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おわりに

①女性視聴者の獲得

これまで、男性に人気のある動画と女性に人気のある動画の違いを見てきた。


全体的な大まかな傾向としては、お色気や男女の関係を匂わせるものは男性視聴者を獲得し、ホームドラマやドロドロした人間関係など、いわゆる「昼ドラ」的なステロタイプに近い内容は女性視聴者を獲得できていると言えるだろう。


また、女性視聴者に人気の動画は、全体の再生数が多い傾向がある。女性向け活字のTSは、2025年1月現在、ジャンルとして十分に確立していない。市場やWebには、男性向けの作品の供給が多いがために、女性読者がなかなか寄り付かない傾向がある。だが、仮に女性向けのジャンルが確立した場合、潜在的な需要が隠れている可能性が、今回の動画調査で見えてきた。


卯月の小説の中でそもそもなろうのポイント数がいちばん多いのがムーンライトノベルズ掲載の「母となった」で、この小説を原作とした動画は、再生数も女性視聴者も獲得できているため、この作品には、将来的な女性市場開拓の上で、ヒントになる要素が隠れていると分析している。この原作の軽めの濡れ場からはじまり、過去に飛ぶ構成などは、ティーンズラブコミックを参考にしているため、そのあたりも、うまく結果に反映されていると言えるだろう。


②母子愛の可能性

男性向け女性向けを問わず、女体化男子が母親になり、お腹を痛めて産んだ子どもが物心がつき、絆で結ばれ危機を乗り越えていくというコンセプトの作品は、全体的に再生数が多い傾向にあった。具体的には以下の動画である。


・卯月らいなの熱血系女体化RPGパロ劇場「時の引き金」

・卯月らいなの男女入れ替わり子育て奮闘記

・元男子が母として愛娘を守り切る話


商業作品などでは、高校生の青春ものが中心で、女性向けの母子ものであっても出産直後の乳児の育児に元男性があたふたするものがいくつか供給されているが、それ以降の女体化男性の女性としての人生が新しいジャンルの可能性に手ごたえを感じている。


③精神的BLの可能性について

さて、令和に入ってから、TSや入れ替わりは市場が拡大し、様々な実験作が投入されている。2024年は漫画、アニメ、小説を問わず商業分野でもTS豊作の年であった。


中でも、女体化した男性が男性と関係を持つ精神的BLは、もっぱら、同人漫画やWeb小説でのみ提供されるものであったが、野性時代新人賞を受賞した「君の顔では泣けない」が映画化予定であったり、「TS転生してまさかのサブヒロインに」がコミカライズされるなど、ジャンルとして商業で通用するか、試されている段階である。


精神的BLはあくまでギャグ要素という位置づけの「異世界美少女受肉おじさんと」のアニメ化から、さらに一歩踏み込んでシリアス精神的BLが試されている段階に入っていると言えるだろう。今後の推移を見守りたい。

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