キャラメイク〜職業と種族決定〜
翌日。
私は早速ゲームを始めようとしていた。
「えっと、これを被ってここを押して…わっ!」
いきなり視界が暗転した。思わず目を瞑ってしまう。
「ん…ここは?」
目を開けると不思議な空間が広がっていた。周りは真っ白なようで、灰色のような不思議な色をしている。
『ようこそquestworldonlineへ。早速ですが、キャラメイクを始めます。名前を入力してください。』
どこからか声が聞こえて、ハッとする。
そうか。最初のキャラメイクか…。名前はどうしようか。朝日だから…アサヒ?いや、そのままじゃダメか。なら…ユウヒ?なんかしっくりこないな…。朝の日、夕方の日、夜の月…ヨヅキ?なんかいいかも!
目の前に現れたボードに、『yozuki』と入力する。
『では、次にアバターを作成します。』
と声がして、目の前に私が現れる。目の前に私がいるって、なんか変な気分…。
アバターはどうしよっかな。あんまり変えなくていいかな。腰より少し上くらいの長さの髪を、肩にかかるくらいにして、黒をもっと濃くする。
身長は、もともと高めだから変えなくていいや。目の色は、ゲーム中に魔眼や種族特性で変わることもあるってホームページに書いてたし、こだわりもないから変えずにいよう。
で、決定、と…
『次に職業を選択してください。』
ついに来たか。あの9割制限された中から職業を選ぶ時が。
私は表示された職業一覧を見て私が選べる職業を探す。
えーっと、選べる戦闘系職業は…
・魔王
・魔剣使い
・魔女
・魔獣使
・暗殺者
・盗賊
不遇職ばっかだね!知ってた!
でも魔剣使いとかっていい職業なんじゃ…どんな職業だろう。
長押しで詳細がわかるんだっけ。
《魔剣使い・・・種族が悪魔じゃないと選べない。魔剣をゲットするまでどんな武器でも装備できない。》
はい、ただの地雷職。
魔法使い以外で職業に「魔」の文字がつくのは種族が悪魔じゃないとダメだった。
でも、盗賊もやだし…やっぱり暗殺者かなぁ。と言うかそれしか選択肢がないし…。
うん、暗殺者にしよう。別に暗殺者が嫌いなわけではないし。暗殺者の説明は…
《暗殺者・・・闇から気づかれないように敵を排除する。気付かれていない状態での暗殺や、夜や暗い場所での戦闘にプラス補正(小)がかかり、真正面からの勝負や、気付かれた状態での戦闘時にマイナス補正(小)がかかる。》
うん。まぁ大体予想通りかな。よし、暗殺者に決定、と…
『次に、種族を選択してください。』
来たな。最後の難関、種族選択。
私が選べる種族は…
・天使
・悪魔
・鬼人
・吸血鬼
・淫魔
・アルラウネ
・アラクネ
地雷の数が、やばい!
なに、淫魔って!アルラウネとかアラクネも!
はぁ。この中でまともなのは、天使と悪魔、鬼人と吸血鬼かな。一般的にまともかは微妙だけど。
うーん。暗殺者に合った種族はなんだろう。
天使は多分合ってない。正義と悪って感じだもん。
多分鬼人もパワースタイルだからだめ。
となると残るのは悪魔と吸血鬼だけど、吸血鬼の方がいいと思うんだよねぇ。だって吸血鬼の説明欄に書かれていた内容が、暗殺者にぴったりなんだもん。
《吸血鬼・・・定期的にプレイヤーの血(MP)を摂取することで成長する。夜の行動時にプラス補正(大)がかかり、昼の行動時にマイナス補正(大)がかかる。》
もうこれしかないでしょ。悪魔も条件的にはいいけど、吸血鬼の方が暗殺者と合っている。
それに、私は種族と職業で狙っていることがある。
それは、ユニークスキルだ。
ユニークスキルとは、特殊条件や特殊クエスト、隠しダンジョンなどに入らないと取得できない、特殊なスキルだ。
入手条件が厳しい代わりに、その効果は普通のスキルとは比べ物にならないくらい強い。
今までこのゲームについて調べていたときに発見したんだけど、ユニークスキル、種族と職業の組み合わせで取得できるものがあるっぽい。これにはたぶんまだみんな気づいていない。
調べていた時に見つけたことは、このゲーム内で上位に君臨しているトッププレイヤーの種族&職業、かなり特殊で他の誰もが選ばないようなもが多かった。
その人達の影響で選んだ人もいるけど、そういう人はその組み合わせの使いこなしにくさににすぐにやめてしまった。
だから、私の種族と職業はおそらくまだ誰も選んだことがないであろう暗殺者×吸血鬼にする。
よし、そうと決まれば、吸血鬼に決定!
『最後に初期スキルを3つ選択してください。』
初期スキルか。これは大事だね。
職業にあったものがまとめられているから見やすいね。
暗殺者のスキルは…
【隠密】
【暗器収納】
【空中機動】
【隠密】は見つかりにくくなるやつ。
【暗器収納】はいろんなところから暗器が出せたり、どこに仕舞えばいいかがわかるやつ。
【空中機動】は空中に足場を作ったり、空中を走ったりできるやつ。
めっちゃ便利そうだし楽しそう!この3つに決めた!
『ありがとうございます。それでは、それぞれの冒険をお楽しみください。』
その言葉とともに、また視界が暗転した。