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市立天野川中学校のお漏らしさんたち  作者: あゆてる
入学式編
4/25

入学式前の試練

前回の続きです。

この小説は中学生のお漏らしを題材にしたものです。苦手なかたはお控えください。

 昇降口に着くと三人は、まだ新品のきれいな光沢をまとっている学校指定の革靴を自分の名前が書かれたシールが貼ってある下駄箱に入れた。

 そして音暖香たちは、青色に白いラインが入っている、それぞれ『水谷』『山岡』『杉本』とマジックペンで書かれてあるスリッパを、スクールバックから取り出し履いた。

 初めての中学校の校舎に三人は緊張で雑談できるような空気ではなかった。校舎に入ると黄色のスリッパを履いた三年生の先輩が3階の一年一組の教室に案内してくれた。

 昇降口から教室に移動している今は、音暖香たち三人と案内してくれている三年生以外に人はおらず、静かな校舎に階段をけるスリッパの音だけが響いている。


「ここが教室だよ。自分の名札がある席に行って座って待っててね。」

 三年生の先輩にそういわれ、三人は言葉なく何人かの新入生が静かに待機している教室に入っていった。

 新入生たちは緊張を顔に浮かべ、静かに待機している。席は出席番号順で音暖香のとなりは咲ちゃんだ。

 席に着くと机の上には『水谷』と彫られ、青色のラインが入っている名札が置いてあった。

(自分の名前……、私も今から中学生。また一つお姉さんになるんだ。)

 音暖香は改めてそう思いながら、名札を左胸にあるポケットにつけた。

 ふと時計を見ると、時刻は9時17分をさしていた。入学式は10時から始まる予定だ。

そう思うと音暖香は二人と会ったことで少し溶けていた緊張が、またどんどん大きくなっていった。さすがの咲ちゃんもこの静けさの中で音暖香に話しかけるほどの勇気はなかったみたいだ。

(やばい。ちゃんと返事できるかなぁ。)

そういえばさっきまではテンパっていてトイレのことなんて頭の片隅にもなかったが、緊張してきた音暖香はふと下腹部に違和感を感じた。

(え⁈ウソ!もう⁉家出る前にちゃんとトイレ行ったのに!入学式が始まる前にトイレっていけるのか 

 なぁ?もし行けなかったら……どうしよぉ……。行けても、入学式は10時からだからあとどれく

 らいで行けるのかなぁ?)

―――どくんっ!どくんっ!どくんっ!―――

 尿意、おもらしという心配が加わり、音暖香の緊張はピークにたっしていた。

 しかし、時の流れが速くなるわけもなく、時刻は9時20分になったところだった。時の速さに反比例し、音暖香の尿意は刻々と強くなっている。

―10分後―9時30分―

(まだトイレいけないのかなぁ。)

 音暖香の尿意はだいぶ大きなものになってきており、こわばった手はまだ新品のきれいな折り目がついているスカートの上に自然に添える風を装い、大切なところを押さえている。この音暖香の努力もあり、尿意は少しは弱く感じられるようになり、もう少し我慢できそうだ。

「おはようございます。」

 下を向いて、尿意と戦っていた音暖香の耳に男性の声が入ってきた。前を見てみると担任の先生と思われる若い男の教員が教室に入ってきていた。

 新入生はみんな緊張しているため挨拶を返す人は少なかった。そんな中で音暖香はその若い男の教員が担任だとわかり、女の先生がよかったという気持ちもあったが、若い男性教員なのでうれしくもあった。

(この先生はいい人なのかなぁ?怖くないかなぁ。でも今はそれより早く……トイレに行かせ

 て……!)

