秋の胸キュン♪紅葉デート
今日は雅人と紅葉を見にドライブデート。
都会を抜けて走ること数時間…一気に紅葉した景色が目に飛び込んできた。
「うっわー!見てみて…って見ちゃダメだけど…綺麗~!」
高速走行中の雅人に思わず無理なことを言ってしまったわ…
「ねぇ次のサービスエリアに寄って少し休憩しよう?景色も綺麗だし」
まだ朝早い時間にも関わらず、家族連れや恋人同士、バスツアーの人達もいて、エリア内は賑わっていた。みんな紅葉をみに行くのかな?
「うーん…空気が澄んでて気持ちいいね。景色も鮮やかで秋の美味しい匂いがする~」
思いっきり手足を伸ばして、大きく息を吸い込み全身で秋を堪能する。
「あぁ日頃の疲れが吹っ飛ぶ感じだな。美味しい匂いって…お前はそれしか頭にないのか?」
「だってサービスエリアと言ったらご当地物を頂かなければ地元の方に失礼でしょう!」
さっそくエリア内であれこれ買い占め、ニコニコ抱えながら戻ってくると。
「それ…いま全部食べるのか?」
「うんっ!雅人にもあげるね♪」
「いや、俺はこれで十分です…」
少しヒンヤリしてるけど、草や木の匂いがして遠くで鳥の鳴き声が聞こえて…心の中に秋がたっぷり入り込んでくる。そして隣には大好きな人が優しい眼差しで私を見つめている。
目の前には美味しそうな食べ物がズラリと並んでいて。これを至福の時と言わずして何というのだろう…
「疲れてない?運転変わろうか?」
「死にたくないからいい…」
「なにそれ…」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
高速を降りて暫く走っていると「リンゴ狩り」の看板が目に入った。
「リンゴ狩りだって…」
「寄ってみるか?」
「いいの?」
「行きたいんだろ?」
雅人はそう言いながら「リンゴ狩り」と書かれた看板の方に車を向けてくれた。
中で農園のおじさんに色々説明を聞きながらリンゴ畑の中へ
「わぁー凄い!沢山のリンゴが木に生ってる!美味しそう…」
こういうのが美味しいんだよと、おじさんが一つ採ってくれる。
ずっしり重くて、すごくいい香りがして…
「食べていいんですか?」
中では食べ放題だから好きなだけどうぞと言ってくれた
「この畑の中のりんご全部食べてもいいんですかー!嬉しい♪」
「はははっ!いいよ~好きなだけ食べてお土産もいっぱい持って帰ってね」
おじさんはそう笑いながら、じゃ楽しんでねと言って去って行った。
「あの親父…無謀な事を言ったな」
「なにが?」
「お前ならこの畑の中のりんご、本当に全部食いそうだから…」
「さすがに畑の中全部は無理だよ~、この木一本分くらいならいけるだろうけど」
「この木一本はいけるんですか…」
さっきおじさんに採ってもらったりんごをハンカチできれいに拭いてカプッと齧る。
みずみずしくて、甘くてすっごく美味しい!
「美味し~、お店で売ってるのと全然違う」
「どれ…」
雅人はりんごを握っている私の手首ごと自分の口に持っていき、カプッと齧った。
「うん、美味いな」
「で、でしょ…シャリシャリして、美味しいね…」
何だか恥ずかしくなって真っ赤になって俯いてしまった。
それからリンゴの香りいっぱいの畑の中を散策、籠にはお土産用のりんごが沢山入っている。
「お前…食べるか採るかどっちかにしたらどうだ。ってか…さっきあれだけ食べてよく入るなホント感心するわ」
「んーでもね、さすがに丸ごとだと顎が疲れてくる…せめて半分にならないかな?」
私はウンウン唸りながらリンゴを半分にしようとするんだけど無理。
どれ…って私の手からりんごを取り、雅人がいとも簡単にパカッと二つに割ってくれた。
「す、凄い…」普段パソコンしかいじらない、細くて綺麗な指の華麗な技に思わず胸がキュンとしてしまった。
少し高いとこに真っ赤に熟してるおっきな美味しそうなりんごを見つけ、採ろうと一生懸命手を伸ばすけど、あと少しのとこで届かない。
すると後ろからふわっと雅人の香りがして私を包み込み、スッと手を伸ばしてソレを採ってくれた。
「ほら…」
「あ、ありがとう…」
ドキドキと心臓の鼓動が速くなる
この人は何度私の心臓を壊せば気が済むのだろう…
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
リンゴ狩りを終えて目的地に向かう途中の山道で、キキーッ!と雅人が急ブレーキを踏んだ。と同時にバッ!と私の胸のあたりに雅人の左腕が伸びてきて私を支えようとした。
「ごめん、大丈夫か?」
「う…うん、大丈夫」
(瞬時に私を庇おうとしてくれたんだ…雅人…ありがとう)
「どうしたの?」
「ネコ?…違うな、なんか小動物が飛び出て来た」
「ウサギとか狸かな?」
「さぁな、よくわかんない小さな茶色い感じだったな…」
「何でもいそうな感じするよね?この辺り…クマとか出てきたりして」
「さすがにクマはいねーだろ」
「雅人…」
「ん?…びっくりさせてごめんな、怖かったか?」
「ううん、守ろうとしてくれて…ありがとう」
当たり前だろって言いながら、ちゅっと唇にキスを落として雅人は車を発進させた。
私は何だか胸のあたりがほんわかして、雅人に触れられた唇をそっと指で撫でた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
紅葉と滝の組み合わせは本当に綺麗で、四季のある日本に生まれて良かったぁと心から思った。
あちこちドライブしながら紅葉を楽しみ最後に大きな湖にきた。
指と指を絡ませながら、静かな湖畔を二人で歩く。
湖面に映る色鮮やかな木々、時折サーッと柔らかな風が吹いて木の葉が舞う。
「楽しかった…連れて来てくれてありがとう」
すると雅人が立ち止まり私の頭に手を寄せてくる…
(キ…キス?…)
思わず首をすくめて身構えると…クスッと笑って「葉っぱ…ついてた」そう言って赤い綺麗な色をした葉っぱを渡してくれる。
(あ…葉っぱ…)
「なに?なにか期待した?」
「そ、そんなんじゃ…」
そんなんじゃない…言い終わらないうちに、顎をクイッと持ち上げられて…ふわっと唇を塞がれた。カサカサと木の葉が舞う音とポチャンと魚が湖面を跳ねる音の中で私達は唇を重ね合う。
雅人が柔らかく微笑み、私の背中を優しく撫でてくれる。私はその感触を味わいながら、この人とずっとずっと一緒にいたいと心から思った。
ぎゅっと雅人の腕に力が入り、強く抱きしめられると恥ずかしさで身体中が熱く火照った。けどそれ以上に嬉しくて幸せだと思った。だからそっと彼の胸に顔をすり寄せた。
彼の鼓動が私の耳に鳴り響き、その鼓動が今を一緒に生きてる証だと思うと…どうしようもなく愛おしくなった。誰かをこんなに愛おしく思う時がくるなんて、こんなにも深くこの人を愛する日がくるなんて…
「雅人…大好き」
優しく私を見つめる雅人の瞳に、自分と綺麗な紅葉が映っていた。
愛してるよ…雅人はそう言って、再び私の唇を優しく塞いだ。
朝の情報番組を見ていて思いついたお話です。
秋のデートで女子が胸キュンするPOINTを入れて書き上げてみました(笑)
「Will you marry me?」の番外編となります。