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8.王子様もお年頃な男の子のようです。

外は暴風雪です・・・

雪が吹き荒れています・・・

1週間天気予報がすべて雪マーク!

ひいっ!

皆さまの地域は、どうなのでしょうか。

そんな中、更新です!

今回は、ちょっぴりシリアスな部分がありますが、基本コメディです。

楽しく読んで頂ければと!



ホイホイされてしまいました。

私はとてもチョロイ人間です。

けれど後悔はしていません。

ええ!

決して後悔はしませんとも!

だって!

美味しいは正義ですものおおおおおおおおお!!





私の名前は、アリステラ・ディ・ティエラ

異世界転生したかと思っていたら、乙女ゲームの世界に転生していた女子です。

現在、婚約者が黒いオーラをまとい、物騒な言葉を呟いています。

婚約者のこんな姿を見るのは、始めてです。

いくら同性相手とはいえ、私(のお胸)に触れる人がいたことに、怒り狂っているようです。

リュー、落ち着いて!

どうどう!


「許せない。僕のステラに勝手に触れて・・・ステラは僕のなのに!!!!僕のなのに!!!!」

「ええ、貴方のステラですよ。落ち着いて、リュー」

「僕だって、ステラに触れたいのに!ずっと我慢しているのに!」

「え?我慢しているの・・・?まあ・・・そうね・・・お年頃の男の子だものね」


王子様とはいえ、思春期の男の子には変わりありません。

そうか・・・

私に触れるのを我慢していたのか・・・

つまりイチャイチャしたかったとー・・・


リューは、私の手を力強く、でも私が痛くないように握り締めます。

婚前前ですので、男女の接触はここまでが限界です。

けれど・・・


「ステラ・・・ステラ・・・」


甘い声で愛おしそうに私を呼ぶ声に、キュンキュンします。

あーん、もう堪らない!

リュー、可愛いー!!


しかもリューは・・・

とても!とても良い声をしているのです!

ゲームで人気声優が声を当てていただけはあります。

ちなみに私の好きな声優でした!!

ありがとうございます!

そしてその声で!

好きだ、愛していると囁かれて御覧なさい!

腰が抜けるわあああああ!!

実はいつもニマニマ緩みそうになる顔を引き締めるのに、大変苦労しています。


私は、リューの握り締めている手の上に、もう片方の手を重ねます。


「リュー、夏季休暇でお城に戻った時に、いっぱいイチャイチャしましょう!」

「ステラ・・・いいの?」

「私もリューが大好きですもの。触れたいし、触れられたいわ」

「ステラ・・・!!」

「ただ、学園を卒業までは節度を持ったお付き合いをしましょうね」

「もちろんだよ!」


ま、眩しい!

リューが全開キラキラの笑顔を浮かべています!!

先程の黒いオーラは鳴りを潜め、幸せ全開オーラを出していますよ!

リューが幸せなら、いいのです。

私も笑顔になるのですから。

そう思っていたら・・・


「でも、あの女は許さない」


急に真顔に?!!

ブラックリューが覗いていますよ!

どうどう!

リュー、落ち着いて!

このままではヒロインの命が危うい!


「彼女も色々大変なのよ。許してあげて」

「・・・ステラがそう言うのなら・・・」

「ええ、ありがとうリュー」


私が笑うと、リューも幸せそうに笑う。

リューに寄り添いながら、幸福を噛みしめます。

もしかすると、私の悪役令嬢設定は回避されたのでしょうか?

リューと別れずにすむのでしょうか。

ヒロインには既に恋人がいるようですし・・・

ずっと、この平穏が続けばいいのに・・・


けれど、まだヒロインに振り回される予感がします。

気のせいだと思いたい。

フラグは全力で折っていきましょう。










・・・と思っていたら、翌日の夕方にヒロインとバッタリ再会致しました。

何故っっっっ?!!!!!


「あ、アリスちゃん、見つけたー」


そう言って近づいてくるヒロインを前に、逃げ出そうとする身体を必死に引き止めます。

ぐぬぬ・・・

昨日ヒロインと出会ったのとは違う場所を通っていたのに、何故会ってしまうのか・・・


「まあ、ルリカ。御機嫌よう」


うふふと笑みを浮かべますが、顔が強張っています。

だって、死亡フラグ付きの厄介事が近づいてくるのに逃げられないんだもの!

