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ビー・ア・ヒーラー  作者: LPQ
4/8

ついにボス戦!ミラ最大のピンチ?

一人じゃどうしようもない敵も、ミラという心強い仲間が加わったから余裕だよね!多分。

さて、川まで戻ってきました。はい出てきましたねでかいヤゴ。

「うわ…。」

うん、やっぱそういう反応するよね。だってキモいもん。全国のヤゴ好きの方ごめんなさい。このサイズはどうやっても好きになれません。

「えーと、それで私はどうすれば?」

「とりあえず火の魔法をあいつにぶっぱしてみてくれない?」

「あ、はい。ファイア!」

杖の先から飛び出る小さな火の玉。ヤゴにクリーンヒット。物凄い悲鳴を上げるヤゴ。

「お、効いてるっぽいな。このままいけば結構簡単に倒せそうだ。」

しかし、ヤゴは川の中に潜って炎を消し去る。

「消されましたね。」

「消されたな。」

「どうします?」

二人で顔を見合わせる。

さっきの攻撃に懲りたのかヤゴは水中からは出てこない。しかし、足だけ出して攻撃態勢は十分のようだ。

流石にあんな小さな火の玉で動き回る足を狙い打てっていうのも酷な話だ。

ミラは火のほかに水の魔法も使えると言っていたが、水生生物に水の魔法が効くとは思えない。

とりあえず俺は周りを見渡してみる。周りはどこもかしこも木くらいしか…待てよ?

「なあ、ミラ。あそこの木の根元にファイア撃ってくれない?」

「え?あ、はい。ファイア!」

木の根元に当たる火の玉。根元がもろくなり川に倒れる木。せき止められる水。

グッジョブ。これで水の中に隠れられなくなった。あとはファイアを連打すれば勝ちだろう。

俺は何も仕事してないけど仕方ないよね!だって神官だもん。

「ファイア!」

ミラの掛け声とともに燃え上がるヤゴ。

「ファイア!ファイア!ファイア!」

とどめの3連発でヤゴは断末魔を響かせた後に倒れた。

「やっと先に進める…。」

ふと周囲を見渡すと、雷の魔法で水中に潜もうがお構いなしに魔法を撃ち込んでいるパーティーや麻痺で動けなくさせた状態でめった撃ちにしているパーティーなど、環境を破壊したのは俺たちだけらしい。

「なんか…申し訳ないですね。」

「そうだな…少なくともせき止めておいた木はちゃんと処理してから進もう…。」

二人で協力して木をどかす…動かん。いやまあ川をせき止められるくらいの大木だ。そりゃあ2人じゃ動かせないよなあ…。俺が頭を抱えていると上流からヤゴの屍が流れてきた。さっきの雷魔法の餌食になったやつだ。そのまま木にぶつかると木を粉砕しながら下流へと流れていった。

「…うん、何とかなったっぽいな…。」

「ですね。面倒なので今度から環境破壊はやめましょうか。」

俺たちは反省しながらフロアの奥へ進む。来ました4Fへの入り口。あのヤゴ以上のモンスターがいると思うと気が重いが進むしかない。

「えーっと、もう日付変わってるけどどうする?続けられる?」

俺は時計を確認しながらミラに尋ねる。

「はい、平気です。」

コクコクとうなずくミラ。えー、ユナといいこの子といい、最近の女の子はゲームガチ勢が多いんですかね?まあさすがに明日が土曜日じゃなければこんな時間までやってないだろうけど…やってないよな?

