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市立天野川中学校のお漏らしさんたち  作者: あゆてる
部活動紹介編
15/25

部長の頑張り

 中学生のお漏らしをテーマにした物語です。苦手な方はお控えください。

 今回は井上 萌花部長のおしっこ我慢回になっております!

 軟式野球部に続き、卓球部とバスケ部が紹介を終えた。和香と幸哉の尿意もだいぶ強くなってきた頃、ようやく吹奏楽部の出番になった。

(しっこしてぇ!マジではよ終われ!)

 今から吹奏楽部の演奏というところで、モジモジしている倫花を気にしていた美優が小声で話しかけてきた。

「倫花、もしかしてトイレ我慢しちょう?」

倫花は恥ずかしかったが嘘をつくよりマシだと思い、正直に答えた。

「うん……。実は終会の時から。」

 美優は長時間の我慢にびっくりしたようだった。

「大丈夫?」

「うん。終わったら行くけぇ。」

 倫花は大丈夫ではなかったが、我慢できないと言ってもどうにかなるわけではないと思い、嘘をついた。

 そして吹奏楽部のセッティングが始まった。セッティングをするメンバーの中には倫花以外にももう1人尿意と戦っている萌花がいた。吹奏楽部はセッティングに時間がかかる部だ。そんな様子を見ている幸哉は心の中で急かしていた。

(もう、はよしろよ!こっちはしっこ行きたいんだよ!この時間がなかったらその分早くしっこできるのにー!)

 こんな自己中発言を心の中でしていた。

 そんなことを知るはずもなく、倫花は自分の、ユーフォニアムと譜面を準備して、椅子に座り、スタンバイ完了している。

(はぁ。椅子に座れれば少しは楽かな。でもやばいけど。)

 椅子が倫花の蛇口に蓋をしてくれているので、少し我慢が楽になった。

 一方萌花は部長という立場からなんとか周りにおしっこ我慢がバレないように頑張っている。部長として、みんなの準備ができたかなどの確認で忙しなくしているが、いつもの笑顔を忘れない。

 萌花は家でこそ、妹とすぐに喧嘩をしたりするが、外ではしっかりしていて、おしとやかなお嬢様を演じている。顔が美人ということもあり3年の男子にもなかなかの人気だ。たとえトイレに行きたかったとしても、萌花のプライドが迫りくる尿意に対抗している。

(あぁ。おトイレ行きたいけど、とりあえず演奏。)

 萌花は倫花と違い、担当する楽器がアルトサックスなので立って演奏しなければならない。それが辛いところだ。だが部員の前では決して弱音を吐かない。

 この日の演奏はそんなにかっちりしたものではなく、必要最低限の楽器だけで、指揮者も立たない演奏だった。

 だが萌花はソロを吹くのでいつも以上に緊張していた。それも相まって、尿意はどんどん強くなる。


 いよいよ演奏が始まった。倫花はまだ少し余裕がありそうだ。だが萌花はかなり心に余裕がないようだ。

(おトイレいきたい。)

 萌花の頭の中は演奏中だというのにトイレのことでいっぱいだ。まだ清楚を保とうと少しは丁寧におトイレと言えている。

 曲が始まり少し経つとピーッ!というリードミスの音がした。犯人は萌花だ。トイレの事を考えていると、ミスが目立ってきた。練習ではできていたことも、変な緊張感でミスしてしまう。

(ヤバっ!リードミスした!)

 1分が経ち、もう少しで萌花のソロというところまで来た時だった。

(あぁおしっこ出そうだよぉ〜!)

 とうとうお上品な言葉高いを心がけている萌花から『おしっこ』という言葉が出てきた。

 そして萌花のソロが始まる。その時だった。

ーーージジュッ!ーーー

(えっ!ちょっと待って!)

 萌花はおちびりをしてしまったのだ。今まで物心ついてから一度も記憶に残る限り、お漏らしおろか、おちびりすらした記憶がない萌花は自分のおちびりにかなり焦る。そしてまたしてもミスを繰り返してしまう。

 萌花のソロが終わった。おちびりとミスで動揺が隠せない萌花。

(えっ?今、もしかして出ちゃった。おちびり?もしかして私、お……お漏らししちゃう?!)

