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俺は”せんりゃくてきてったい”を此処に宣言する。

ゆっくりゆっくり亀更新でレガンを幸せにしよう計画が始まるかもしれない。

 もし、の世界があったなら。




───俺はもう少しマシで平和な人生を歩みたい。



 剣と魔法の世界?そこで冒険?そこで始まるヒロインとのラブストーリー?いや別にそんなのどうでもいいわけじゃないが今はそんなことをしている場合なんかじゃない。

 俺は長生きがしたい。悪役になんかなりたくない。何度も何度も何度も、痛めつけられて死ぬのも嫌だ。頭を拳銃でブチ抜かれるのも嫌だ。処刑台になんか登りたくない。

 何度も何度も何度も、繰り返されてきた人生だった。この世界がループを繰り返していると気がついてからも俺は何回死んだのだろう。俺が死んだ後の世界なんて知らない。そもそも俺はこの世界のことを19年しか生きていないのだ。大した情報なんてものはない。



 俺が死んで1××回目の誕生日に舞踏会。あれは俺の誕生日に開かれた舞踏会へと現れた。何もかもがおかしくなったのはあれが現れてからだった。周りがどんどんおかしくなっていく。俺の意識と身体は変化に対応できないまま、周りに置いていかれて、それで───



『この罪は貴方のものになるのよ、私の愛しい人』


『殺人犯め』


『ご令嬢殺しの罪深き罪人め…!』



 おれは、



『───もう一回よ』



 なんどもなんどもなんどもなんどもなんども、

気の狂いそうな短いのに長い年月は俺を静かに寝かせておいてなどくれなかった。俺の時間は繰り返す。この世界に産声をあげて生まれた時から、裏切りを受けて19で命を落とすまで。

 俺はたくさんの人格の俺を作り上げた。ある時は冷静なもの、ある時はお調子者で、またある時は優男にもなった。しかし最後は少しも変わりなどしなかった。

 だが諦めがつき始めていたそんな時、俺は妙案を思いついてしまった。俺が生まれて1××回目の誕生日の1週間前。俺はようやく最良の答えへとたどり着いた。感動に心の中で打ち震え、動揺のあまり紅茶の入ったカップを下に落としてしまうほどに。



「───レガン様!お怪我はございませんか!?」


「今すぐに片付けます!!」



 慌てたように駆け寄ってくるメイドに執事。割れたカップを集めて床を拭き、俺に怪我はないかと目を走らせる。



「……すまない。少し、ぼーっとしていたようだ」



 組んでいた足を解き椅子から立ち上がる。座って茶なんて飲んでいるそんな悠長な暇は俺にはなかった。1××回目にして初めての試み。準備は慎重に行わなければならない。申し訳ありませんと頭を下げ続けるメイドたちに気にしていない、第一今のは俺の不注意のせいだろう?と苦笑し、課題があるのを思い出したと部屋へ続く廊下へと足を向ける。



「すまないが集中したい。しばらくは俺の部屋を訪ねるなと人払いを済ませておいてくれ」


「「かしこまりました」」



 もし、の世界があるのなら、俺はもう少しマシで平和な人生を歩みたい。

 そう思ってはや幾数年。馬鹿の一つ覚えのような繰り返す世界におさらばしよう。動きやすい服を用意して、少しの金と少しの食料。手によく馴染む俺の命を預ける剣に、手入れ用の道具。これを全てバッグに詰め込んで見つからないようにと隠した。



 そう。お察しの方もいるだろう。



 俺は自分の地位も、名誉も、家族も、友も、全て全て捨ていく。持ち物は必要最低限で済ませ、闇夜に紛れて屋敷を出るのだ。



───生き延びるための戦略的撤退(と書いて逃げると読む)を開始する。

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