表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暗黒の疾風  作者: 秋本そら
Ⅲ 誘拐依頼 「飴玉」
36/37

起床

 組織内には、誘拐した人物や捕らえた人物を入れるための部屋が何部屋かある。その部屋のひとつに薫は寝かされた。

 そこには簡素なベッドがあり、その枕元には目覚まし時計が。そして低いテーブルがあり、娯楽のための本が何冊かある。テーブルの上にある籠の中には、飴が沢山。本と飴は、粗末な部屋に連れてきてしまった薫への、せめてものお詫びなのだろうか。


 朱里は、薫の部屋にいた。

 朱里はここで、薫に与えた薬が切れ、目覚めるのを待っているのだ。

 化粧は全て落とし、服装も組織にいるときと変わらない。まさに『如月朱里』としての姿だった。

 iPhoneの時計表示を見て、薫を見る。

「そろそろだと、思うんだけどなぁ」

 そう呟いた、そのときだった。

「……」

 ベッドの方から、微かな声がしたのは。

 ごそごそ、と布団の中で身じろぎをする音も聞こえる。

「……ここ、どこ……?」

 寝ぼけた声で言うのは、薫だ。漸く目が覚めたらしい。

「驚かせてごめんね」

 朱里が声をかけると、薫は人がいるとは思っていなかったらしく、甲高い声を短くあげ、ベッドから飛び起きた。その手にはしっかりと布団が握られている。

「——び、びっくりしたぁ」

「ごめん、薫くん。ここはね、いろんな人が暮らしているところなの。私もここで暮らしてるよ。薫くんにも、大体一ヶ月くらいここに住んでもらうことになったんだ。だから連れてきたの」

 朱里はにこやかにそう言うが、薫は驚きと疑いと不安をごちゃ混ぜにしたかのような表情をしていた。

「なんで僕の名前を知ってるの? どうして一ヶ月ここに住まないといけないの? なんで、なんで僕を……攫ったの?」

「ちゃんと全部話すから。話すから、落ち着いて聞いて」

 ね? と朱里が首を傾げてみせると、薫は疑いながらもうなづいてくれた。

「まず、自己紹介だけしておこうか。私は、如月朱里。さっきも言ったけど、ここで暮らしてるの。よろしくね」

「……如月、朱里さん?」

「そう。如月さんでも朱里さんでも、呼び方はなんでもいいよ」

 気楽な感じでよろしくね、と言った朱里に。

「……なら、如月さんって呼ぶ。僕は、もう知っているみたいだけど、宮部薫。よろしく……お願いします」

 まだまだ戸惑いを隠しきれないように、薫は言うのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
登場人物が分からなくなった場合はこちらをご覧ください 第2部分 登場人物 物語に出てくる組織についての説明を見たい方はこちらをご覧ください 第3部分 組織紹介
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