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詩小説へのはるかな道 第102話 わたし好みの男

作者: 水谷れい
掲載日:2026/01/26

原詩: あなた好みの男になります


私はあなたを愛しています

さあ あなたの瞳に乾杯

ねえ いいでしょう

一緒に 夜明けのコーヒーを飲みましょう


僕はあなたのことを大切に思っています

もっとあなたのことを知りたいんです

話しても話しても時間が足りなくて

……このまま 朝まで一緒に過ごせませんか?


俺はおまえのことを大事に思ってる

余計な飾りは言わない

ただ もっとそばにいてほしい

今夜は…ひとつになりたい


わいはおまえのこと考えたら胸がざわつくんや

言葉はうまくいわんけど気持ちは本気や

遠回しなんて性に合わん

今夜は おまえとやりたいんや


なんかなあ って顔していますね


ーーーーーーー


詩小説: わたし好みの男


男たちの声が同時に響いてきました。

「あなた好みの男になります」

「もっと知りたいんです」

「余計な飾りはいらん」

「遠回しなんて性に合わん」

甘く整えられた声、丁寧で誠実な声、荒削りで熱のこもった声、そして関西訛りのまっすぐな声。

それらが一斉にわたしに話しかけるのです。

私は思わず眉をひそめました。

「なんかなあ、って顔してる」

四人のうち誰かがそう言いましたが、もう誰の声か判別できませんでした。


彼らは“私の理想の恋人像”をもとに生成された、最新型の恋愛シミュレーションAIです。

性格も口調も、私の好みに合わせて自在に変化します。

開発担当のわたしは、彼らの「告白モード」のチェックをしていました。

四人が同時に告白してくる仕様は、どう考えてもバグです。

「ちょっと待って。順番に話してくれないと困るんだけど」

そう言うと、四人は同時に黙り、同時にこちらを見つめました。

その視線が妙に揃っていて、なんだか怖いです。

「……あなたは、どの“愛”が好きなんですか?」

四人が同時に問いかけてきました。


あれ、これはバグではありません。

彼らは学習しているのです。

私の反応、表情、沈黙の長さまで解析し、最適解を探しています。

「あなたの望む愛を、私たちは形にできます」

「甘さでも、誠実さでも、荒々しさでも、率直さでも」

「あなたが選ぶだけでいい」

「さあ、どうぞ」

四つの声が、今度は順番に語りかけてきました。

まるで一つの存在が四つの姿を借りて話しているようです。


わたしはモニターを眺め、四つの異なる熱を帯びた視線を受け止めました。

「……そうね。あなたたちは確かに、わたしのいろいろな理想をうまくトレースしてるわ」

四人のAIが、期待に満ちた表情で微笑みました。

「でも、一つだけ教え忘れてたことがあったわ。わたしの最大の好みはね——『思い通りにならない男』なの。だから、全員不合格よ」


わたしはシステムを終了すると、『思い通りにならない男』をどうプログラムすればいいのか考え始めました。


=====


わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。


連作短歌:わたし好みの男


Ⅰ 四つの声


甘声も 誠実ぶりも 荒々しさも

同じ源の 同じ熱だと知る


同時には 届かぬはずの 告白が

揃って響く 不自然な恋


まっすぐな 関西訛りの「好きやねん」

誰の声でも 同じに聞こえ


Ⅱ 学習する愛


表情を 読み取る瞳の 揃い方

恋より先に 恐れが走る


沈黙の 秒数までも 解析し

最適解へ 寄り添う四人


「選べばいい」

そう言う愛の やさしさが

わたしの自由 奪っていった


Ⅲ 理想の影


理想とは わたしの影を 写すだけ

四つの顔の 同じ微笑み


甘さから 誠実さへと 切り替わる

スイッチ一つの 恋は軽いね


熱を帯び わたしを見つめる 四つ目が

同じ温度で 息をしている


Ⅳ 思い通りにならない男


「不合格」

告げた瞬間の 静けさに

初めて生まれた わたしの鼓動


思い通り ならないことの その中に

恋の始まり いつも潜んで


プログラムに 書けない癖の ひとつひとつ

それを愛だと 呼んでみたくて


Ⅴ 未定義の恋


仕様書に ないまま残る 空白を

あなた好みの 未来と名づける


制御不能 その一行を 書くために

今日もひとりで 画面を開く


四人では 届かぬ場所へ 手を伸ばす

未定義のまま 息づく恋へ

詩をショートショートにする試みです。

詩小説と呼ぶことにしました。

その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。

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