 そんな音暖香の気持ちも知らずに、その担任の教員は自己紹介、そして式の説明を始めてしまった。話によるとこの教員の名前は藤井ふじい 隆士たかしというらしい。担当教科は理科のようだ。

しかし、そんな話は音暖香の頭には一切入ってこなかった。

(もう、話はあとでいいから先にしっこ行かせてよぉ。)

 そうこうしているうちに10分が経ち、9時40分になった。

 すると担任の話は終わった。

「それでは皆さん、これから入学式です。式中はさっきも言ったように、トイレに行けないので、我 

 慢できない人はトイレを済ませてから、廊下に整列してください。」

(やっと、やっとトイレいける!しっこできる~!)

 しかし、緊張している新入生たちは目立ちたくないのか、なかなか椅子から腰を上げる者は現れなかった。一日もすれば先生の合図が出ればすぐに動き出すだろう。だが今はまだ初日特有の周りの目をうかがいながらの動きだ。

 そんな雰囲気を音暖香はじれったく感じていた。トイレには一目散に行きたいが、自分が先頭を切って立つのは恥ずかしい。しかも椅子から立った後にトイレに直行となると、多くいる初対面の人達に『私はトイレが我慢できないんです』と宣言するようで、どうしてもできない。

(お願いだから、早くみんな動いてよぉ!でないと出ちゃうよ。しっこ出るよぉ……。)

 少しずつではあるが人が動き出した。すると咲が音暖香に話かけてきた。

「音暖香。トイレ行こう。」

 音暖香にとってこれほどありがたい誘いはなかった。すると水萌も二人のところにやってきた。

「みなもトイレいくー。」

 こうして3人はトイレに行くことにした。

「私もう漏れそう。」




 トイレに着いた。しかしそこで三人が見た光景は三人にとっては驚くべき光景だった。

 なんと一年生用の女子トイレには長い列ができていたのだ。音暖香たちが小学生の時、学年の人数は男女合わせて二十三人、女子は9人しかいなかったので、トイレがこんなに混雑することは三人には考えられないことだった。

「うそ…………。私もうむりぃぃ……。」

 音暖香は予想外の事態に絶望していた。トイレにつけば待つことなく一番手前の個室に入り、白い便器にまたがり、気持ちよくたまっていたおしっこを出して入学式に備える予定だったのだから当然だ。

 水萌と咲は音暖香がトイレに行きたいだろう思って誘ったのでそんなに尿意はないが、さすがに驚きを隠せない様子だ。二人は音暖香に心配そうな視線を向ける。

「音暖香、まだ我慢できそう?」

「………。」

 音暖香に返事を返す余裕などなかった。公の場、そして周りには知らない同級生がいるので頑張って前押さえを我慢しているせいで尿意が加速していく。

「音暖香、トイレすぐそこだから!頑張って!」

「……うぅ……。」

 トイレを終えてすました顔をしている人が羨ましかった。大した尿意ではないのに一応で並んでいる人たちが憎かった。少しでも人が少なければ尿意に耐える時間は今よりも減っていた。




 とうとう次が音暖香の番というところまできた。ここまで目に涙を浮かべながら我慢してきたおしっこたちをあと少しで放出できる。この苦しみから解放される。

 音暖香は個室の前でスリッパをパタパタ鳴らして待っていた。

(あと少し、あと少しだからぁ。)

 必死の尿意に対抗する音暖香。

―――ジュジュッ!―――

(ッ‼)

 あと少しでこの尿意から解放されるという解放感、安心、油断から音暖香はおちびりをしてしまった。

(もうほんとに無理ぃぃ!はやくあいてよぉぉぉ‼)

 音暖香の足踏みはさらに激しさを増す。周りから見ればおしっこを我慢しているのはバレバレだ。しかしそんなことは気にしていられない。

(お願いぃぃ‼早くぅぅぅ!)

―――カラカラカラカラン―――――――ザザーー!―――

 個室の中からトイレっとペーパーを巻き取る音、そしてトイレの流れる音がした。

「やった!もうできる!」

―――ガチャン!―――バタン――

 先客が出てきたとたんに音暖香は個室に飛び込みカギをかける。

―――バタン!――ガチャン‼―――

(やっとできる!やっとしっこできるうぅぅ!)

