4.空から女の子が降ってきました。
空から降ってきた女の子とは・・・?!
何となく、察することができますね(苦笑)
私は驚いている・・・
今までにない程にだ・・・!!!
予想外の展開で頭がついていかない。
驚きが天元突破している。
それも!!!!
現在進行形でだっ!!!!
どうしてこうなった!!!!
私の名前は、アリステラ・ディ・ティエラ
異世界転生したかと思っていたら、乙女ゲームの世界に転生していた女子です。
三か月前、恐れていた乙女ゲーム舞台の学園へ入学しました。
といっても、入学してから早三か月。
何事もなく平穏な学園生活をおくっております。
婚約者で、乙女ゲームの攻略対象の一人でもある、リュシオン王子ことリューとも変わりなく仲の良い日々をおくっております。
そう、私の婚約者は乙女ゲームの攻略対象の一人。
攻略対象の花形!!王子様なのです!
ヒロインはというと、ゲーム展開通り・・・
いえ、それ以上に回りの殿方を魅了しているようですが、メイン攻略対象のリューとは、何の進展もない様です。
むしろ一言も言葉を交わしていないとの事。
リュー曰く、彼女の回りをクラスの男子が取り囲み、牽制し合っているとの事です。
そしてリューはそれを見て、若干引いている・・・と。
その中に、宰相の息子(リューの幼馴染1)や騎士団長の息子(リューの幼馴染2)もいるので、あいつらは一体どうしたんだ・・・と、色々やらかしているらしい二人に頭を抱えていらっしゃるみたい。
・・・色々って何かって・・・?
・・・・・・色々ですよ。
女子トイレの前でヒロインが出てくるのを待っていたり・・・
(最初の頃は一緒に女子トイレの中まで入ってこようとしていたらしいです。)
学食でヒロインの使った使用済の食器を巡り(?)喧嘩騒ぎをおこしたり・・・
(使用済です・・・使用済ですよ・・・)
他にもエトセトラ・エトセトラ・・・
やることなすこと、変態さんまっしぐらです。
リューが頭を抱えるのも頷けます。
今後もヒロイン含む取り巻き達には近づかないでおこうと改めて誓いを立てていた、とある日。
それはお昼休みの出来事でした・・・・・・・・・
「ルリカ!ルリカ、どこにいるんだ!!」
「ああ、ルリカの姿がどこにも見えない!やはりトイレの中にまでついていくべきだった!」
「ああ、そうだな、今度からはそうしよう!」
「あんなに可愛い子なんだから、いつ誘拐されてしまうかわからないのに!僕は!!僕は何をしていたんだ!!」
「もしかすると・・・本当に誘拐されたんじゃ・・・」
「ルリカ!!ルリカあああああああああ!!!!!」
・・・・・・何か、綺麗な顔をした男性達が半狂乱になって、誰かを探し回っています。
しかも・・・言葉の端々に・・・おかしな言葉が・・・混じっていましたよ・・・???
あの集団の中に見覚えのある顔もあります。
あれは・・・宰相の息子と騎士団長の息子では・・・・・・
しらん顔で通り過ぎましたが、心の中では戦々恐々です。
ルリカとは・・・
ヒロインの名前です。
ヒロインの名前は、井上 瑠璃花ちゃん。
皆からは『ルリカ』と呼ばれているようです。
その子が・・・姿を消している・・・
ま、巻き込まれないうちに、急いで教室へ戻りましょう!
そしてうっかり近道をしたのが運の尽き
私は・・・ついにヒロインと出会ってしまいました。
あああああ私のバカあああああああ
近道をしようとしなければ!!
しようとしなければああああ!!
そう思っても後の祭りです。
教室まで近道をしようと人気の少ない道を急ぎ足で歩いていた時です・・・
なんと・・・
ヒロインは・・・
空から降ってきました。
最初は何がおこったのかわからず、気が付くと空を仰ぎ見ていました。
どうやら上から落ちてきた人物にぶつかり、地面に押し倒されているようです。
そして、今現在自分の目の前には、黒い艶やかな黒髪が広がっています。
く ろ か み ・・・だと?!
はい、そうです。
黒い髪の人物は、この学園ではただ一人しかいません。
ヒロインしか・・・ヒロインしかいないんですよおおおおお・・・
・・・どうやら私はヒロインの下敷きになっているようです。
仰向きに倒れている私の上にヒロインが突っ伏しています。
しかし空から降ってくるとは、ある意味ヒロインらしい登場ですね!
女性の私に対してもフラグをたてるつもりなんでしょうか?
えっと・・・ところで・・・
倒れた拍子にヒロインの顔が私の谷間にですね・・・・
えっと・・・その・・・
埋まってしまっているのですが・・・
これは偶然なので仕方がないとは思っているのですが・・・
それだけではなく、あの・・・
何故か・・・両手でモニモニ胸を揉まれて・・・いるような・・・???
ヒロインよ、何をしているのですか・・・
私はまず深呼吸をして自分を落ち着かせるよう、努めました。
吸って吐いて
吸って吐いて
ああ・・・けれど、まさかヒロインが空から降ってきて、人を地面に押し倒し、そのまま人様の胸を揉みしだくとは予想できませんでした。
ラッキースケベの男性主人公ではあるまいに・・・
「はあ・・・」
あまりの事態に吐息をこぼす。
ところでヒロインよ、そろそろ胸を揉むのをやめてくれ。
「あの・・・そろそろ退いて頂けないかしら・・・?」
控えめにそう声をかけると、ヒロインはようやく我に返ったらしく、慌てて私の上から退いてくれました。
「え・・・あ!!ご、ごめんなさい!!あの・・・どこか怪我してないですか?!」
ヒロインはガバッ!と顔を上げ、上体を起こすと、平謝りをしてきた。
動転しているようで、とっても狼狽えています。
「私は大丈夫ですよ。貴方はお怪我していない?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
つとめて優しく聞こえるよう話かけたら、ヒロインはビックリしたように瞳を見開き、暫く私の顔をジッと見ていた。
・・・かと思ったら、突然瞳を潤ませ泣き出した。
えっ、 なんで?!!
なんで急に泣き出すの?!
私何もしてないよ?!!
むしろ胸まで揉まれた私の方が泣きたいよ?!!
何でいきなり泣き出すのおお?!!
おろおろしていると、泣きじゃくっているヒロインが衝撃の一言を放った。
「うええええん!柔らかい!女の子だあああああ!癒しだあああああ!」
・・・?
ちょっと待って。
訳がわからないぞ?!!