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ビー・ア・ヒーラー  作者: LPQ
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俺、MMORPGデビューします

どうも、お初にお目にかかります。LPQと申します。小説投稿自体が初めてなので、色々おかしな点もあるかと思いますが、温かい目で見守ってください。

オンラインゲーム…それは人をひきつけてやまないコンテンツであり、時にはそれを介して新たな出会いがあったりもする。現実と違って本音を言いやすいので現実よりも深い絆が生まれたりすることも…ある?



自習時間…それは至福の睡眠時間であり、このポカポカ陽気の中で合法的にまどろむことができ、なおかつチョークも飛んでこない。ああ、気持ちいぃ…。ん~?何か声が聞こえるなぁ…。

「おーい、治~。治ってばー」

「ん~、何?」

折角教室で惰眠をむさぼっていたというのに目の前の席に座る級友、高平優奈によって現実に引き戻される。身長は俺と同じくらい、髪型はサイドポニーっていうの?何かちっちゃいポニテが頭の左からからぴょんって出てるやつ。正直容姿は普通にかわいい部類だし、友達付き合いもいいので割とモテてるっぽいけど俺のように色恋沙汰に興味のない人間からしたら睡眠を妨害する悪魔にしか見えない。

「いや、そこまで嫌そうな顔しなくても…。あのさあ、治ってVD持ってたよね?」

「何だ急に。」

バーチャルドリーム、通称VDは脳に電気信号を送ることによって一時的に夢を見ているような状況でゲームを楽しむことが出来るハードだ。つまり、ゲームのキャラクターになりきることが出来るのだ。もちろん夢だから痛くもかゆくもないし、ゲーム内で眠ること自体ももちろん可能なので、食事のとき以外はずっとログインしているお金持ちニートがいるとかいないとか。ちなみに優奈もその一歩手前なのではないかという頻度でログインしているガチ勢である。

「いやさあ、私今BAHO(Be A Hero Online)ってゲームやってるんだけどさあ、友達を招待すると特典が貰えるから一緒にどうかなあ…と。」

「つまりお前に利用されろということだな?」

ちょっと冗談のつもりで肩をすくめて見せる。だが相手は割と本気だったらしい。

「そ、そんなことないよ!ていうかむしろ特典がなくても誘うつもりだったよ!」

かなり真剣な表情で詰め寄ってくる。いや、大丈夫大丈夫、わかってるから。別に招待なんてログインさえさせときゃいいんだから適当にツイッターにでも招待コード打ってばらまけばいい話だ。わざわざこうして個人に口頭で話を持ち掛けるってことはそういうことなのだろう。

「冗談だよ、落ち着けって。」

「え、あ、ご、ごめん。」

まあ別に俺も最近一緒にゲームなんてやってなかったし、幼馴染の頼みごとを無下に断るほど酷い人間でもない。

「ま、とりあえず了解だ。今日の夕方でいいk…」

「ホント!?」

優奈が目を輝かせながら若干食い気味に顔を近づけてくる。あーなるほど、こういう行動でクラスの男子に罪を重ねていってるわけですな、全くけしからん。

「ああ、だから少し離れろ…。」

「ふぇ!?あ、いや、これは違くて…えと、その…。」

真っ赤になってうつむく優奈。どうしよう、色恋沙汰に目覚めちゃうかもしれないよおじさん。

「ま、とにかくさっきも言ったけどログインは今日の夕方でいいか?」

「あ、うん!先に待ってるね!」

そういって教室を出ていこうとして背中を向けた優奈だったが、何かを思い出したようにまたこちらへ向き直る。

「言い忘れてたけど、ログインしたら私に話しかけて。ユナって名前で広場の真ん中で待ってるから。」

「あいよー、てか本名でやるなよ…。」

といったものの、俺も本名以外パッと思いつかないし…まあそれは後々考えますかね。


夕方、帰宅した俺はすぐに自分の部屋に向かい、VDを起動する。といっても一人暮らしだから自分の部屋もくそもないんだけどな。でも一人暮らしにしてよかった。実家では両親はイチャイチャしてるし妹は俺の貞操狙ってるし正直気が休まらなかったからな、うん。などど感慨に浸っている俺は目を閉じて横になる。

「おぉ、久しぶりだな、このVDの感覚。妹が修学旅行とかで泊まりとかの時じゃないと怖くて遊べなかったからな。初めて使ったときほどではないけどやっぱこの意識が遠のく感じはちょっと慣れが必要かもしれんな。」

そして数十秒後、俺の周囲はBAHOの世界となっていた。BAHOはよくあるオンラインのMMORPGで、ダンジョンやクエスト、ギルドシステムやPVPが充実しているために結構人気が高い。それだけじゃなく、今こうして周囲を見渡しても現実の世界と何ら変わりのないクオリティだ。ログアウトボタンがなければ正直現実と区別できる自信がない。

「さて、名前を決めるか…。つっても実際俺も本名以外で大した名前思いつかないしなあ…。」

名前を入力する欄に「治」と入力しながら考える。そういえばあいつカタカナだったよなあ。俺もカタカナのほうがいいかね。

「おお、治って字何かカタカナっぽいな。シムロ?いや、語呂悪いしシロでいっか。」

ということで名前は「シロ」に決定。うん、我ながら雑。でもオンラインゲームの名前って実際そんなもんじゃない?

「さて、じゃあユナに会いに行きますかね。ん?ああ、ここがすでに広場っぽいな。人めっちゃいるしあそこが広場の中央かな?」

俺は早速広場の中央へ向かう。そこにはユナが座って待っていた。まだこちらには気づいていないみたいだが、なんだかすごいそわそわしてる。まあ確かにいい高校生が魔法少女みたいな格好してればそわそわもしたくなるのだろう。いやまあ周りを見ればみんなそういう感じなんだけどやっぱり抵抗があるのだろうか?