「そっか。じゃあ進むぞ。」

俺たちは4Fへと進む。


「…え?」

俺は目を疑った。だって目の前に5Fへの入り口があるんだもの。あれか、ボス戦前の最後の休憩スペースか。なるほど、こんなスペースを設けるとはボスはよほど強いらしい。

「とりあえずMPが回復するまでここで待機するか。」

「ですね。」

女の子と2人で森の中。訪れる沈黙。うん、話すことがないな。でもなんかこのまま無言で座ってると眠く…

「あの。」

「ふぁいっ!?」

思わず寝てしまっていたようだ。ダンジョンの中で寝るとか余裕だな、俺。

「えーっと、MPが全回復したので行けますよ。」

「そ、そうか。じゃあ行こうか。」

俺は基本お荷物なんだから置いて行ってもよかったのに優しいなこの子。

さて、いざボス戦だ。


「あれ?」

俺は再び目を疑う。ボスフロアだから出口がまだ出現していないのはわかるが、肝心のボスモンスターがいない。周りを見ても木しかない。

「敵、いませんね…ひゃん!?」

何かかわいい悲鳴が聞こえたと思ったら何か木から蔦が伸びてきてミラをとらえていた。

触手プレイ、グッジョブ。でも今はそれどころじゃない。

「もしかしてボスモンスターって…。」

目の前のひときわ大きな木が動き出し、顔が現れる。やっぱりか。ボスモンスターは木の化け物、トレントだ。ん?でも木の化け物ってことはファイアで死ぬんじゃ…。ってそうだミラ捕まってんじゃん。とりあえず助けねば。

俺は蔦を切ろうと奮闘するが、何せ武器は杖。全然切れません。

「私のことはいいから早くボス本体をぉ…いやぁん」

何かどんどんエロい喘ぎ声をだすミラ。何か俺の理性が持たなそうなのでとっとと突撃。俺、神官なんだけどなあ…。

とりあえず本体を殴ってみる。うん、全然HP減らないね。どうしよう。

「早く、早くぅ、うぅん」

やめろ、せっかく俺が考えてるのに邪魔をするんじゃない。目にも耳にも毒だな全く。ん?目?

そうだ、モンスターの弱点といえば目と相場が決まっている。折角弱点をこちらに晒してきたんだ、そこを狙わない手はない。

「そりゃぁ!」

俺はトレントの目を杖で一突きにする。

ぐぎゃあという悲鳴とともに減るHP。うん、でも減り方が微妙。しかしそのおかげで蔦が緩んだようだ。ミラが何とか蔦から脱出する。その直後にミラはトレントに杖を構える。

「ファイア、ファイア、ファイアぁん!」

ちょっと喘ぎが残ってる!なんだそのエロい魔法!

しかし掛け声とは裏腹に効果は抜群だ。HPが一気になくなる。

「ぜえ、ぜえ、ぜえ…」

何かすごい疲れ切ってる。お疲れ。

そうだ、これでダンジョンクリアだ。長かった…。

『始まりの森をクリア!報酬としてヤゴの抜け殻を手に入れました!』

「いらねえええええええええええええ!」

俺の絶叫とともに始まりの森攻略は幕を閉じた。


後日、ユナに会って経緯を説明する。

「えーっと…お疲れさま。神官ってやっぱり本当に大変なんだね。私の時は火をまとった剣で大抵の敵はワンパンできてたから…。」

何だよそれ、魔法剣士ってチートかよ。いやでもまあ魔法剣士でなくても大抵の職なら苦労しないんだろうけどさあ。正直今回のダンジョン攻略も全部ミラのおかげみたいなもんだしさ。あの後一応フレンド登録したけどあのときはたまたま助けたから手伝ってくれたけど貸し借りがなくなった今再び助けてくれるかは不安なところだ。

「それで、報酬は何だった?」

「ヤゴの抜け殻。」

「おお、それはドロップの中ではいい方だよ。」

「え?抜け殻だぞ?」

ユナがチッチッチと指を振る。

「戦ってみてわかったでしょ?ヤゴの殻って固いんだよ。だから防具とかの材料になるんだ。」

なるほど、今回はたまたま攻撃を食らってなかったから防具の大切さには気づけなかった恐らくミラが3Fで

死にかけていたあたり、防御力は結構大事かもしれない。でもあれか、攻撃を食らってなかったってことは本当に神官の俺、何もしてなかったんだなあ…。

「とりあえず、鍛冶屋へ行って武器と防具は新調したほうがいいよ。初期装備が許されるのは初心者と縛りプレイ勢だけだからね。あ、治も神官っていう縛りプレイしてたっけ。」

