出ていきます。

 まもなくもどってきたとき、ヒロさんのかたに、のっていたのは……


「え、……おとうさん、おかあさん!」


 なんと、チビのうみのおや。

 つまり、ねこのおとうさんと、おかあさんだったのでした!


「チビ! チビ! りっぱになって!!」

「チビ! まあ! あいたかったわ!!」


 ふたりがするっとすべりおりてくれば、ひさしぶりの、かぞくの再会です。

 ヒロさんとばけねこさん、そしてひらいたままの玄関からにょろっとはいってきたマリーさんは、そっと、おやゆびとしっぽを立てあうのでした。



 そうしてはじまるパーティーのしゅやくは、もちろんチビです。

 けれど、チビのために、とかざられたおせきにあんないされると、チビはいいました。


「みんな、ありがと。すっごく、ありがと。

 でも、いいの?

 チビ、みんなに、なんにもよういできてない。

 チビばっかりが、こんなにもらっちゃって……」

「チビはもう、いっぱい僕たちにくれたよ?」


 まずはヒロさんが、ニッコリ笑います。


「楽しいじかんを、いーっぱい。

 僕はテストプレーとかレポートとか、はじめてだったけど、毎日すっごく楽しかったよ」

「そうそ。

 ワガハイもチビとワールドつくるの、メッチャたのしかったにゃ!

 そりゃー、たま~にくろうもあったけど、それだってなんとかなったら、楽しいおもいでにゃ!」


 マリーさんも、さきっちょがふんわりくろい、ポイントのおててをかかげて、さんせいします。


「マリーさんもさんせいいっぴょー!

 ミーコのやつめ、うちかえってくるとまいんち楽しい楽しい言ってくるのにゃ。

 おかげでマリーさんもワールドづくりにはまっちゃってちょー楽しいにゃー!」


 つぎにくちをひらいたのは、チビのおかあさんです(おとうさんはもう泣いちゃって、ことばがでません)。


「おとうさんとおかあさんにとっては、チビが元気でいてくれたことだけで、じゅうぶんにプレゼントだわ。

 なのに、好きな子にじぶんでプレゼントをつくって、おくるまでになるなんて。……

 ヒロさん、ほんとうにありがとうございます。チビをこんなにも、りっぱに育ててくださって」

「いえいえ! こちらこそチビさんにいつも、いろいろと教えてもらうことばかりで……むしろ僕が育ててもらっているといいますか……!」


 おたがいあたまをさげあうふたり。

 そのよこで、チビのおとうさんはますます『ごうきゅう』しちゃいます。

 おもわずばけねこさんも『もらいなき』しかけた、そのとき。


「はーいはい、それじゃあそろそろたべようにゃー!

 われらのこころづくしのりょうりがさめてしまうにゃー!」


 ころあいをみはからったマリーさんが、ぽんぽんとにくきゅうをうって声を上げれば……

 チビのうみのおやとそだてのおやたちも「それじゃあ、いただきましょうか」と、わらいあいます。

 かくしてヒロさんのおうちでは、にんげんとねこたちによる、とびきりたのしいクリスマスパーティーが、まくをあけたのでした。



『こねこのチビのおくりもの~ストレイキャット・ツリータワーをつくろう!@Cluster World~』

おしまい!


チビへのみっつめのおくりものは、マリーさんたちがセッティングした、ご両親との再会でした^^


これにて、ちいさなこねこの『おくりものづくり』のものがたりは、おしまいです。

夕~夜くらいに、あとがきパートを投稿いたします。

どうぞ、よろしくお付き合いくださいませ!

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