別れと誕生。
〜序章〜
僕は、スター社の創設者を父に持ち、世界的に有名なピアニストの母を持っている。兄は、会社の後継者として期待されており、某有名大学の経営学部に通っている。
こんな理想的な家庭に生まれた僕は、世間一般に見ると憧れており、なりたいとも言われている。なに不自由なく生活していると思われているだろう。
しかし、現実はそんなにはうまくは行かない。
僕は、有能な父や母、兄を持っているが、何事においても才能がない。
毎日家では、無能だ。なぜこんな子を産んだのか。と罵られている。
日常的な暴力は当たり前。
それだけではなく、家族とは同じご飯を食べることもできない。
家では、地獄のような日々であった。
しかし、突如としてその日は起こった。
その日は大雨で、風も強くまさに嵐のような日だった。
僕は、自分の部屋にいたがその雨風の強さは伝わるくらいだった。
不意に、窓の方に目をやると。
白い何かが落ちていくのが見えた、その時部屋の電気が消えた。
なんだ?
あたりが真っ暗で何も見えない。
「だれかいるか!?」
返事はない。
懐中電灯を手に廊下へと駆け出す。
妙な雰囲気に不思議がりながら、一番大きい大広間へ向かう。
壁づたいに歩くが、上からなにか降ってきているのに気が付いた。
薔薇だ。
赤、青、黄色様々な色の薔薇が上から降ってきている。
懐中電灯で上を照らすと…
見知らぬ、仮面の男がいた。
「しごとですからねぇ。」
男は仮面をスッととった。
その男を見て驚愕し、記憶を失った。