音暖香中学校生活初めてのお漏らし!?
女子中学生のお漏らしをテーマにした物語です。苦手な方はお控えください。
四月六日。まだ冬の寒さが残る春の日。二日前に新入生を迎えた市立天野川中学校には今日もいつも通り、全校生徒が登校してくる。
歩いて登校する生徒、家から距離がある生徒は自転車での投稿が許可されている。中には車で親に送迎してもらう生徒もいる。
部活のない一年生は朝練のため始業時間よりも早く登校してきた二・三年生に比べ、遅めの登校だ。
先輩たちが渋々部活の朝練を行っている時間帯に、のんびり登校してくる新入生の中にはもちろん、音暖香、水萌、咲の三人もいる。今日も三人は登校初日と同じく中学校生活への期待と不安を胸いっぱいに膨らませ、楽しそうに談笑しながら登校する。
まだ少し慣れないが思ったより小学校と変わらない雰囲気だからすぐに慣れそうだとか、あれこれ中学校についての話題で盛り上がる。
このようにこれから新たに始まる生活について語り合いながら、登校している新入生たちは音暖香たち以外にもたくさんいるだろう。
昨日は不安に押しつぶされ、元気のなかった音暖香も今日は昨日より幾分も気分がよさそうに見える。
昨日、中学校生活が幕を開け、中学生として学校で過ごした初日におもらしの危機にさらされなかったことで、少し音暖香の中で不安が小さくなったのだろう。まだまだ授業や、部活と初体験のことが山積みで緊張や不安に押しつぶされてしまう気持ちも多少はあるだろうが、音暖香にとっての一番の不安要素のおもらしを中学生活が始まってすぐに解消できたつもりでいるのだろう。
音暖香も中学生活に不安しか抱いていなかったわけではない。もちろん新たな友達や活動に、楽しみや希望の気持ちも抱いていた。
おもらしの不安が解消された今、そちらの気持ちの方が大きくなっているのだろう。
「今日から授業が始まるね。」
やはり三人の中で中心となって会話を進めるのは水萌だ。
「え~嫌だな~、私勉強苦手だからさ。」
咲が答える。
「私は中学校の授業楽しみ。」
と音暖香が口を開く。
「お?昨日はあんなに学校を嫌がってたのに、今日はやけにまえむきです
な~。」
水萌が言う通り今日の音暖香は少しでも中学校に慣れようという気持ちがあった。
「二人は良いよね。頭いいから……。」
「三人で勉強会とかしようよ!なんか中学生になったって感じがしてよく
ない?」
と、水萌が二人に提案する。
「確かに!私たちが教えてあげるから大丈夫だよ、咲。」
「じゃあ、勉強のことは二人に任せちゃおっかな?」
「うん!ミナと音暖香に任せて!」
「頼りにしてます!」
三人の中でこの話に決着がついたようだ。
すると今度は音暖香が話を切り出す。
「そう言えば、中学校って授業ごとに先生が変わるんだよね?」
「そうだね。うちのクラスの先生は理科が担当だって言ってたね。」
「どんな感じなんだろうね。」
三人は今度はこんなありきたりな話題で会話を弾ませる。
三人の通学時間は約四十分。なかなかの時間だ。住んでいる場所的にぎりぎり自転車通学を許可されていない地域なのだ。
おそらくこの中学校に徒歩で通っている生徒の中で最も長距離の通学路となるだろう。
そんな通学路も三人で楽しく会話をしていればすぐに学校に到着してしまう。
三人は学校に着き、昨日と同じように学校生活が始まった。
朝の予鈴が鳴り、担任の教師が教室に入ってくる。そして朝の会が始まる。昨日も体験した流れだ。
このまま昨日のように、何事もなく一日が、そして三年間が無難に過ぎていけばよい。誰もがそう願っていた。
しかし、この学校ではそんな平穏な日々は送れないということは過去のデータから誰もが知っていた。
再びこの学校の生徒たちにおもらしの危機が降り注ぐこととなることを。
※ ※ ※
午前の授業が終了し、給食を終えて昼休みに入る。
二日目になるとお互いに緊張が少し解け、休み時間は話し声などで少しにぎやかになってきた。また、午前の授業でまだお互いに慣れていない生徒たちに少しでも早く打ち解けてもらうべく、教員たちはグループ学習や、ペア活動を取り入れた授業を積極的に行ったことの効用ともいえるだろう。
音暖香、水萌、咲の三人は教室で相変わらず三人で会話を楽しんでいる。
「やっと、午前終わった~。」
咲が伸びをしながらつぶやく。
少しずつ学校生活に慣れてきたとはいえ、少なからず気を張って生活しているのは確かだった。
「咲疲れてるね~ミナは?」
「私はまだまだ元気だよ~!」
「授業も難しいんだもん。算数とかわからなかったし。」
咲が不満そうに言う。
