素直になろう
目に留めていただき有難うございます。
短いのですぐ読めますので隙間時間に読んでみてください。
「みんなー。今日はよろしくねー。」
隣で大声で言うゆき。
目の前には大量のファンがいる。チケットからして1000人くらいかな。
私はアイドルの香奈。
kkkというアイドルグループのお嬢様キャラ。
kkkというのは「トリプルk」の略。
メンバーのリーダーの「河井恵子」という名前からついたの。
恵子ちゃんはケイコという名前でやっているんだけどね。
メンバーは6人。
ケイコはしっかりキャラ、ゆきは素直で可愛いキャラ、香奈(私)はクールなお嬢様キャラ、りんとひなとりなは3人でめちゃくちゃ仲が良いという設定。
「君にもらった大切な言葉は♪すぐに手のひらからなくなって♪大切なことを知らないふりして♪目をそらした♪」
マイクが渡ってきた。出来るだけお嬢様感を出して歌う。
すぐにマイクをりなに渡す。
「みんなも歌ってね。」
バチンと、りながウインクをすると
「きゃー。りなー。」
と、ファンたちが叫ぶ。
問題は夜の部の「夜桜」だった。
めちゃくちゃ練習した花びらのキャッチ。
「はい。」
ゆきが投げるその花びらを。もらっとくわと、いうはずのセリフ。花びらが宙を舞った瞬間頭の中が真っ白になって
「ありがとう。」
と、微笑んでしまった。
実は私、いつもはそんなお嬢様キャラじゃないんだよね。
というよりもいつものゆきよりも素直。
「きゃー。香奈ー。」
素直な私を前にファンは驚いたり喜んだり。
その中で聞こえるはずもない声が聞こえた。
「変なの。」
10列目の1番左のファンだ。
ライブが終了後。
「香奈さんのキャラじゃないですよ。ちゃんとお嬢様キャラにしてくださいね。」
と、スタッフさんに怒られてしまった。
悲しくて誰かに聞いてほしくって友達のレオくんにメッセージを送った。
「今日、猫カフェ来れる?」
と。
「私、お嬢様キャラはもうやだ。自分の素のキャラが良い。香奈らしいとか嫌だ。」
レオくんに打ち明ける。最後の言葉は涙声になってしまった。
頭にレオくんの手が触れる。ポフ。
「良いんだよ。香奈の好きで。思いっきり自分の素を楽しみな。」
そう彼は断言してくれた。
レオくんの優しさが嬉しくて涙が出る。
好き。レオくんへの気持ちに気付く。
二人ともアイドルだから恋愛は禁止なはずなのに
「好き。」
言葉になってしまう。
「泣きながら告白なんて私らしくないけど。でも。好き。」
「ぼくも好き。」
彼の気持ちに初めて気付く。
二人で素直になろう。
レオくんの言葉に私は笑った。
読んで頂き有難うございました。
チミーは他にも何作か作品を作っていますのでまた読んでいただけると幸いです。
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