前奏曲〜揺蕩う音の調和より〜
処女作になります。ぜひ、生暖かく見守っていただければ幸いです。
……リィィーーーーーン…!! ゴォォーーーーーーン…!!
……響いているのは遠く彼方で大気を揺らす鐘の音……
……それは週末を知らせる調べか……
……はたまた希望のハーモニーか……
「みんな、行こう。これが、僕たちの終楽章だ」
片手に持った煌めく棒から、オーラが立ち昇る。さぁ、準備万端。最高の演奏にしようじゃないか。お前たちの思い通りになんかさせない。この世から、調和と音楽を取り戻すために。
「覚悟! 魔王!!!」
戦場に流るるは無数の音色と色とりどりの光。
そう、これは、楽師たちと魔王の平和と音楽の物語…
……………………
毎日の日課のようになっている就寝どきの読み聞かせ。どこの家庭でもそう違いはなく、一番人気はこの楽師と魔王の物語である。
「おばあちゃん、今日はあの話、もう一回聞かせて!」
「またかい? 本当にこの物語が好きなんだねぇ。いいよ、今日はまた最初から読もうか」
「やったぁ!」
「さて、じゃあ……昔々、ある所で鐘の音が鳴り響いた……」
語られるは、この国では伝説として語り継がれている、楽師と魔王との物語……