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プロローグ

駄作その2

がんばりました。

春の良く晴れた日、その日はいつも通りの平凡で平和な一日になる…はずだった。

 ピコン

メッセージの着信音に読んでいた本から顔を上げる。

「何でしょう?」

宙に浮かぶ封筒型のホログラムに触れる。

『幻獣郷のサービス終了について』

「嘘だあああああああああああああ!!!!!!!!」

近所の迷惑など一切考えずに全力で叫んだ。





1947年、オーバーテクノロジーの塊である未確認飛行物体、いわゆるUFOがアメリカに落ちてきた。

そのUFOにはたくさんの使える技術が使われていた。人々はその技術を解析し、自らの力へと変えていった。

そんな新しい技術を使った製品の中でも今、特に人気な物、それは『VRヘルメット』だ。

古くから多くの作品で描かれてきたフルダイブ系VRゲーム、それを人類は実現したのである!

とまあここまで説明したが自分は『VRヘルメット』を持っていない。せいぜい旧型のARフォンである。

そんな時代遅れな自分、『稲荷奏いなりかなで』ではあるがハマっているアプリがあった。その名も『幻獣郷』。名前の通り幻獣の住む場所で自分好みの幻獣を育てていくという『VRヘルメット』が発売される前に人気だったARゲームだ。

「ごめんなさい、イナリ。僕は無力です…」

数年かけて育てた妖狐『イナリ』をなでながら言う。

『コン?』

「可愛い!じゃなくて…はあ…」

こんなにもかわいらしいコンと別れないといないなんて…ハッまさか

「誰かの陰謀ですか!?」

「なわけねえだろ、ボケ」

頭をたたかれる。

「せめてチャイムぐらい鳴らしてくれません?」

「とっくに気づいてたくせに…」

彼は悪友であり隣人の『池田颯人いけだはやと』だ。

「で、どうしたんだよ、奏。」

「幻獣郷がサービス終了するらしいです…」

「幻獣郷…ああ、奏のやりこんでたゲームか。それは残念だったな。」

イナリと会えなくなるなんて…

「やっぱり誰かの陰謀ですよ!」

「だからそんなわけねえわ。」

そう颯人君と不毛な議論を重ねていると

「嫌あああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

隣から大きな悲鳴が聞こえてくる。

「ッ!」

颯人君と顔を合わせて部屋を出る。

「大丈夫か!?」

「大丈夫ですか!?」

蹴破るようにドアを開ける。

「颯人に稲荷君!?」

黒髪の少女が振り返る。

「なんの用?」

「こっちのセリフだよ!」

「そうですよ。いきなりあんな大声で叫んで。」

「…稲荷君には言われたくなかったよ。」

確かにその通りだ。

「まず、稲荷君は何で叫んでたの?」

隣人であり颯人の幼馴染の『姫川紬ひめかわつむぎ』が聞いてくる。

「ああ、はい。幻獣郷がサービス終了とのことでして…」

悲しみを思い出す。はあ…

「そっちもなの…実は『神話大戦』もサービス終了するらしくて…」

『神話大戦』…どんなゲームだったっけ?

「神様の代理でプレイヤー同士が戦うゲーム。」

「それですか。」

いろんな場所から批判を受けそうだと思った覚えがある。

「『神話大戦』もですか…」

『幻獣郷』に『神話大戦』…確か…

「どちらも『ロキゲームス』のゲームですよね。」

「そういえばそうだね。あれ、颯人。颯人も何かゲームにハマってなかったっけ?」

「ん?ああ、パズルゲームをちょっとな。」

「…タイトルは何ですか?」

「『マジックファンタジスタ』だが…」

…それって

「『ロキゲームス』のARゲームだよね。」

「確かにそうだが…」

颯人君がホログラムを操作する。

「あ…」

颯人君の表情が絶望に染まる。

紬ちゃんと同時に颯人君の肩に手を置く。

「?」

「Welcome to the world of despair.」

「ようこそ、絶望の世界へ。」

「同じようなこと言うな!」

怒られた。

「本当に急だな。一体何があったんだ?」

「そんなのアマテラスとの別れに比べたらどうでもいいよ!」

「そうです、イナリとのお別れのほうがよっぽど重要です!」

二人と不毛な話を続けていると

 ピコン

「「「?」」」

三人同時にメールが届く。

「『ロキゲームス』からですね。」

「サービス終了の件とかで嫌な予感しかしないんだけど。」

無駄に長く、言い回しがわかりづらい。

「これってまとめると…

 ・すべてのARゲームのサービスを終了します。

 ・新しくVRMMOゲームを発売します。

 ・急なサービス終了のお詫びにプレイヤーの方から抽選で新しいVRMMOゲームを送ります。

 ・あなたはそれに選ばれました。

  ってことですよね?」

「多分そうだと思う。」

「三人とも当たるってどんな確率だろう?」

「奇跡のような確率ですね。」

VRゲームが届くとあったけれど、

「…僕たちってVRヘルメット持ってましたっけ?」

「「……」」

VRヘルメットは安いものでも10万円はする。

「…5万ぐらいは出せる。」

「…食費とかを考えると貯めてたお小遣いで1万ぐらいですかね…」

「…」

「紬?」

「紬ちゃん?」

「…10…」

「え?」

「10万ですか?」

「10円です…」

「は!?」

「何を買ったんですか!?」

「…フィギュアに使いました…」

「はあ!?葵さんから趣味はいいけど計画的に!って言われてただろ!」

「仕方ないじゃん!アマテラスのお雛様衣装フィギュアだよ!?」

「知るか!」

葵さんは紬ちゃんのお母さんだっけ。

通販サイトで中古のVRヘルメットのページを探す。

「あ、」

「今度は何?」

「『VRヘルメット5』だったら中古が安く売ってますけど…ロキゲームスの新しいVRゲームって『VRヘルメット5』で大丈夫だと思いますか?」

「「……」」

当然VRヘルメットも十数年かけて進化してきた。さらには一つ世代が違うだけでスペックは雲泥の差である。現在の最新型は『VRヘルメット6』、最近発売したばかりで中古ではほとんど売っていない。

お値段は税抜25万円である。

「…調べましょう。名前は何でしたっけ?」

「えっと『Your World Online』だって。」

『Your World Online』っと…

「…『VRヘルメット6』対応らしいです。」

「終わった…」

「三人で計6万10円でどうしろと…」

三人で考える。

このメールに何かヒントは…

「…あ。」

「今度は何だよ!」

「『VRヘルメット6』も貰えるらしいです。」

「…よっしゃー!」

「いきなり叫ぶな!」

『Your World Online』が始まるのが楽しみだ。

「楽しみだな!」

でも…

「イナリ…」

「アマテラス…」

「…コレ、しばらく続くな…」

颯人君がため息をついていたのが印象的だった。

どんどん風呂敷を広げて後を考えないスタイル…

次の更新はいつになるでしょう?

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