探し人
首領や朱里達は話し合った。
誰が長く暗黒の疾風の構成員にしがみついていられたか——誰を新たな構成員として迎えるか。
話し合っていくうちに、四人までは絞ることが出来た。
一番長くしがみついていられた少年に、二番目に長くしがみついていた少年二人。三番目に長くしがみついていられたのは意外にも小柄な少女だった。
しかし、なかなか最後の一人が絞れない。五人目を決めようとしても、四番目に長くしがみついていられた者が三人いたのだ。
「仕方ない……その三人を集め、試験を行うか」
首領のその一言で、候補となっていた孤児三人をどこかへと連れていく構成員達。朱里と首領は、構成員となることが決まった孤児を組織へと連れ帰った。
四人の孤児を組織に連れ帰った首領と朱里は、四人を下級構成員に預け、今度は裏路地の中でもかなり広いと言われているところへと向かった。
路地に着くと、そこでは孤児三人が鬼ごっこをしていた。
遊んでいるように見えるが、これが試験だ。
鬼ごっこは体力勝負をするだけのものではない。頭を使い、駆け引きをし、そうして行うものだ。
構成員たちは、三人の体力と賢さを見ていたのだ。
しばらくして、朱里は気づいた。三人の中に、不思議なほど鬼にならない子がいることに。
その子は鬼を振り回し、惑わせ、賢く逃げていく。そして、たまに捕まったかと思うとすぐに誰かを捕まえる。もしくは誰かを捕まえようとするふりをしながら、少し休む。
(あの子、かわいらしい顔に似合わず俊敏だし、賢いし……)
そこまで考えてから、朱里は気付いた。
(あの子、対象者の薫くんにそっくり……!)
多分もっと間近で見れば違うところなどいくつも出てくるだろう。だが、遠目で見た限りでは、確かに対象者の薫に彼はそっくりなのだ。
(あの賢さなら、俊敏さなら、きっと構成員に選ばれる。それならば……)
そう朱里が思った時、鬼ごっこは終わりを迎えた。
そして話し合いにより、あの賢い少年が新たな構成員となった。
朱里はその翌日、情報班が作成した新入構成員について書かれた紙を見て、あの賢い少年の名を知った。
「——二階堂、弘也か……」
朱里は、その日のうちに弘也に会いに行った。
コンコン。
「——は、はいっ!」
戸を叩くと聞こえたのは、かちかちに緊張した、若い声。
「驚かせてごめんね。私、如月朱里って言うんだけど、入ってもいいかな」
「だ、大丈夫です!」
朱里が戸を開けると、与えられたベッドの上に座っている弘也がいた。
「初めまして。私は如月朱里。これからよろしくね」
「はっ、はい! 僕は、二階堂弘也です。よろしくお願いします!」
緊張していることが丸わかりの声や態度の弘也に、朱里は微笑ましくなる。
「まだ新しい生活に慣れてないのにごめんね。実は、頼みがあって来たんだ」
そう朱里が言うと、弘也は戸惑いをみせる。
「な、なんですか、頼みって……」
「——私の任務に、参加しない?」