 ついに萌花の頭の中に『お漏らし』という4文字が浮かんだ。今までお漏らしなんてしたことないし、なんとかなるだろうと思っていたが、まさかこんな窮地に立たされるなんて思ってもいなかった萌花。

 そんな様子を見て紫怨はニヤニヤしている。


 そしてなんとか誰もお漏らしせずに吹奏楽部の紹介が終わった。礼をすると萌花はそそくさと体育館を出て行き、外で待っている後輩に自分の楽器と譜面を託した。

「ごめん!これ持っちょってくれる?自分急いで音楽室行かんにゃいけんけぇ!ごめんね!」

 萌花は半ば強制的に後輩に楽器と譜面を託すと早歩きで音楽室の方向へと歩き出した。

 もちろん音楽室に用事なんてない。ただ音楽室の方向にある保健室前のトイレに行きたいだけだ。周りから見てトイレに行きたいのがバレないように、あくまで早歩きで手も自然にして保健室前トイレを目指す。

(あと少し、あと少しの我慢だ!そしたらしっこできる!)

 もう言葉遣いなんてお構いなしの萌花。

 トイレまでの道のりは今いる体育館横のスペースから階段で一階に降り、渡り廊下を通り、生徒棟を通って生徒棟と管理棟を繋ぐ渡り廊下を通り、管理棟の奥までいかなければならない。

 今いる体育館の一階にもトイレはあるのだが、そのトイレにはダンゴムシなどがいて、お世辞にも綺麗なトイレとは言えない状況だった。なので萌花は3年になった今でもそのトイレを使ったことはない。

 体育館で部活の練習が行われるバレー部とバスケットボール部の部員たちは嫌でもそのトイレを使わなければならないので、あまり抵抗はないようだが、萌花が目指しているのはもっと落ち着いて用をたせる保健室前トイレだ。

 萌花は早歩きで階段を降りると一階のトイレには目もくれずに渡り廊下へと出た。

(しっこ!しっこ!いそげーー!)

 周りに誰もいないことをいいことに左手で乙女の水道の出口をスカートの上から押さえる。今この学校の全ての人が体育館にいるのを萌花がわかっていたからできた行為だ。だがまだ両手を使っていないあたりは、少しお嬢様を意識しているのだろう。

 だがここで問題は起こったのだ。それは生徒棟に入れないということだった。今全校生徒は体育館に集合している。それは萌花も知っていた。だが、そのため、生徒棟は施錠されていたのだ。

 それは3年の中でも上位の成績を誇る萌花でも予測できなかったのだ。

ーーーガタッ!ガタガタッ!ーーー

(え?!うそ!もしかして閉まってる?!)

ーーーガタガタッ!ーーー

 何度試しても扉は開かない。

(マジで言ってんの?!これじゃぁトイレ行けんやん!)

ーーーシュイシュイーーー

(ッ!ま、まだダメッ!)

 予想外の状態に陥った焦りから萌花は再びおちびりをしてしまった。

 萌花は考えた。なんとかここを通らずにトイレにたどり着くと方法を。そして一つの考えに至った。それは『野ション』だった。

(いやでも、さすがに誰もいないからって……それは……ね……。)

 萌花は生徒棟を通らずに外を通って管理棟に行こうと思いついた。この学校では体育館はスリッパを履いたままでは入れないので萌花はスリッパを音楽室に置いてきたのだ。つまり今は白い靴下。この靴下で土の上を歩き、管理棟まで行く。

 靴下は間違いなく汚れるだろう。それは萌花にとってはとても嫌なことだった。いつもの萌花ならば絶対にしないだろう。だが今の萌花は激しい尿意と戦っている。

 萌花は決心をした。

(お漏らしして、制服汚しちゃうよりはマシだよね?)

ーーージャリジャリーーー

そして萌花は土の上を歩き始めた。


 そしてトイレにたどり着いた時にはもう両手で乙女の水道の出口を押さえていた。1番手前の個室に入り、鍵を閉め、便器にまたがった。

ーーープシイイィィィィーーー

「はああぁぁぁ」

 萌花の祝福の時間が始まった。他には誰もトイレを使っていないのでつい、あまりの気持ちよさに声が出てしまった。

(まにあったーー。こんなにおトイレを我慢したのはいつぶりやろう?中学生になってからは初めてかなぁ。)

 そんなことを考えながら最後の一滴まで尿を絞り出した萌花は自分のパンツを見た。そこには500円玉よりも大きいシミができていた。

(あ、やっぱり少し出ちゃってたみたい。)

 萌花はお尻、そしてパンツをトイレットペーパーでしっかりと拭きトイレを後にした。



 その日の夜、井上家では。

「萌花ーー!あんたなんで靴下こんな汚いんかね!」

「え?別に何もしてないし!」

(本当にお漏らしせんでよかった。もしお漏らししちょったら、マジでやばかったわ。)

 最後まで読んでくださりありがとうございました。なんとか無事(?)におしっこに間に合った井上 萌花部長さん。でもまだおしっこを我慢している3人の生徒がいます。次回は誰が尿意と戦うのか。お楽しみに!

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