おもうままに
※ピアノという記号のように弱音で読んで
バレンタインデーだ
※アンダンテという記号のように歩くくらいの速さで読んで
陰で待ち伏せした
※クレッシェンドという記号のように次第に強く読んで
人が来たけど違う人か
※デクレッシェンドという記号のように次第に弱くして読んで
仕切り直すとするか
※ダカーポという記号のようにまた頭から読んで〈ただし、次回は戻らなくていい〉
また人がやって来た
※スタッカートという記号のように1音1音切るように読んで
今度は先輩だろう
先輩の前に飛び出した
小さい声で好きと放った
※フォルテという記号のように強音で読んで
チョコを腕に押し付けた
※スラーという記号のように音と音を滑らかに繋げて読んで
先輩は僕も好きだと言った
※カンタービレという記号のように歌うように読んで
告白されて付き合うことになった