その先の言葉の中に音暖香と水萌は気になるところがあるようだ。
「咲、今なんて?」
「ん?算数難しい……あっ。」
どうやら咲も気づいたようだ。
「算数じゃなくて数学ね。」
音暖香と水萌が口をそろえて言う。
中学入学当初に誰もが一度は間違えたことがある言葉だろう。咲もそのトラップに引っかかっていた。
「まあ、ミナも昨日間違えたけど……。」
水萌が恥ずかしそうに話す。
三人で笑っていると、咲が恥ずかしさから逃れるために唐突に話題を変える。
「そういえば、二人はしたことあるの?」
「?」
「するってなにを?」
音暖香と水萌の頭にクエスチョンマークが浮かぶ。
「察してよ、だいたいわかるでしょ?」
二人の頭の中がさらに混乱する。
(も~、察しがわるいな~。オナニーのことだよ。)
咲は幼稚園の時から認識せずともその快楽のとりこだった。この快楽の正体がオナニーというものなのだと知ったのはいたって最近のことだ。
咲は中学生になったら少しエッチな話題を友達と話したいと思っていたのだ。
「咲、やっぱり全然わかんないんだけど。」
音暖香が答える。
咲の我慢が切れ、小声で二人に答えを言う。
「オナニーのことだよ。」
(わたし、言っちゃった!なんか……興奮してきた。音暖香とミナ、いい反応してくれるかな?)
しかし咲の期待とは裏腹に二人の反応は薄かった。
「おなにー?」
「ミナ聞いたことない。」
「え?二人とも噓でしょ?本当に知らないの?」
(二人とも顔も赤くなってないし……これは本当に知らないパターンだ!)
咲は二人の反応を確認すると更なる発言をする。
「じゃあ、二人にいいこと教えてあげる。」
咲はここまで言うと小声になってづづける。
「お股に硬い物を当てると、大人になれるんだって。」
「ふ~ん、そうなんだ。」
水萌が興味なさそうに答える。
「まあ、今度やってみてよ。」
(これで二人とエッチな話題の話、できるようになるかな?)
咲は二人に少しの期待をしてこの話を終えることにした。
まだ純粋な音暖香と水萌には咲が一体何のことを言っているのか一切理解ができなかった。
しかし、咲の今の言葉は音暖香には確実に影響を与えていた。
(大人になれる……大人の女性……。)
身長が小さく幼い顔つきの音暖香はそんな自分の容姿に不満があった。もっとスラッとしたカッコイイ大人の女性に音暖香は憧れがあったのだ。
(大人になれるのかな?でも、お股に硬いものを当てるって……どういうことなんだろう?)
音暖香は先ほどの咲の話題に後ろ髪をひかれつつも次の話題へ進んだ。
そうこう話しているうちに、時間は過ぎて四十分間の昼休みの終わりが近づく。
すると音暖香ははあることを思い出した。
(そういえば、昼休み話に夢中でまだトイレ行ってなかったな。)
昼休みが始まってすぐに三人で集まって談笑が始まっていたため、長い昼休みの中で音暖香はまだトイレに立っていなかった。
ここで二人にトイレを申告して一年生用女子トイレに向かえばよかったのだが、音暖香はそうはしなかった。
普通の生徒でも昼休みには一度はトイレに立つことが自然だろう。しかし、今の音暖香の考えは違っていた。
(昨日は大丈夫だったし、一回くらいトイレに行く数を減らしても大丈夫か試してみよう。私ももう中学生だし、二人はまだ大丈夫そうだし。いつまでも二人にトイレに付き合ってもらうのも悪いから、私も成長しないと。)
音暖香の昨日の成功からくる自信と、自分を試そうというチャレンジ精神が今音暖香をトイレに立たせることをやめさせてしまったのだ。
※ ※ ※
間もなく五時間目の授業開始を告げる予鈴が学校中に響き渡る。その予鈴を合図に音暖香たち一年一組の授業も開始された。
音暖香たちが今から受ける授業は中学校生活初めての英語だ。
英語担当の教師が自己紹介や、これからの授業の流れなどの説明を始める。このような内容で授業は十分程度進んだ。
しかしその間、授業が始まって十分と経たないうちに音暖香は尿意を感じるようになっていた。
(やっぱりトイレに行っとけばよかったかな?でもまだ、そんなにしたくないし……。)
多少の尿意を感じるとは言え、まだ余裕のある音暖香。昨日お漏らしをしなかったという自信が音暖香を後押しするが、もともとトイレの近い音暖香、そう簡単に長時間の我慢をできるはずがない。
そのことはもう少し時間が過ぎてから音暖香も自覚することとなる。
※ ※ ※
数分後、先ほどまでは余裕だった音暖香の貯水タンクは、水位が七〇%ほどにもなっていた。授業終了まではまだ三〇分以上ある。
(何で……こんな急に!)