逃げたら、何が起こるかわからないんだもの!

頬が引き攣るぐらい、許してほしいです!


「あはは、この挨拶まだ慣れないんけど、ごきげんよー」


・・・おや?

ヒロインの顔がニッコニコである。

どうしたのかな?


「ルリカ何か楽しいことでもありまして?」

「わかる?!」


ヒロインがグイグイ近づいてきます。

近い近い近い

大変興奮しているようです。


「あのね、昨日アリスちゃんが言ってくれたことを実行したの!」

「昨日言ったこと・・・?といいますと・・・保健室の件ですか?」

「そう!保険の先生に相談して、今日から早速休み時間と昼休みは保健室に避難したの!うまくいったよ!」

「まあ、それは良かったですね」

「うん!アリスちゃんのお陰だね!」


本当に嬉しそうに笑っているヒロインを見ていると、心がチクチク痛みます。

私は養護教諭にヒロインを押し付けようと考え、提案しただけ。

私はいい人ではありません・・・

全て自分の為に動いただけ・・・

そう思っているけれど、口には出せません。

そんな自分が嫌になります。

悪役令嬢回避のはずが、ヒロインの心を操るような真似をして・・・

これでは、まさに悪役令嬢ではありませんか。

あ、だめ

なんだか落ち込んできた・・・


「・・・アリスちゃん、どうしたの?」


私の様子に異変を感じたヒロインが心配そうにしています。

私は無理やり笑顔を浮かべると、わざと明るく応対しました。


「大丈夫、なんでもありませんわ」

「なら、いいんだけど・・・アリスちゃんも何かあったら相談してね」


相談?!!

そんなこと出来るわけない!

私の悩みの原因は貴方なんですとは、口が裂けても言えません!!


「・・・ありがとうございます。それでは何かあったら相談させて頂きますわね」

「!!うん!」


それにしても・・・

先程からずっと気になっていることがあるのですが・・・

なにやらヒロインから甘い香りが漂ってきているのですが、これは・・・


「あ、そうだ!昨日ね、クッキーを焼いたんだ!沢山作ったから、良かったらアリスちゃんも食べてくれないかなーっと思って持ってきたんだ」

「クッキー?!!」


私は瞳を輝かせます。

甘いものは大好物です!

クッキーも大好物です!

そわそわしながら、ヒロインから可愛らしい袋を受け取ります。


「開けてもよろしいかしら?」

「どうぞ、どうぞ!えへへ、でも恥ずかしいな。不格好だけど許してね」


袋にかかるリボンを解く。

すると、優しく甘い匂いが強まりました。

思わず、ゴクリと喉がなってしまいます。

袋に指を入れ、中身を一枚取り出すと、まん丸い茶色の塊が姿を見せました。

私は、それを口に運びます。

一口、その塊を齧ると・・・

サクッとした感触のあと、ほろほろと口のなかで生地が優しく溶けていきました。


「!!!!!!!!!」


美味しさのあまり、口がωの形になってしまいます。

なにこれ、なにこれ、おいしーーーーい!

外はサクサク、中はほろほろ!

ヤバいヤバい!

今まで生きてきた人生の中で(前世含む)一番美味しいクッキーかもしれない!

あーーーーー!!



この!!

この感動をヒロインに伝えねば!!!!


「ルリカ!とっても!!とっても美味しいわ!!!」

「え、本当?!お金持ちの人の口に合うか心配だったんだけど、良かったぁ」


私が興奮しながらヒロインに詰め寄ると、ヒロインはホニャっと笑みを浮かべました。

あ、ヒロイン可愛いわ。

ヒロインに落ちる攻略対象の気持ちが良くわかった!


今までの警戒心が、雪のように溶けていきます。

美味しいお菓子を作れる人に悪い人はいません!

決して!

決して、お菓子に釣られているわけでは・・・

釣られているわけでは・・・

ありません・・・よ?



次の更新は、来週を予定しています。

ブックマークありがとうございます。

読んで頂けて嬉しいです。

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