はったおすぞこの野郎。ってかゲームの中で本名で呼ぶんじゃない。プライバシーがダダ漏れだ。

「ごめんごめん、何かシロって名前に慣れてなくてさー。」

まあ俺もシロって呼ばれて咄嗟に振り向ける自信はないが。

「まあとりあえず最初のダンジョン攻略だね。次は火山かー。頑張ってね。」

「うわぁ…。何かめっちゃやけどとかの状態異常やってきそうだな。」

「神官でしょ?それくらい治しなさいよ。」

そんなこと言ってもなあ…。俺はスキルを確認する。

ヒール 味方一人のHPを小回復

ハイヒール 味方一人のHPを中回復

エリアヒール 範囲内の味方のHPを小回復

うん、見事に状態異常回復スキルは覚えてないな。どうしよう。

「いや、普通にアイテム買えばいいだけじゃない?」

「…ハッ」

そうだ、ダンジョンをクリアしたのだからお金はある。俺は早速アイテムショップへ向かう。

うーむ。状態異常回復薬は何個くらい必要なのだろうか。そもそも敵が状態異常をかけてくるかどうかはわからない。無駄な出費もできれば押さえたい。この後鍛冶屋で装備も新調したいし。よく考えたら始まりの森だって毒とかの状態異常を受けるかもしれなかったが、実際は来なかった。恐らくレベルが上がれば状態異常も回復できるようになる以上、買ったところでただの荷物にしかならないのではないか。

うーむ、まああれだ。まずは鍛冶屋へ行って装備の値段を見てから決めよう。

てなわけで鍛冶屋へGO。


はい着きました。鍛冶屋でございます。店主はごついおっさん。早速俺はヤゴの抜け殻をおっさんに手渡しながら尋ねる。

「すみません、これで防具作るとしたらいくらかかりますか?」

「その前にもっと数を集めてきな。それで装備を作るんであればあと3つは必要だな。」

あと3つ!あの自然破壊してようやく1匹だけ倒したヤゴを最低でも3匹以上狩れと申すか!

「…そうですか。すみません、失礼しました。」

えーと、流石に素材なしでアイテムショップで装備を買うと値段は高い上に性能もあまり高くないのでお金の無駄。というわけで初期装備で火山に突撃することが決定いたしました。やばい、どうしよう。

とりあえずアイテムショップに戻ってきた俺は再び状態異常回復薬の前でウロウロする。うーむ、どうしようか。すると、後ろから声がかかる。あ、もしかして邪魔になってたかな?そう思って後ろを振り返ると黒いフードを被った女の子が立っていた。

「メロさん!?」

「やあやあ頑張ってるねえ初心者君。どうしたんだいそんなところでうろうろして。」

「えっと…」

俺は現在の事情を話す。するとメロさんは笑いながら

「君は神官なのだろ?状態異常をされてダメージを負ったならその都度HPを回復すればよい話ではないか?」

「あ…。」

よく考えたらそうだ。火山でこちらが動けなくなるような状態異常をかけてくるようなものはあまり考えつかない。あったとしてもせいぜいやけどが関の山だ。殴りすぎて基本的な神官の仕事に目がいってなかった。

「ありがとうございます!俺、頑張ってきます!」

「ほいほい、頑張りぃやー」

俺の後ろで手を振るメロさん。よし、頑張るぞー。

俺を見送ったメロがぽつりと一言。

「あれ、あの子神官だしパーティー組んでるんだよね?あそこはあの子くらいのレベルだとどの職でも2人いないと厳しいと思うんだけどな。」

だがしかし、ミラと別れた俺は当然独りぼっち。どうする俺。


ここからは火山編となりまーす。忙しいのでちょっと投稿時期が開くかも…。

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