この急激な尿量の増加の原因に音暖香はまだ気づいていなかったが、考えてみれば簡単なことだ。
音暖香が最後にトイレに行ったのは、四時間目が終わり、給食が始まる前だった。それから給食時間、昼休みを合わせると約一時間。
昨日は神経質になって昼休みの開始時と終了間際、つまり昼休み中に二回トイレに立っていたが、今日、音暖香はトイレに行っていない。それに加えて給食で摂取した牛乳、そして温食の水分が尿に変換されていっているのだ。
昨日と比べてこの時点でトイレに行けている回数は二回もの差がある。我慢を強いられるのは当然の結果と言えるだろう。
そんなことに音暖香は気づかずに尿意に対抗している。
(また入学式の時みたいになっちゃう……、それとも今度は教室でお漏らし!?)
音暖香の体は落ち着きなくソワソワモジモジしている。膝はビッチリ合わせられ、手は机の上で強く握られている。
中学校生活初めての英語の授業中。初対面の教師の授業ともあって、まだふざける生徒もおらず皆集中して授業を受けている。
(まだ、三十分もある……でも、もう中学生だからこのぐらい我慢できないと……)
音暖香には授業中に教師に宣告し、トイレに行く許可をもらうという選択肢はなかった。
「もう自分は中学生なのだからこのぐらい我慢しなければならない」というプライドが彼女の頭を支配していた。音暖香にそのプライドが芽生えるときはいつも妹の友香の存在が大きかった。
知香は音暖香のようにおもらし体質ではなく、おねしょも音暖香よりも早く治った。それに加え、成績も小学生ながら優秀で委員会など、責任のある役割にも抜擢されることが多い。
そんな出来のいい妹に嫉妬してしまうことも過去に何度もあったが、知香はいつも音暖香のことを良き姉として慕ってくれる。
音暖香は友香のそんな期待を裏切ってはいけないと、知香の前では強がったりいいところを見せようとして無理をすることも多かった。その結果は失敗することも多々あったが知香の前では恥ずかしい姿を見せられないという音暖香なりの大きな荷物を小さな背中に抱えていたのだ。
今の音暖香の頭の中には知香のことがよぎる。
(中学生にもなっておもらしする姿なんて……見せられない。授業中にトイレに行くなんて、みっともないこともできないよ。)
かわいい妹に『私の姉は中学生にもなってトイレを我慢できません』という恥ずかしいラベルを貼るわけにはいかない。
しかし、現に音暖香の我慢の限界が刻々と近づいている。
先ほどまでは机の上で強く握られていた手も、今は膀胱に栓をする形で股間にあてがわれている。
さらに、ソワソワと落ち着きのない様子は明らかに先ほどよりも大きくなっている。
その様子に気づく人はいなかったが、後ろの席の咲は気づいていたようだ。
(音暖香またトイレ行きたいのかな?それともさっき知らないって言ってたけど、実はオナニーしてるとか?)
