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暗黒の疾風  作者: 秋本そら
Ⅰ 暗殺依頼「珈琲と薬」
8/37

種明かし

「こんばんは。ニュースをお伝えします。

 今日午前未明、政治家の五十嵐隼さんが、アナフィラキシーショックを起こし、亡くなりました」


「……うん、ちゃんと成功したみたいだね」

 デカフェの珈琲を飲みながら報告書をまとめつつ、朱里は自室でテレビを見ていた。


「今日午前未明、政治家の五十嵐隼さんが地域の行事へと出かけようとしたところ、突然アナフィラキシーショックを起こしました。秘書の秋本幸子さんが119番通報をしましたが、救急隊が駆けつけた時には亡くなっていました。

 秋本さんによると、五十嵐さんが朝食に何を食べたのかは分からず、仕事場では珈琲を口にしており、五十嵐さんが鼻炎持ちだったため薬を飲んでいたとのことで、アナフィラキシーショックを起こした原因は分かっていません。そして、アナフィラキシーショックを起こしたのは、珈琲や薬を飲んでから約二時間後だったそうです。

 専門家によりますと、珈琲に含まれるカフェインが稀に遅延性アレルギー反応を起こすことがあり、それが原因でアナフィラキシーを起こした症例も報告があるとのことです。

 ——それでは、次のニュースに参ります。——」


「……『というのが表社会で公表される事実です。』っと」

 朱里がパソコンから顔を上げて首を回すと、こきこき、と音がした。

「さて、ページを変えて……よし。えーっと、『2.実際に行ったこと』……」


 実は、朱里は幸子と接触した時に、幸子にこんな話をした。

「——大体の方針が決まりました」

「……一体、どんな?」

「薬殺です」

 そう断言した朱里に、「でも」と声を漏らす幸子。

「それでは……私が疑われませんか?」

「それは大丈夫です。疑われない方法があります」

 朱里は幸子を安心させるように微笑むと、言った。

「アナフィラキシーを使うんです。アナフィラキシーを起こしたように見せかけて、実は薬殺だった。そうすれば誰も貴方を疑いません」

 それを聞いても、あまり釈然としない幸子に、朱里は説明を再開する。

「五十嵐さんは珈琲をよくお飲みになると仰っていましたね?」

「はい」

「実はですね、珈琲に含まれるカフェインって、稀に遅延性アレルギーを起こすんです。アナフィラキシーを起こした症例も報告されているそうです。……それを利用します。

 飲んだ後二時間後くらいにアナフィラキシーに似た症状で死に至らしめる薬を使えば、薬殺しながらも薬殺に見せない、そんな方法で薬殺が可能です」

 それを聞いて漸く、幸子の表情が納得したそれに変わる。

「成る程……。でも、知りませんでした。カフェインがアレルゲンになるなんて」

「私も、自分がカフェインアレルギーでなければ思いつかなかったと思います」

「あら、そうなんですか?」

「ええ。いつも珈琲はデカフェです」

 朱里は微笑んだ。

 それを見て、幸子も思わず笑みをこぼす。

「今日はありがとうございました。薬の準備が出来次第、またご連絡しますね」

「分かりました」

「では、今日はこれで」

「ええ。また、会う時まで」


 朱里は幸子との一回めの接触についてまでをパソコンに打ち込んだ後、再び顔を上げ、うんと伸びをし、手元のデカフェの珈琲を一口飲んでから、再びパソコンに向かい合ったのだった。

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