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11.彼と彼女に取り合われております。


今週分の更新は早めにできたのでは?!と思っていたのですが、月曜日が祝日だったので、もう週の半ばになっておりました。

少し短いですが、キリの良い所まで書かせて頂きました。

楽しんで頂けると嬉しいです。




私の右側にはヒロインが

そして左側には婚約者が

私を挟んで、お互い作り笑顔を浮かべております。

本来なら婚約者をめぐり、ヒロインと恋のバトルを繰り広げなければいけないのは私

けれど、何故だか私をめぐり、ヒロインと婚約者が火花を散らしているように見えるのは気のせいでしょうか。

んんん?

なんだか・・・おかしな展開になってきましたよ?






私の名前は、アリステラ・ディ・ティエラ

異世界転生したかと思っていたら、乙女ゲームの世界に転生していた女子です。

刃物を持った複数の男子生徒を相手に格闘を繰り広げ、先程全員倒し終えました。

こうして私は無事ヒロインを救うことが出来たのです。

~fin~

・・・なんて、こんな所で終われる筈がなく。

まだまだ事後処理が残っております。

思わずため息がこぼれてしまいますわね。



それはそうと・・・

今、ある考えが私の脳裏をよぎっていきました。

もしかするとこれは・・・ヒロインによる、ヒロインの為の、攻略イベントだったのでは?

・・・ヒロインめちゃくちゃ脅えていましたが。

傍から見ると、攻略対象が率先してヒロインを助けに来る場面です。

もしかして・・・

私、攻略対象達のフラグをぽっきり折ってしまいました?

もしくは、攻略対象は私だったなんてことーーーーー

ま、まさかね?!!

このゲームは百合ゲーではありませんもの!

攻略対象に女性がいたなんて聞いたことがありませんし!

そ、そうよ!

これは恋愛フラグではなく、友人フラグだったのよ、きっと!

ヒロインにはもう恋人がいることですし、恋愛フラグが立つハズがありませんわ。

ホホホ・・・

フラグ・・・立っていませんよね?



私はヒロインと一緒に空き部屋を出ると、部屋近くに控えていた執事の一人に教員を呼んでくるよう指示を出しました。

どうやら男子生徒に仕える執事たちが主の異変に気付き、近くに待機していたようです。

他の執事には、男子生徒達の介抱をお願いしました。

私は胸を撫で下ろします。

とりあえず、この場は何とかなりそうだと。

気絶している男子生徒をこのままにしておく訳にはいきませんものね。



しばらくすると教員が数人と、リューが現場にやってきました。



「ステラ!」


リューが私のもとへ駆けてきます。


「リュー!来てくれたの!」

「当たり前だよ!心配したんだから!」

「・・・ごめんなさい。来てくれて、ありがとう」


リューと抱き合います。

するとリューは力いっぱい私の体を抱きしめてきました。

苦しい!リュー、苦しい!


「リュー、苦しいですわ」

「僕に心配をかけた罰だよ」

「う・・・申し訳ありません」

「もう・・・君って人は」


リューは眦を下げると、腕の力を緩め、私を優しく包み込むように抱きしめなおしてくれます。


「君がいくら強くても、もしもってことがあるんだよ。無茶しないで」

「・・・はい」


私はリューの背を抱き返し、彼の胸に頭を預けます。

殊勝な返事をしましたが、もしもなにかが起こったら、私はきっと同じことをするでしょう。

後悔はしたくありませんもの。

心配をかけるけれど、ごめんなさいね、リュー


「あのー・・・アリスちゃん?」


そこにルリカから声がかかりました。

きゃーーー!

ヒロインのことをすっかり忘れてイチャついてしまいました!

恥ずかしいーーーーー!!!!!

私の根っこは日本人なのです!

外国の方のように気軽にハグやキスは出来ません!

羞恥心で恥ずか死んでしまいます!!!