 しかし音暖香にはもう一つ問題があった。それはこのなれない制服、セーラー服のスカートでの初めてのトイレであるということだ。

 この中学校では女子はスカートの下に体操服であるハーフパンツをはかなくではならない。音暖香たち一年生は青色のハーフパンツをはかなくてはならない。

 そしてそのハーフパンツは校則で紐をしっかりと固結びで結んでおくこととあるのだ。これは危ない人に出会ったときのための校則。下着を脱がされそうになったとき、少しでも脱がされるのに時間を稼げるようにというような意味合いがあるようだ。(あまり意味がないようにも思えるが)

 この切羽詰まった状況で音暖香は固結びを解いて便器にまたがらなくてはならない。

体が大きくなることを考えて校則の丈よりも、もう少し長いスカートをたくしあげ、必死に固結びを解こうとする音暖香。

(焦ってうまく解けないぃぃ!)

 なかなか解けない。その間にも音暖香の尿意はどんどん強くなっていく。

(ヤバイ!ヤバイ!急がないと。…………解けた!)

 しかし尿意の波はそう甘くはなかった。

―――ジジュジュ!―――ジュジュジュシュッ!―――

 音暖香の骨盤底筋は限界を迎え、排尿を開始してしまった。

(ッ!!!ち、ちょっと待って!あと少しだけ!)

 音暖香は急いで便器に股がりハーフパンツとパンツを引きずり下ろし、スカートをたくしあげた。

―――ジョボボボボボボボボ―――

(ふあああぁぁぁぁぁ………。)

 音暖香の我慢に我慢を重ねた限界尿意が便器の水面を叩き付ける。

―――シュルルル――――ピトン――ピトン―――

(はああぁぁぁ。間に合ったぁ。セーフ!)

 音暖香はトイレットペーパーで大切な部分をしっかりと拭いた後、下ろしたパンツを見た。そこにはおちびりなんて可愛いものではないシミがついたパンツがあった。ハーフパンツも濡れていたがジャージ素材なのでそこまで目立っていなかった。

(間に合って……ない?……かな?……セーフじゃない?)

 そして音暖香はあわててスカートを確認した。

「…………ホッ……。」

(よかった。スカートは濡れてないっぽい。初日からおしっこで濡らすなんていやだもんね。)

 音暖香はもう一度トイレットペーパーを手に取り今度はおしっこで濡れたパンツを拭いていった。そしてトイレっとペーパーを敷いたパンツとハーフパンツを履き、しっかりと紐を固結びにした後、個室の中でスカートを整え、トイレを流し、個室を後にした。

 トイレを出ると水萌と咲が待っていた。

「あっ!音暖香、間に合った?」

「……うん。何とかね。」

「良かったね。私たちは流石にこんな中で並ぶ気にならなかったよ。」

「二人とも私のためにトイレ誘ってくれてありがとう。二人が誘ってくれなかったら私ヤバかったか

 も。」

「いいんだよ。別に音暖香のために誘ったんじゃなくて、普通に少し行きたいなって思ってただけだ

 から。」

「そうだよ。気にしなくていいよ。」

「二人とも!大好き!」

「なにいってるの、本番はこれからだよ!」

 咲の言葉で音暖香は気合いを入れ直す。まだ本番の入学式は始まっていないのだ。

「ほら、並びに行こう。」

「うん。」

 水萌と咲、二人のお陰で入学式前のお漏らしは何とか回避(?)できた音暖香。

 しかしまだ本番はこれから。個室の前で少しおちびりをしてしまったり、半分漏らしながらの放尿だったことは二人には内緒にしようと決めた音暖香だった。

次回は、いよいよ入学式本番、和香は無事に皆の前でお漏らしせずに入学式を終えることはできるのか!

リクエストなどもお待ちしております。

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