平たいモチベーション
どうにもやる気が起きない。
明日がレポートの提出日だというのに、まったく焦りの感情が浮かんでこない。
やらなくてもいいとは考えていない。ほんの数単位とはいえ取り逃せば、苦労するのは来年以降の俺だ。留年中の先輩の後ろ姿でそれは学んだ。よく理解してるつもりだ。
しかし指一本動かす気にならない。
ラグマットの上で大の字になったまま、天井の汚れをじっとみつめる。
変な虫がいたからサッカーボールをぶんなげて潰してやったときの汚れだ。もう数年前のことだというのに消える気配がない。
……もしかして呪われてるのかも。
彼奴にも将来の夢があり、温かな家庭があった可能性は否定できない。それを日々漫然と生きる独り暮らしの童貞男にぶち壊されたのだ。恨まれてもおかしくはない。
だが俺は屈しない。この世は弱肉強食。
弱いものは淘汰される運命にある。
もちろん人間基準でいえば、俺も弱い側に入るので次期に淘汰されることだろう。具体的には単位を落とすという形で。
あーやだやだ。
そろそろ入ってくれないもんかね。やる気スイッチ。