「あ、あらルリカ、ごめんなさい」


あう・・・声がひっくり返ってしまいました。

いそいそとリューから離れると、リューがムッとした顔をします。

先日、リューが女性相手にも嫉妬することがわかったので、あとでフォローを入れなければいけませんね。



「アリスちゃん。その人って・・・えっと」

「紹介しますわ。私の婚約者のリュシオン・エル・ルークスです。ルリカのクラスメイトでもありますわね」

「ああー!どうりで見たことのある顔だと!アリスちゃんの婚約者なんだ?!」


ヒロインよ、相手は王子様なのよ!

その態度はマズイわ!

この子・・・リューが我が国の王子だということを知らないのかしら。

彼の名前を聞いても気にする素振りもないし。

全く興味がないみたい・・・

本当に男性が苦手なのですね。



そしてリューもリューで、彼女が私を押し倒し、私の胸を揉み拉いたことは知っています。

ええ、以前私が話しましたもの。

その時の会話を覚えていて、ヒロインのことを未だ危険人物だと思っているようです。

最近ではお茶会をする仲になっていると伝えてあるのですが、私の胸を揉んだことについて彼の恨みはまだ晴れないようです。

リューは私とヒロインの間に割り込み、私たちを離れさせました。


「やあ、ルリカ嬢。僕はリュシオン・エル・ルークス。彼女の婚約者です!」


ニコニコ笑顔を浮かべているけれど、目が笑っていないわ、リュー・・・

そしてヒロインも、笑みを浮かべながら、青筋を浮かべています・・・


「へー、そうなんだ!私は!アリスちゃんの友人です!!」


バチバチバチ・・・

見えない火花が散っています。

リューもヒロインの攻略対象の一人のはずなのですが。

敵対しているように見えるのは何故でしょう。


私たちが横で話をしている間に、教員が倒れた生徒達を次々と運んでいきます。

教員を呼びに行かせた執事には、男子生徒たちが誰かに操られている可能性があることを伝えたので、その話が教師にも伝わり対応がスムーズにいっているのでしょう。

そちらは問題なさそうですね。


問題があるのはコチラです。


「リュー、相談したいことがありますの」

「ああ、なんだい?」

「彼らの事なのですが・・・」


私がチラリと目線だけで男子生徒達を見ると、リューは頷き、場所を変えて話をすることになりました。


今日予定していたお茶会場所の東屋で、リューとヒロインを囲み、お茶の準備をします。

一度落ち着く為に、お菓子と紅茶をいただくことにしました。

温かく香り豊かな紅茶は、心も体も癒してくれます。


「落ち着きますわー」

「さっきまで殺されそうになっていたなんて信じられないよね」

「ほんとうに」


一度カップをソーサーに戻すと、私は改めてリューに向き直ります。


「リュー、先程の事なのですが。彼らは・・・魔法で操られているようでした」

「ああ、少し話を聞いているよ」

「それで、今この学園で魔法の使える人物はー・・・」

「・・・僕しかいないハズだね。もちろん僕はやっていないけれど」


リューは真摯な表情で私を見つめます。


「貴方が魔法を使って人を襲わせただなんて、欠片も思っていないわ」

「うん・・・信じてくれてありがとう、ステラ」

「当たり前よ」


リューなら、正々堂々と正面から行くハズです。

こんな卑怯な事をするハズがありません!


