エンディングテーマ
僕らは一体、何のために生まれてきたんだろう?
物心ついた時からずっと、そんな疑問が頭を離れかなった。それをお姉ちゃんに話すと、決まって大きな声で笑われた。
「そんなもの、あるわけないでしょう」
僕らにはお父さんもお母さんもいない。物心ついた時からずっと、狭い部屋の中で毎日僕とお姉ちゃん二人きりだ。たまに部屋の外側から運ばれてくるご飯を、お姉ちゃんと分け合って食べている。僕らは二人とも紐で縛りつけられていて、外に出歩くことも許されていない。部屋には窓もテレビもないから、外の様子もさっぱり分からない。
だからこそ、まだ幼かった僕は余計に知りたがった。
僕らはいつまでこの部屋にいなきゃいけないんだ?
僕は何のために生まれてきた?ずっとこの部屋に閉じ込められるためか?いや、きっと違う。
もし外に出られたら。
そんな想像を、僕らは毎晩ずっと語り合った。僕は外に出たら、この足で世界中旅をしたかった。もう狭いところはこりごりだ。お姉ちゃんはお父さんとお母さんに会ってみたい、と目を潤ませた。薄暗い部屋の中で、想像はいつも想像のままだった。
「僕は外に出るよ」
ここに閉じ込められて数ヶ月も経っただろうか、ある日僕はお姉ちゃんにそう宣言した。もう、我慢の限界だった。部屋の外に出て、想像だけだった自由をこの手につかみたかった。お姉ちゃんは黙って僕を見つめた。
次の日の夜。こっそり出口へ向かう途中、僕はお姉ちゃんを振り返った。薄暗い部屋の片隅で、お姉ちゃんはまだ眠っていた。そのあどけない横顔が、僕が最後に見たお姉ちゃんの姿だった。
次に会った時には、お姉ちゃんは僕の妹になっていた。
僕らはようやく、生まれてこれた。