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「ベートーヴェンは異世界だって最強です? ~"元"悪役令嬢は名曲チートで人生やり直す~」  作者: 呑竜
「第五楽章:亡き王女のためのパヴァーヌ」

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「チキンですまん!」

 さて、デートが終わって夜も更けて。

 長屋に戻ってからのことだ。

 

 さあ休もうすぐ寝よう、何せ明日も早いしね、などとつぶやきながらベッドに入ってはや1時間……いや、もう2時間ぐらい経ってたりする?

 時計を見ていないので感覚としては甚だ怪しいが、ともかくそれぐらいの時間が経過していた。

 その間眠気はまったく来ず、目はぱっちりと覚めていた。


 あのね、寝ようとはしてるの。

 目を閉じてさ、何も考えずに無になろうとか、深呼吸してリラックスしようとか、羊が一匹二匹とか数えたりはしてるんだけど全然眠れないの。

 時間だけが経過して、数えていたはずの羊はいつの間にか執事になっていたりして……そう、執事よ執事。クロードのことなの。

 なんでかわかんないんだけどクロードの顔が脳裏に浮かんで消えないの。


 ううん、ウソウソ、なんでかはわかってる。 

 デートを終えて帰ろうとした時に、クロードが自らわたしと腕を組んでくれたから。

「家に着くまでは恋人同士ですので」とか言っちゃってさ、あの時のキリリとしつつもどこか照れたような顔が忘れられないの。


 もちろん意図はわかるよ?

 わたしが一日中クロードにべたべたひっついてたことを謝ったから、そんな風に自己卑下じこひげするな、主人として堂々としてろという意味合いだと思うんだ。

 思うんだけど、でもさ?

 でも……ねえ?


「あんな風にされたらワンチャンあるかもと思っちゃうのが乙女心なんだよ~。最初からないものとして諦めてたのが、万が一とか億が一の可能性が出て来ちゃったことで心をガックンガックン揺さぶってくるんだよお~」


 布団をかぶりながら、わたしは悶々と悶え苦しんだ。


 ああもうどうしたらいいんだ。

 このままだと朝まで眠れないコース確定だ。

 胸も痛いし顔も火照りに火照ってるし、本気で辛いのでいっそ本人に真意のほどを聞いてみようか?


 いやいやいやいかんいかんいかん。

 もしそんなことをして素の顔で「はあ? お嬢様、頭は大丈夫ですか? いつにもましておかしいですが」とか言われたらどうするよ(クロードはそんなこと言わない)。

 あるいはあるいはあるいは、兆が一の可能性で「実はお嬢様のことが……」とかなったりしたら心停止確定じゃん。

 その場で真っ白になって天に召されちゃうに決まってる。


「ダメだあ~……どっちにしても死は確定だあ~……。うおおお~……わたしまだ死にたくないよお~……」 


 そんなこんなで、わたしはその後も悶え続けた。

 途中一度だけ、クロードは起きてるのか寝てるのか、わたしみたいに悩んだりしてないのかなと思って布団から顔を出そうとしたが、その瞬間に目が合ったりしたらやっぱり心停止確定なのでやめておいた。

 はいはいごめんね、チキンですまん!

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