咲は一人妄想していた。
※ ※ ※
トイレを我慢している音暖香のことなどお構いなしに、授業は淡々と進んでいく。
中学校生活初回の英語の授業は英語で隣の席の人とお互いに自分の名前を伝えるという内容の物だった。
教科書に記載されている例文の名前の部分だけを変える簡単な内容だ。
教師が説明をした後に隣の席をくっつけてペアでの活動が始まる。
音暖香のペアは音暖香の通っていた喜多野宮小学校とは違う小学校から入学してきた松永 夏実だった。
友達からは『なつ』『なっちゃん』などと呼ばれている。コミュニケーション能力は高く、昨日から隣の席の音暖香に積極的に話しかけてくれて、内気な音暖香にとっては話しやすく、友達になりたいと思えるクラスメイトだった。
なので音暖香は昨日から頑張って話すようにしていたのだが、今の音暖香にそんな余裕などない。
「じゃあ、私からやるね。」
夏実が静かな音暖香を見てまずは自分の作った英文を音暖香に向かって話し出す。
しかし、切羽詰まった音暖香の頭には全く入ってこない。
(ごめん松永さん。今は私、無理なの。)
「グッドモーニング。アイム なつみ まつなが。」
夏実が中学一年生らしいつたない発音で英文を読みだす。
(おしっこ、行きたい。)
「……え~っと、コール ミー、なつ、プリーズ?………水谷さん?元気ないけどどうかしたの?」
「えっ!……いや、なんもないよ。ごめん。」
「本当?なんか顔赤いし、体調悪いんじゃない?」
「いや、大丈夫。」
音暖香は反射的に自分の尿意を誤魔化す返事をしてしまった。
本当は大丈夫なわけがなかったが、友達になれそうな人にトイレ行きたい、おしっこ出そうとは言えなかった。
夏実は音暖香の返事を聞くとすぐに授業に戻った。
「じゃあ、次は水谷さんの番だよ。」
「あっ、うん。」
音暖香は返事をするが、自分のノートを見て固まる。
今までトイレ我慢をしてたせいで、夏実に話す英文が作れていなかったのだ。
(はっ!まずい!どうしよう、どうしよう。)
「グッドモーニング。」
「グッドモーニング……え、っと~。」
(どうしよう、全然話聞いてなかったから何もわからない!)
「……?」
夏実が音暖香のことを不思議に思い音暖香が見つめるノートをのぞき込む。
「水谷さん、もしかしてわからなかったの?」
「え?いや……」
トイレに行きたくて授業の内容がわからないとは到底音暖香には言えなかった。
「ここはね、この部分に自分の名前を入れるんだよ。でこの単語はプリーズって読むんだって。」
夏実が音暖香に説明してくれる。
さすがにマンツーマンで教えてもらえば集中できていない音暖香でも理解ができた。
改めて音暖香が英文を読む。
「アイム ののか みずたに。コール ミー ののか。」
「OK!」
夏実が元気に答える。
そして夏実は変わった様子の音暖香の気持ちに薄々気づいていた。
「水谷さん、もしかして、トイレ?」
(ッ!ばっばれてる!)
「ち、違う、よ。」
「あはは。動揺しすぎだよ。そんなに隠さなくてもいいじゃん。」
音暖香は自分の顔が真っ赤になったのがわかった。
「トイレ行けば?私が先生に言ってあげよっか?」
「いや、大丈夫だよ。まだそんなに行きたくないし。」
「そう?じゃあ大丈夫か。」
夏実にばれたことで、先生に言ってくれるのではと少し期待した音暖香だったが、そのチャンスを自分で潰してしまった。まだ授業終了まで二〇分ある。
―――シュシュッ―――
音暖香は股の間から少しおしっこが出るのがわかった。
(やだ!まだ出ちゃダメだよ!)
授業終了まで残り時間半分を切ったところで音暖香の膀胱はいよいよ危険水位を超えようとしていた。
※ ※ ※
夏実とのベア学習が終わってから五分後、授業は次の段階へと進んでいた。残った授業の時間で簡単な単語をいくつか覚える時間になった。
音暖香の集中力はとっくに切れ、もはや単語を覚えることはできない。
それでも何とかクラスメイト全員が集中して単語を覚えている静かな教室の中で音暖香も単語を覚えようとする。
(アップルは……Pが二個だから……、お、おしっこ……、インターネットは、taじゃなくて、te……、うっ、お腹が……くるしいよ~。)
膀胱の中にたまった乙女の恥ずかしい小水に気を取られながらなんとか単語を覚えようと努力する音暖香。どう頑張っても長くは集中が持たない。
(しっこ、しっこしっこ~!もう無理だよ!本当に今回は!トイレ行きたいっ!もうでる、漏れるー!)
音暖香は頭の中でこんなことを繰り返していた。それと同時におちびりも繰り返されていた。
いよいよ音暖香は単語を覚えることを諦め、視線を教室前方の時計にやる。
時計の針は五時間目の授業終了時刻、○○:○○の十分前を刺している。
(あと、十分……、あと、少し……。)
この残り時間がもう少し長ければ音暖香はトイレに立つ決断をしたかもしれない。
しかし、この残り十分という小さな希望が一人の少女を悲劇に陥れてしまう。
(このままいけば、何とか……我慢できそう、かな?)
