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ビー・ア・ヒーラー  作者: LPQ
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いざ、始まりの森へ

どうも、やっぱりあれですね。区切るタイミングが難しい。自分、理系なんでどうも文章を書くのが苦手らしい。

「よし、着いた。ここが大聖堂ですな。」

広場から少し歩いたところにある大聖堂。見た目は教会みたいなんだが、中はあれだ、一言で言うとポケ○ンセンターみたいな感じ。カウンターが窓口ごとに分かれていて、ジョブ関連、クエスト関連、ギルド関連などさまざまなものがあるらしい。とりあえずまずはチュートリアルを受けねば。

てなわけでちゃちゃっとクエスト関連の窓口に行ってチュートリアルクエストを受ける。

「なになに?まずは「ジョブを決めよう」…ねぇ。ジョブ関連の窓口は…あそこか。」

窓口には結構人が群がっていたが、さすがゲーム。受け付けはCPUなので同時に何人でも相手できるみたい。普通のプレイヤーは1つの世界に1人しか存在できないが、CPUは同じ時間軸にプレイヤーの数ごとに存在するため、プレイヤーとサシで話ができるというわけだ。まあ周りから見たら1体しかいないように見えるんだけどね。おかげでゆっくりジョブについての説明を受けることが出来た。結構ジョブにもいろいろ種類があるみたい。武器も剣や槍などオーソドックスなものからヌンチャクやトンファーなどバラエティに富んでいるみたいだ。中には魔法少女ステッキみたいな俺には触ることすらはばかられるものもあるとか…。

「うーむ、結構いろいろあるんだなぁ。折角一緒にやるんだし、ユナと被らないほうがいいよな。あ、そういえば、ユナって何のジョブなんだっけ。」

俺はフレンド欄からユナのステータスを見る。招待が成立した時点で勝手にフレンドに追加されてるのは仕様なんだろうね。

「えっと…魔法剣士?なんだそりゃ。剣で戦いながら魔法で戦うの?何それ強そう。でもまあそれだけ扱いが難しいんだろうね。初心者の俺はおとなしくよくある職を使いますかね…ん?」

俺はふと受付のCPUの後ろにある張り紙に目をやる。

「すいません、この張り紙って何ですか?」

「こちらは各職の人口を表したものとなります。現在最も人気なのは剣士、続いてソードマスターとなります。」

うん、ごめん。その2つの違いが判らない。

「ええと…その2つは何が違うんですか?」

「ソードマスターは剣士のレベルを一定以上にすると転職できる剣士の上位互換みたいなものです。要するに剣士が大人気ってことですね。」

そりゃあ剣士って何かかっこいいもんな。ほら、大抵物語の主人公って剣とか刀とか装備してるしね。

「逆に不人気なのは…神官か。確かに回復役って人気があるイメージないな。特にこういう全身で楽しむVDだと敵をバッサバッサ倒していく方が気持ちいいもんな。」

「そうですね、それに加えて序盤のレベルの上げにくさも災いしていると思います。」

「というと?」

「基本的に神官は回復役ですので、戦闘に勝つには基本的にパーティーを組むのが前提です。この時点で大多数のソロプレイヤーが除外されますね。さらに、序盤はレベルが低いため、強い敵と戦っていたら味方への回復量が足りなくて死ぬ上に、弱い敵と戦ったらそもそも神官の出番がなくなって経験値が入らないなんてことが頻発するようですね。」

「じゃあどうするんですか?」

「さあ、それはプレイヤー次第ではないでしょうかね。」

…うーん困った。まあ俺が神官を選ばなきゃいい話なんだけどね。いやでも待てよ?これだけ神官の人口が少ないんであれば、神官不足でユナも困ってるのではないだろうか。下手に役割がかぶって空気になるくらいだったら多少いばらの道でも神官になったほうが後々助かるのでは?

「ちなみに一度ジョブを選択すると一定以上のレベルになるまで転職できませんのでよく考えて選択してくださいね。」

うわ、何かすごいプレッシャーかけてくる。でも別にこれはあくまでゲームだし、深く考える必要はない。魔法剣士は前衛後衛こなせるって言ってたし、基本的に攻撃する職だと被る。そう、神官イズベスト!

「うん…よし、神官になりますか。」

「なるほど、わかりました。それではこの杖とローブをお受け取りください。神官の初期装備です。」

「ありがとうございます。」

さて…と。杖とローブを装備して…ああ、本当に神官って全然いないんだな。俺と同じ格好してる人がこの総合センター内を見渡しても全然いない。いやまあ装備が違うだけで一応神官はいるんだろうけど、俺と同時期に始めて神官になった人間はいないようだ。神官、かわいそす。


「さてと。次は「始まりの森を探索しよう」か。ついに戦闘が始まる感じかな。だったらもう少しアイテムを整えていきたいね。」

さて、お店、お店っと…。お、なんか露店みたいに地べたにマットを引いて品物を売ってる黒いフードを被った女の子を発見。少し近づいてみる。…って高っ。俺には手を出せそうもない。

「お、いらっしゃいお客さん、その装備は初心者かな?悪いんだけど、初心者が買えるような値段のものは置いてないんだよー、ごめんねぇ。」

開口一番謝られてしまった。何か申し訳ない。

「あ、すいません、見てるだけです。というか個人経営で店なんて出せるんですね。」

「そうだよー。本当に初心者なんだね。初心者さんは相場とかわからないだろうし、プレイヤーのお店はお勧めしないかな。でないとわるーい人に騙されちゃうぞ?」

そんな上目遣いで言われるとむしろそのあざとさであなたが詐欺とかしてるんじゃないか説が俺の中で急浮上してるんですけど。

「気を付けます。えーっと、それでCPUの店ってどこにありますかね?」

「それなら向こうの角を曲がってすぐだよん。」

「ありがとうございます、えーっと…」

「メロだお」

「メロさん、ありがとうございました。」

「ほいほい、まあ頑張りなされ」

俺は露店をあとにして、CPUのアイテムショップに向かう。

「ほほう、結構品ぞろえはいいみたい…なのかな?始めたばっかだからわからんけど。」

一応全職の武器や防具、いろんな消費アイテムが置いてあった。と言っても私は現在所持金が先ほどの「ジョブを決めよう」の達成報酬で得た100Gしかもっておりませんのでほとんど何も買えません!ウィンドウショッピングというやつですな。まあチュートリアルクエストでいくらかもらえるんだろうけどさぁ。