私たちの会話が理解できなかったのか、ヒロインは首を傾げています。


「ねえ、なんでこの学園で魔法が使えるのは、アリスちゃんの婚約者だけなの?他の人も使えるんじゃないの?」

「ああ、ルリカは知らなかったのね」


そう。

私もこの世界の魔法事情を知ったのは、リューと婚約した後でした。


「この世界で魔法を使うことが出来るのは、王家に連なる血を持つ方々だけなのよ」

「え?!」


私も魔法が使えるかもしれないとドキドキしていた頃がありました。

けれどリューと婚約し、魔法を使うことが出来るのは王家の人間だけだと知り、とてもガッカリしました。

なので、私はこれからも一生魔法を使うことができません。

はあーーーーー・・・

本当に・・・

ガッカリ・・・

魔法に憧れていたんだけどな・・・

リューは勿論魔法が使えますよ。

ばっちり王家の血をひく、王子様ですからね。


幼い頃、リューが魔法の訓練をしている間、私はひたすら剣と武術の稽古に打ち込んでいました。

最初のうちは渋々だったのですが、自由に身体を動かす事がとても楽しく、私の世界は一転したのです。

私の前世での趣味は、スイーツ巡りと映画観賞でした。

新作映画を見る為に忙しい仕事の合間をぬって映画館に通い、休日になると家で沢山のレンタル作品を見ていました。

なので、剣や魔法、華麗に敵と戦うヒーローやヒロインに憧れていたのです。

魔法は断念しなければいけませんでしたが、剣と武術はよりよく学べる環境にあったので、特訓すれば映画のアクションスターのように動けるのではないかと希望が生まれました。

しかも周りには戦いに優れた一級の戦士が山ほどいるのです。

私は沢山の師から、様々な戦い方を学びました。

そして現在の私のスタイルが確立され、お前の動きはおかしい!と言われるようになったのです。


リューはというと、順調に魔法のコントロールを覚え、強力な魔法も難なく覚えていきました。

私と一緒に剣も学んでいたのですが、リューは剣の才能もあったようで、剣だけで勝負するとなかなか勝つことができません。

将来のお嫁様より弱い旦那様にはなりたくないから必死なんだよ・・・と言っていましたが。

私は悔しいです。

剣と武闘を取り入れたトリッキーな戦い方をすればリューにも勝てるのですが、剣だけでリューを負かせられるくらい強くなりたいのです。

リューの隣に立ち、リューを守れるように。

本当に・・・令嬢としては間違った考えだと思います。

けれど私は将来、国母になるのです。

強く・・・あらゆる面で強く有らねばなりません。

その覚悟と共に生きてきたのです。

なので、何の覚悟もないぽっと出のヒロインにその座を奪われる事が許せませんでした。

ここはゲームの世界かもしれません。

しかし今ここは私の生きる現実でもあるのです。

破滅の道を辿らないよう行動してきたつもりですが、内心は不安でいっぱいでした。

その不安を解消してくれたのは二人の人物でした。


一人は婚約者のリュー

リューと過ごした時間は私の宝です。

彼は私に常に愛を囁いてくれます。

大切な大切な婚約者


そしてもう一人は、あんなに出会うことを恐れ拒絶していたヒロイン

彼女と出会い、彼女の事を知るうちに、私の不安は少しずつなくなっていきました。

まさか、ヒロイン自身が私の不安な心を吹き飛ばしてくれるだなんて!


けれど今日・・・

私の友人は襲われました。

私の不安を取り除いてくれた、大切な友人が、死んでいたかもしれないのです。

犯人は、魔法を使うことのできる、王家の人間

彼女が個人的に狙われているのは確実です。

いったい誰が・・・


そして・・・私はヒロインに教えなければいけないことがあるのです。


「ルリカ、よく聞いて。以前貴方から聞いた魔法が使えるという恋人の事なのだけれど・・・」

「う、うん」

「魔法が使えるということは・・・その方も王家の血をひかれているという事だわ」

「・・・うそ」

「嘘ではないわ」

「え・・・だって・・・彼、おネエなんだよ?」

「・・・・・・」




そうだったああああ!

彼女の恋人は、おネエでしたああああ!

王家の血をひく尊き方がおネエ!!!!?

なんという・・・ことでしょう・・・




次の更新は、来週を予定しております。

うまくまとめられると良いのですが。

頑張ります!

読んで頂き、ありがとうございました!

ブックマークもありがとうございます。

励みになります。


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