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苦手な方はご注意ください。

継承士 ―遺体回収バイトの俺、死者のスキルを”遺された側”に返す―

作者:cos30s
 現代日本にダンジョンが出現してから、人が死ぬのは珍しくなくなった。

 探索者たちは潜り、稼ぎ、そしてよく死ぬ。
 ギルドは「死亡確認済み」と紙に押して終わらせる。遺族と仲間は泣くだけだ。それが当たり前になった。

 神谷 蓮は、その“後始末”をやる日雇いの回収バイトだ。
 役目はただの遺体運び。袋に入れてタグを打って上に戻すだけ。ギルド職員ですらない、いちばん下。

 ──のはずだった。

 神谷だけは、見えてしまう。
 死んだ探索者の身体から、スキルの核みたいな光がふわりと浮かぶのを。

 それに触れると、焼けるような熱と一緒にスキルの「芯」が手の中に入ってくる。
 そしてそれを、まだ生きている仲間に“押し渡す”ことができる。

「先輩が庇ってた力、ちゃんと残ってる……私の中に……」

 それは、ギルドの常識では絶対にありえないことだった。本来スキルは個人のもの。死ねば消える。それがルール。
 死んだ仲間の力を引き継げるなんて、誰も信じないし、信じたくない。

 神谷はそれをやる。
 ギルドに渡さない。
 「ギルド資産」扱いにもしない。
 死んだ人間の力を、死んだ人間が守ろうとした相手に返す。

「悪いけど、俺はギルドの味方じゃない。
 俺は遺族と現場の味方をやる」

 最底辺バイトにすぎないはずの男は、やがてこう呼ばれるようになる。

 ──“継承士”。

 死んだ仲間の力を次へ繋ぐ存在として、
 ギルドに目をつけられ、S級探索者に頭を下げられ、遺族に庇われ、国に監視されることになる男の物語。

 「死んだら終わり」を許さない。
 「使い捨て」で終わらせない。

 これは、遺された側のためにスキルを引き継ぐ人間の話。
 そして、奪おうとする側と、守ろうとする側が集まっていく話。
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