音暖香の自分で課した大きな荷物が音暖香が授業中にトイレに立つことを拒ませる。
(私だって、みんなと同じ中学生なんだから、きっと我慢できるはず……。それに、私は知香のお姉ちゃんだし、中学校でおもらし……なんて……)
やはり音暖香の頭には知香の存在がよぎる。
―――ショロロ―――
再び堪えきれなかった少量の尿が音暖香のパンツの中に放出される。
(まだ、このぐらいなら……どうって事…な…い……。私はお姉ちゃん……もう、小学生じゃないんだから、トイレ位……当たり前に、我慢……でき……る……。)
音暖香の思いとは裏腹に尿意は加速の一途をたどる。
もうとっくに限界貯水量を超えている音暖香の膀胱は今にも少しの衝撃でパンクしてしまいそうだ。
そしてそのときは突然訪れた。
三度目のおちびりの時。
「っはっ!」
音暖香の口から苦痛の吐息が漏れる。
(止めないとっ!……早く、止めないと……!)
どんなに尿道に力を込めても力が入らず、両手で必死に股間を押さえても長時間ためられた尿は放出をとどめることもなかった。
もう尿道を閉める骨盤庭訓は疲弊しきり、全く力が入らなくなり、どんなに頑張ってもおしっこを止めることはできない。
股間が温かくなり、三度のおちびりで大きなシミができていたパンツを貫通し、スカートが濡れていき、椅子、そしてスカートからも滴る水滴の音が教室に響き渡った。まだ新品同様のハーフパンツ、スカート、靴下、スリッパ、そしてそれを止めようと懸命に手で押さえることにより、上の制服の袖もおしっこでびしゃびしゃになっていくのが音暖香自身もわかった。
(私ついにやっちゃったんだ……。中学生になっておもらし……しかも皆の前で、松永さんの前で……。出てる……、出ちゃってる。止まらないよぉぉ!)
一分にもおよぶ音暖香の盛大なお漏らしは教室中に放水音を轟かせ、ようやく終わった。夏実も含めた音暖香が通っていた喜多野宮小学校以外の小学校から進学してきたクラスメイトが信じられないという表情をしている。
そして教室はたちまち騒がしくなり、音暖香は保健室に連れられた。
※ ※ ※
この中学校の保健室は特別棟の奥にあり、一年生の教室からは一番遠い。
そんな天野川中学校の保健室から少女のしゃくりあげる声が聞こえてくる。
「フェェェ!すみません……ごめんなさい……グスン……」
保健室に行くと保険の先生は居らず、保健委員の担当の先輩がいた。
「大丈夫?いったん制服脱ごうね。」
音暖香は先輩にやさしくされながら、カーテンで仕切られた空間で着替えを始めた。
天野川中学校では下着として体操服を着用している生徒が大半で、音暖香もその一人だった。
そのため体操服に着替えることもできないので保健室で新しい体操服と制服、靴下と一式の着替えを貸してもらう。
この学校では生徒がおもらしをしてしまうケースが数多くあるので着替えの予備は準備万端だ。
「着替えられたかな?」
優しい先輩が声をかけてくれる。
「はい……。」
その返事を聞くと先輩はそっとカーテンを開ける。
「そんなに気にしなくて大丈夫だよ。この学校だったらそんなに珍しいことじゃないから。」
「でも、中学生でおもらしって……。」
「私も、一年生の頃はトイレが近くって、部活中に我慢できなくなったこともあったな~。」
「え?」
「この学校にいればみんな経験することだよ。気にしない気にしない!」
音暖香は先輩の励ましで少し元気は出たが、恥ずかしくて教室に帰ることはできなかったので、六時間目は保健室で休ませてもらった。
放課後になると、水萌と咲のいつもの二人が来てくれた。だが今日はいつもと違い、もう一人来ていた。
「……松永さん……。」
「水谷さん、私気にしてないよ。私もお漏らししたことあるし、しょうがないよ。だから元気出して、水谷さんも気にしないでね。」
音暖香は夏実になんと言われるのか怖かったが、夏実は音暖香を励ましてくれた。
そして夏実が続けた。
「あと……夏実で…いいから。」
「……グスン……夏実ちゃん…グスン……ありがとう。」
「コール ミー なつみ プリーズ。っていうんだったっけ?」
「うん、なつみちゃん……ありがとう。」
「気にしないでね。音暖香ちゃん!」
「じゃぁ今日から四人で一緒に帰ろう!」
水萌が元気にそういった。
四人は保健室の先輩に元気よくあいさつすると、仲良く帰っていった。これが音暖香の中学校初お漏らしだった。
読んでいただきありがとうございました。
リクエストなどお待ちしております。