「えーっと、HPを回復できるポーションにMPを回復できるエリクサー、状態異常回復薬…って状態異常ってVDだとどうなんの?リアルに金縛りみたいになるとか?怖えな。ここら辺のアイテムは平均して1個50Gくらいだしまあ買えなくもないか。」

でもあれだな、こうしてみるとHPは神官だからポーションなしでも回復できるし、MPは時間経過で自然に回復するし、状態異常も多分神官だから後々治癒呪文覚えるような気がするし、神官って思ったよりも経済的じゃない?

「こっちは装備か。うへぇ、1ランク上の武器を買おうとするとそれだけで全財産飛ぶのか。しかも大して攻撃力変わらんし。こういうCPUの店で買える武器なんてまあ大体そんなもんだよね。」

…となると俺アイテムショップに用なくね?いやまああれか、「今は」な。


「ま、やることないしとっとと始まりの森に行きますかね。」

俺は大聖堂から出てマップを確認する。

「…あれか。」

視線の先にはまさに「THE・森」って感じの緑地帯。普通に熊とか出そう。あ、そういえばモンスターが出るんでしたっけねこのゲーム。

早速入り口に到着。唐突に目の前にウィンドウが現れる。ああ、これで指示とか出してくれんのね。

『ダンジョンにはフロアというものが存在します。このダンジョンは5Fで構成されています。まずはこの1番上のフロアを奥に進んでみましょう。』

まあとりあえず歩けばいいんだな…?てなわけで探索開始。

お、さっそく何か発見。何か草が光ってる。

『このように収集アイテムは近づくと光ります。ただし一度収集してしまうと光が消えてしまうので落とさないようにしましょう。』

そりゃまあ光らなかったらただの草にしか見えないし光りっぱなしはそれはそれでいやだな。

俺はしゃがんでその草を拾い上げる。

『そちらは「薬草」です。体力回復アイテムの原料となります。詳しい説明はメニューのアイテム図鑑を参照してください。』

え、これ単体で使えねえの?いやまあ草をそのまんま食えって言われたらそれはそれでいやだけどさあ。

さて、お次は…お、敵かな?

目の前には頭の上にゲージの付いたゴブリンが2体。あれが多分体力なんだろうな。

『探索をしているとこのように敵と遭遇することがあります。頭の上にあるゲージが体力ゲージです。さっそく攻撃して倒してみましょう。』

はいよ、了解。って言っても俺には杖で殴るしかできないがな。

早速ゴブリンの頭を杖で殴ってみる。ポコンと間抜けな音がしたと思ったらゲージが半分すっ飛んだ。

いやまあチュートリアルだからこのぐらいの弱さでも全然かまわないんだけどなんかごめんな。

ってうわ。怒ってるよ。そりゃそうだよな、見知らぬ奴にいきなり頭をどつかれたら怒るわな。

『もちろん相手も反撃してきます。頑張って攻撃をかわしながら倒してみてください』

1vs2なのに無茶を言いますねこのチュートリアルさんは。まあいいや、とりあえず先に殴ったあいつを倒して1vs1の状況を作りますかね。ということでろくに何も考えず手負いのゴブリンに突撃。上手く倒せたものの、もう一方のゴブリンによる攻撃を受けてしまう。が、HPが1しか減っていない。いやまあわかってたけどさ…。ごめんな、ゴブリンさん達。これがチュートリアルって奴なんだ。

もう一方のゴブリンに杖を振り下ろそうとしたとき、またウィンドウが開く。

『ナイスです!あと一体ですね。ここは「スキル」を使ってみましょう。』

いや、それはオーバーキルだろ…。いやわかるよ?操作説明をしてるのはもちろんわかるんだけどさぁ…っていや待てよ?神官の俺のスキルって言ったら…。

俺はスキルを確認する。

ヒール 味方1人のHPを小回復

えーと、これ使わなきゃダメ?いや確かにダメージは食らったけどほとんど0みたいなもんだよ?でも何か強制的にスキルメニューを開かせてくるので仕方ない。

「ヒール…」

俺のHPが1回復する。確実にMPの無駄な気がするが仕方ない。

俺はため息をつきながら最後のゴブリンを倒す。すると宝箱が転がり落ちた。

『戦闘お疲れ様でした。このようにモンスターを倒すと宝箱が手に入ることがあります。中にはそのモンスターからしかドロップしないようなものもありますので積極的に戦闘してみてくださいね。』

なるほどね、あの体のどこからこのサイズの宝箱が出たのかは気にしないでおくとして…さて、何が出るかな。俺は宝箱に手をかける。すると中からモンスターが飛び出した。

「What!?」

思わず英語で叫んでしまった…。え、なにこれどういうこと?

『このように、モンスターの中にはミミックという宝箱に擬態したモンスターもいますので気を付けてくださいね。』

「絶対今のタイミングで出すモンスターじゃねえだろぉぉぉぉ!」

俺の絶叫が森に響く。まだまだ始まりの森攻略は時間がかかりそうだ。

ちなみにミミックも2発でKOしました。

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