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「ベートーヴェンは異世界だって最強です? ~"元"悪役令嬢は名曲チートで人生やり直す~」  作者: 呑竜
「第二楽章:熱情」

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「勝利とバーバラ」

 わたしが『熱情(アパショナータ)』を弾き終えると、店中から通りから、万雷の拍手が沸き起こった。

 空気を直接引っぱたいたような、すさまじい音量。

 お客さんの拍手の量で勝者を決めるのが『音楽決闘ベルマキア』の流儀だから、どちらが勝者かは明らかだろう。


「そんな……わたしが負けるなんて……」


 リリゼットは肩を落とし、呆然と立ち尽くしている。


「やった! やったあー! さすが先生!」


 ウィルは喜色満面、力いっぱい拍手をしている。


「ま……まあまあ上手だったわね。その………………すごいと思う」


 ツンデレアンナも頬を上気させながら認めてくれ。


「お嬢様……見るたび成長なさって……」


 クロードもハンカチを目元に押し当てて感激の様子。


 ──テレーゼ嬢、今のお気持ちをどうぞ!

 ──これほどの技術を、いったい誰に師事して身につけられたのですか!?

 ──聴いたこともない、けれど素晴らしい曲でした! 作曲はご自分で!?

 ──楽譜は公開なさるおつもりですか!?

 

 新聞記者たちがどっと押し寄せた。


 ──うちの店でも弾いてくれないか!?

 ──抜け駆けすんな! だったらうちでも!

 ──作曲のご依頼を受けてはいらっしゃいませんか!? 病気のうちの娘のために何か感動的なのを!

 ──じゃあわたしにも! 一曲作って! 今度結婚式があるの!


 仕事依頼も殺到した。

 

「わっ……とっ……た……っ?」


 その勢いが凄すぎて圧倒されわたしは、ズザザと壁際まで追い詰められた。


「ちょ、ちょっと待って、お願いだからもっとゆっくり……ひゃあああっ!?」


 わたしの窮地を見て取ったクロードが、サッとばかりに壁として立ちはだかってくれた。


「お嬢様は疲れておいでです。質問は順番に、節度を持って行っていただきたい」


 ──なんだ君は! 関係のない人はどいて! どいて!

 ──ちょっと空気読んでもらえるかな!

 ──無駄に図体がデカいな君! 邪魔だよ! 邪魔!

 ──テレーゼ嬢! どうか一言! 一言ぉー!

 

 数に任せてクロードを突破しようとする記者陣だが、力の差は歴然。

 どれだけ押してもクロードはびくともせず、山のように立ちはだかり続けた。

 さらに……。


「節度を持って行っていただけないと、何せこの状況です。足を滑らせて転んで、怪我をする(・ ・ ・ ・ ・)かもしれま( ・ ・ ・ ・ ・)せんよ( ・ ・ ・)?」


 にっこり笑うクロードの言葉には、明らかな殺意がこもっている。

 闇の世界の殺し屋を思わせるその迫力にビビった記者陣は、素直な子供のように大人しくなった。

 アイドルのサイン会さながら、一列に並んでお行儀良く質問して来るようになった。


「ふうー……ありがとねクロード。助かったわ」


 わたしの傍らに護衛として佇立ちょりつするクロードに、小声で礼を言っていると……。


「みなさん! 騙されちゃいけませんわ!」


 不意に誰かが、大きな声で叫んだ。


「そこの女はねえ! みなさんが思っているような立派な淑女ではないの! アベル王子殿下との婚約を破棄され、王都を追放され、あげく公爵家を勘当されたとんでもない女なんだから!」


「……なっ!?」


 いったい誰よわたしのプロフィールをそこまで細かく知ってる奴はと思って声の方に目をやると……。


「え……え……バーバラ……? なんでこんなところに……?」


 どうしたことだろう、それは王都のお屋敷にいるはずのテレーゼの妹、バーバラだったのだ……。

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