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「ベートーヴェンは異世界だって最強です? ~"元"悪役令嬢は名曲チートで人生やり直す~」  作者: 呑竜
「第二楽章:熱情」

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「バーバラは諦めない」

 ~~~バーバラ視点~~~




「なんなのよなんなのよなんなのよもう! あいつらは!」


 グラーツの大通りを、バーバラは叫びながら歩いていた。


「わたくしが親切心から言ってあげてるのに無視して! テレーゼなんかの肩を持って! それどころかこのわたくしに……か、か、帰れだなんて!」


 さきほどの光景が脳裏に浮かぶ。

 安っぽいバルに出来た凄まじい人だかり。 

 その全員がバーバラをにらみつけて来た。

 罵声を浴びせ、石を投げつけて来た。

 満場の帰れコールと、そして──


「クロード……クロードまでもがわたくしを……!」


 クロードはテレーゼを抱きしめると、鋭い眼光でバーバラをにらみつけて来た。

 まるでバーバラを敵と認識しているようなあの目──


あれは(・ ・ ・)わたくしのものなのに! わたくしのものになるはずだったのに!」


 怒りのあまり、目の前がチカチカする。

 腹の底から衝動がこみ上げて、止まらない。


「お嬢様、お怪我は……っ?」

「一度止まってお見せくださいっ! 玉の肌に傷がついては……!」

「ああ、もうしそうなったら公爵殿下になんとお詫びしていいのか……」


 執事たちが口々に心配してくる。

 公爵にねだって揃えてもらった十代後半から二十代中盤までの、長身でそこそこに見栄えのする男たち。


 だが、クロードとは比べ物にならない。

 見た目、強さに気の利き方。

 どれひとつ何ひとつ、勝っているところがない。

 むしろ数が多ければ多いほどにむなしくなる。

  

「ああもう! このままで終わらせてなんてやるもんですか!」


 バーバラが声を張り上げると、執事たちが驚き背筋を伸ばした。

 通行人がぎょっとして足を止め、道端でタバコを吸っていた男が吸いかけをポトリと取り落とした。

 アパートの窓からは赤ん坊の泣き声と、猫の悲鳴。


 奇異の目で見られながらも、バーバラは叫ぶのをやめない。

 こんな辺境の住民にどう思われるかなど、知ったことじゃない。


 とにかく許せないのはテレーゼだ。

 クロードに抱きしめられた時に浮かべた安堵の表情。

 クロードがバーバラに反抗した時の驚きの表情。

 クロードが決意を表明した時の陶然たる表情。

 全部、すべて、許せない。

 ぐちゃぐちゃに叩きのめして、ひざまずかせてやる。


「カントル! 宿に連泊の届けを出しなさい! あの女を叩きのめして! 庶民と貴族の格の違いを見せつけて! クロードをものにするまで! 絶対家へは戻らないから! ほら、ぐずぐずしてないで動きなさい!」


 バーバラがパンパンと手を打ち鳴らすと、執事たちは慌てたように駆け散った。


「……ふん!」


 ひとりになってから、バーバラは腕を組んだ。 

 大通りの真ん中で脚を広げて立ち、強く強く決意した。


「絶対絶対、負けてなんてやらないんだから!」

第二楽章終わり、第三楽章に突入です!

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