音暖香と便意と我慢
今回も音暖香ちゃんのウンチ我慢です!前回体育の授業を乗り切った音暖香ちゃん、このままトイレに行けるのか!?
教室に戻り体操服から紺色のセーラー服に着替えをしていると担任が教室に来た。するとクラス全体に聞こえる声で言い始めた。
「今から給食なので給食当番は急いで準備ねー。それ以外の人は自分の席に座って待機。」
音暖香は着替え終えたらすぐにトイレに行く気マックスだったのに、それが許されない状況になってしまった。
着替えるために教室に帰ってくる前にトイレに行ってしまっていれば、きっと今頃この便意から解放されていただろう。
もしくは担任の教師が教室に来るのがもう少し遅ければ着替えを終えてトイレに立つことも可能だっただろう。様々なタイミングが悪くトイレに行けない状況に追いやられてしまった。
先生に申告すればトイレに行かしてもらえたかもしれないが、あいにく音暖香はそんな勇気を持ち合わせていなかった。
(そんな!トイレは!?うんこは!?そんなの無理だよぉ〜!)
音暖香にとって給食というのは学校生活の中でかなりの苦痛だった。
なぜなら、音暖香は給食があまり好きではない。野菜も好きではないし、温食やつきものの味付けも音暖香の口には合わなかった。
そして極め付けには毎日の牛乳。小学生の頃は先生に隠れて水萌や咲に飲んでもらっていた。だが中学校では給食中に流れる放送中は話すことも許されない。皆が静かに食べている中交換なんてできっこなかった。
これまで二回給食はあったが時間内に食べ終わったことはなかった。つまり昼休みの時間になっても食べ終えていなければ、トイレには行けないというわけだ。
ただでさえ苦痛な給食なのに今回は便意を我慢しながらの給食……。音暖香は絶望している。
(なんで……!もう!なんでこんなことになるの!うんこ頑張って我慢したのに、なんで行けないの!意味わかんないし!こんなに我慢してるのに!)
音暖香の不安と絶望は怒りに変わりつつあった。
しかし、不幸中の幸いでこの日は音暖香は給食当番ではなかったので自席で待機できる。ずっと椅子に座っていられるだけまだましだ。
給食の準備中も音暖香の頭の中には腹の中にため込まれた便のことしかなかった。足はずっと落ち着きなく動き、何度も椅子に座り直す。
皆静かに準備している中、そんな様子を見て、咲が小声で話しかけて来た。
「音暖香、もしかしてトイレ?」
しかし音暖香は恥ずかしさと本当のことを言われたこと、トイレに行けないイライラで少し強めに返してしまった。
「違う!別にトイレ我慢してないし…!」
少し大きな声が出てしまって、隣の夏実ちゃんたちにも聞こえてしまったかもしれない。でもそんなことはどうでもよかった。
「あっ……。うん。わかった。ごめんね。」
咲は少ししょぼくれてしまった。
昨日教室で尿意を我慢しきれず皆の前で恥ずかしい失敗をしてしまった音暖香に対して、あまりにもデリカシーのない言葉のように聞こえるが、咲も音暖香のことを心配していったのだ。
音暖香に突っぱねられて腹を立てる咲。
準備が終わり合掌をして給食を食べ出した。食器が擦れる音とお昼の放送だけが学校中に響く。
咲はさっきの音暖香の態度にまだ腹を立てているようだった。
(なんなの!音暖香のためにトイレ行きたいのかきいてあげたのに!あんなに強く言わなくてよくない⁉もう!音暖香なんかお漏らしすればいいんだ!知らない!)
皆が給食を食べている中、音暖香の手はいつも以上に動かない。自分の好きなものでさえお腹が苦しくて食べるのが辛かった。背中を丸めて動かない。左手はずっとお腹とスカートの間に挟んでお腹をさすっている。
いつもなら一番最後まで締めないとスカートが落ちてしまいそうになるウエストベルトも今日は緩めていても腹部に余裕がない。
そんな音暖香の様子を見て咲はやっぱり心配になってきた。
(音暖香、さっきから全然食べてない……。やっぱりトイレ行きたいのかなぁ?もしかしてお腹痛いのかなぁ?お腹押さえてる様に見えるし。あぁ、だめだめ!もう音暖香なんか心配したってさっきみたいな態度とられるだけだし……!お腹痛いとか知らない!お腹痛いんだったら勝手に漏らせばいいんだ!)
咲の予想とは違い、今音暖香を襲っているのは腹痛ではなくただの便意であった。
もしお腹が痛いのであればもうとっくに申告してトイレに行っていただろう。それとも限界を迎えていただろうか。
ただお腹が痛いのなら体調不良と訴えられるが、あくまで強い便意のため音暖香にそれをさせないのだ。
音暖香と咲、二人の関係がもやもやし始めた。
そんな中何も知らない水萌は美味しそうに給食を頬張っていた。なんとも美味しそうに食べている。音暖香も水萌の様に給食が好きならよかったもののそうではない。
給食時間もあと少しとなり、クラスの半分以上が給食を食べ終わっている。そんな中音暖香の机の上には空になったお皿は一枚もなく、どのお皿にも半分以上の食べ物が残っている。
牛乳に至っては、封も空いていない。
左手は先ほどから変わらず定位置にあり右手は箸を持って固定されている。足は椅子の下で交差されて、ずっと力を入れているのだろう、プルプルと震えている。
(こんなの無理だよ!もう食べれないよ!トイレ行きたい!うんこしたい!早くトイレ行きたい!早くトイレェェ……!)
音暖香の給食が減る気配はなかった。
———キーンコーンカーンコーン———
給食時間終了の合図であるチャイムが鳴った。皆が一斉に食器を片付けだした。まだ給食を食べているのは音暖香を合わせて四人だ。
その中でも音暖香は群を抜いていた。他の人はあと数分もすれば食べ終わるだろう。
チャイムが鳴ってから二分ほど経った時、その瞬間は突然やって来たのだった。
———ゴロゴロゴロゴロ!ギュルルルル!ゴポポポ!———
(ッ!)
音暖香のお腹にいた確かな感覚が再び腹痛を伴い小さな少女の体の中で暴れだしたのだ。しかもこれまでにないほどの痛み。音暖香は机に伏せて蹲ってしまった。
音暖香はお尻から便が出るのをとめることよりも、お腹の痛みの方が辛かった。
その様子をたまたま近くで水萌が見ていたようで、水萌が駆けつけてくれた。
「音暖香!大丈夫!どうしたの⁉お腹痛い⁉」
音暖香は流石にヤバイと思い、小さくうなずいた。水萌は先生を呼んでくれた。
「先生!水谷さんが!」
先生もすぐに駆けつけてくれて、無理に食べなくていいから、とりあえずトイレに行っておいでということになった。
咲はその様子を教室の後ろの方で見ていた。
(音暖香大丈夫かなぁ?あの時ちゃんときいてあげておけばよかった……。これ、私のせいかなぁ……。)
咲はだいぶ自分を責めて暗くなっていた。
そしてここからが音暖香の本当の試練だった。
最後まで読んでくださりありがとうございます!
次回はいよいよ音暖香ちゃんがお漏らし!?してしまうのか!お楽しみに!
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