2.僕は運命と出会った【王子視点】
王子様視点の話になります。
その日、僕は運命と出会った。
僕の名前は、リュシオン・エル・ルークス
ルークス王国の王子です。
父は国王をしています。
僕の家族は、父・母・弟
そして僕たちを支えてくれる沢山の臣下たち。
お隣の国の王様には沢山の愛妾と愛妾の方が生んだ数えきれないほどのお子様もいるそうですが、父上は母上にベタ惚れなので、うちの国には愛妾は一人もいません。
けれどお隣の国の王様の愛妾が99人とは、多すぎませんか?
愛妾は沢山いるのに正妃がいないというのも不思議なお話です。
お隣のお国事情がどうなっているのか、幼い僕にはわからないことばかりです。
父上の母上への執着は異常といわれる域に達していると思います。
息子の僕と弟ですら、母上と会話をすると父上は拗ねるのです。
母上つきの女官にも良い顔をしないので、自分以外の人が母上に近づくのが嫌で嫌でたまらないみたいです。
困った父上ですね。
母上はおっとりとした方なので、そんな父上の執着も気にならないみたいですが。
けれど、父上・・・
「他の男を見たら、君を殺して俺も死ぬ・・・」というのは行き過ぎではないでしょうか?
見ただけでですか・・・?
それは無茶だと思うのですが。
母上も困ったように、「あらあら・・」と微笑んでおられました。
「私には貴方だけよ、愛しい人」
そうして父上を愛しげに包み込み、胸に抱きしめる母上の姿を見ていると、父上が少し羨ましくなります。
僕も将来結婚して妃になる方と、父上と母上のような関係を気づけたらと思います。
僕は第一王位継承者なので、問題がなければ、父上の後を継ぎ、次代の王となります。
国民に示す、いつまでも仲睦まじい理想の夫婦の姿。
豊かな土地と、安らかに過ごせる平和な国
今より国が繁栄できるよう、僕は皆の期待に応えたい。
将来を見据え、勉強も剣のお稽古も沢山の習い事も頑張ります!
つい先日5歳の誕生日をむかえ、今日、婚約者と会う事となりました。
父上の旧友の娘さんとの事です。
ドキドキしながら、今日という日をむかえ、先程婚約者の女の子と父親と思わしき男性をお迎えしました。
男性の髪色はどぎついピンク色ですね。
珍しい髪色です。
そして僕の婚約者の少女は・・・
ーーーーーーーーー天使でした。
なんて美しい女の子なのだろうと、見惚れてしまいました。
ピンクゴールドの腰まで届くフワフワの髪は光沢を放っており、キラキラ輝いています。
雪のような白い肌に、ふっくらとした薔薇色の頬と小さな形の良い可憐な唇は、どこもかしこもとても柔らかそうです。
大きな瞳は綺麗な空色で、瞳がこぼれ落ちそうな程、見開いていますが・・・
どうしたのかな?
ああ、でもでも!!
なんて!!!!なんて!!!!可愛いんだろう!!
甘い甘いお菓子のような女の子です。
この子が僕の婚約者!
この子が僕のお嫁さん!
この子が!!この子が!!この子が!!!!
僕の生涯の愛する人ーーーーーーーー!!!
この時、初めて父上の気持ちを理解することができました。
『他の男を見たら、君を殺して僕も死ぬ』
そうか、この気持ちを言葉に出したら、こうなるのか。
僕は目の前にいる少女を、一目見て狂おしい程、好きになりました。
胸が苦しい。
好きの気持ちが溢れて止まらない。
君の大きな空色の瞳には僕はどう映っているのだろう。
その時女の子が小さな声で呟いた。
言葉の内容は残念ながら、聞こえなかったけれど。
でも声も可愛いらしいんだな、と自然と笑みが深くなった。
「初めまして、僕の名前は、リュシオン・エル・ルークス
君の名前は?」
自分の自己紹介をして、彼女に手を差し出す。
すると彼女は頬を染め、視線を落としながら、名前を教えてくれた。
「は、初めまして。私の名前は、アリステラ・ディ・ティエラ・・・と申します。」
「アリステラ!可愛い名前だね!」
差し出した手を、小さな手がオズオズと、だけど柔らかく握ってくれる。
可愛い!可愛い!可愛い!
彼女の全てが愛おしい!
ああ、僕の天使。
君の手を僕は永遠に離さない。
この時この瞬間から、死んでも君を愛すると誓うよ。