さて、と。可愛い格好(笑)も鑑賞出来たことだし、とっとと声をかけ…

「よう姉ちゃん、かわいいなぁ。どうだい?俺たちと一狩り行かないかい?」

それよりも先になんか知らん男がユナに声をかける。

「ごめんなさい。人を待ってるので…。」

「いいじゃないの、そんな人を待たせるようなやつなんかほっといてさぁ。」

すごいな、この男。めっちゃグイグイいくじゃないか。でもこれだけ押して押して世の中の男たちは彼女を得てるんだろうね。いやあ、俺には無理っすわ。

「ごめんなさい、間に合ってます。」

「大丈夫だって、別に取って食おうってわけじゃないんだからさぁ」

うーん、そろそろ見るに堪えなくなってきたな。でもあんま関わりたくないしなあ…。

俺が行こうかどうか迷っていると、さらに3人の女がそこにやってきた。あれ?合コン始まっちゃう?いや、んなわけないか。

そんなことを思いながら見ていると、3人の真ん中にいた金髪でタバコを加えた女が男たちを見据えてため息をつきながら仲裁に入る。

「はいはいナンパはそこまでねー、お兄さんたち、あんまり度が過ぎると運営にチクるからねー。」

「何だおばさん邪魔すんじゃ」

「あ゛?」

一瞬で場の空気が凍り付く。すごーい、MP消費なしで氷魔法使えるんですねあの方。

「くっそ…覚えてろよ!」

物凄い剣幕に押された男たちが逃げていく。

「はいはい、覚えて運営に報告すればいいんだな?」

男たちの背中を見ながら再びため息をつくおば…お姉さん。

「あ、セシリアさん、ありがとうございます。」

お姉さんに頭を下げるユナ。

「あー、いいんだよ、あんたは悪くねえんだから。全く、ゲームだからってグイグイ来る輩が多いから困りもんだ。」

「でもセシリアにナンパしに来た人見たことないよー?」

セシリアの横からぴょこんと頭を出しながら緑髪のショートカットで猫耳の子が尋ねる。

いや、それは察してやれよ。ほらまたなんか禍々しいオーラ出てるじゃないですか。必死でユナがフォローしてるけど何か近づきたくないのでユナとコンタクトを取るのは日を改めてまた今度にしましょう。

そう思ってユナに背を向けようとした瞬間にユナと目が合う。

一瞬の沈黙の後構わず背を向けて走り出すが一瞬で腕をつかまれる。速っ!いやそのスピードがあればあの男たちなんて余裕で撒けたでしょうに。

「ねえ、今の見てたよね?何で助けに来ないの?ねえ?」

やめて、そんな恐ろしい笑顔でこっちを見ないで!

「いや、違うんだ、ほら、俺初心者だから仲裁とか無理だから、な?だから一旦俺の腕を離して変な音してるからぁぁぁ!」

いやVDだからそんなに痛くはないんだけどほら、例えばさ、そういう痛い思いをしているシーンを見るとこっちまで痛くなるだろ?つまりはそういうことだ、要するにVDでも普通に痛い(気がする)!

「ナンパを止めるのとゲーム初心者に何の関係があるのかなぁ…?」

さらに俺の腕に食い込んでいくユナの指。

ひぃ、誰か助けてぇ、俺の腕のライフはもう0よ!

「その辺にしときな、ユナ。てかそんなことが出来るならあいつらなんて余裕で対処できただろうに。」

セシリアの言葉でユナがようやく腕を離す。ありがとう!セシリアお姉さま万歳!

「それで、こちらのお方は?」

セシリアの後ろにいたゆるふわ髪の杖を持った子がユナに尋ねる。

「あ、うん。リアフレなんです。というか、リアフレでもなければあんなことしませんよ。」

「そ、そうかい。あー、あたしはセシリア。「セイクリッド」っていうギルドのマスターやらせてもらってる。そこのユナ含めて皆ギルメンだ。」

「シャムだよー」

「ネルです。よろしくお願いします。」

「あ、どうも。シロです。えーっと、ユナに誘われて今日からゲームを始めたのでまだ何一つわかりません。」

と一通り自己紹介が終わったところで俺はユナと待ち合わせしていたことを思い出す。

「そういえばユナ、俺は呼び出されたわけなんだがどうすればいいんだい?」

「あ、そうそう。チュートリアル受けたりとかの流れを一緒に付き合おうと思ってたんだ。あ、セシリアさん、本当にありがとうございました。じゃ、行こうか。」

「ちょっと待った。」

俺の手を取ってその場を離れようとしたユナにセシリアが制止をかける。

「えっと…?」

「あたしたちが何でここに来たと思う?あんたを探してたんだよ。ユナ、あんたギルド戦のこと忘れてるだろ?」

数秒の沈黙のあと、ハッとユナが顔を上げる。

「…あっ!ご、ごめんなさい。そういえばそうでした!」

慌てふためくユナにため息をつきながら肩をすくめるセシリア。苦労してそうだな、セシリアさん。

「あう…ごめんね。あそこの大聖堂に行けば一通りの説明を受けられるからまた今度ね。」

「おう、別に構わんぞ。てかチュートリアルごときに付き合わせるのも何か悪いしな。」

「ほんとにごめんね。こっちから誘ったのに…。」

そう言い残してギルメンたちと去っていくユナ。さて、大聖堂とやらに行きますかね。

1話の分量ってこれくらいでいいのかな?一応4000字~5000字くらいを目安にしていきたいと思います。

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