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紅薔薇に秘めた想い  作者: 白百合三咲
第1部 戦火に咲いた乙女の初恋
7/38

 理想と現実の狭間で~前編~

芳子は瞳花を隣の村まで送り届けると1人陸軍本部へと戻っていった。

(謝謝。お兄ちゃんいい人だね。)

そんなこと言われたのはいつ以来だろうか。

瞳花の言葉が胸をよぎる。

だがこれはまだ1歩に過ぎない。本当の日中の友好にはほど遠いのだ。


芳子は軍に戻ると早速田中中佐の元を訪れた。 田中中佐は芳子の上官であり芳子に建国に協力を依頼した人物でもある。

「川島、地方への遠征ご苦労だった。」

「田中さん、一体どういうことですか?話が違うじゃないですか!!」

「開口早々にどうした?」

「どうしたもこうしたもありませんよ!!僕達が着いた村は村人がいない廃れた場所だったんです。隣村の少女が話してくれました。彼女は貴方方日本軍に家族を殺されたとも。なぜそのようなことをしたのですか?これが貴方方の望む国のあり方ですか?」

「あの村は軍に逆らい抵抗するゲリラを匿っていた。だから皆殺しにした。我々関東に刃向かうやつらは誰であろうと容赦はしない!!」

「彼らは何も知らないと言いました。それに満州国はアジア民族が共存する国ではなかったのですか?」

「川島何か勘違いしてないか?満州国の国旗をよく見ろ。」

田中中佐は机の上に旗を広げた。

「いいか?この4分の3を占めている黄色が日本だ。そして端の4色赤、青、白、黒がそれぞれ満州族、漢民族、朝鮮民族、そして蒙古族だ。つまり我々日本が上に立ち他4民族を導く。それが満州国だ。日本は開国後、西洋から教育、交通、芸術とあらゆる分野を学んでアジア1の大国になった。他民族にない物を補っているんだ。こんなの当然のことだろう?」

「ふざけるな!!」 

芳子は怒りにまかせ立ち上がり田中中佐が襟元をつかんだ  

「お前達はどれだけ僕を馬鹿にするるば気が済むんだ?僕だけじゃない愛親覚羅家一族、いや満州族を!!漢民族!!、アジア民族を!!」

しかし田中中佐は腕をほどき芳子を突き飛ばす。

「清朝の王女だからといっていい気になるな!!お前なんか簡単に消すことだって出来るんだぞ。話は終わりだ。さっさと出てけ。」

芳子は早々と追い返されてた。





 芳子が家路に着くとチャイナドレス姿の秘書が出迎えてくれた。

彼女は千鶴子。

芳子を慕って日本から遥か満州へとやってきたのだ。芳子にとって自分のことを誰よりも理解してくれる存在であった。

「お兄様お帰りなさい。」

「ただいま、千鶴ちゃんこれを頼む。」

千鶴子に鞄と上着を手渡すと自室に戻っていった。

軍服から和風に着替えベッドに横たわる。

(日本軍は中国大陸を手にして何がしたいのだろう?) 

芳子は自分の考えを巡らせる。

自分達の強さを弱い者に見せつけたいだけなのか?そんな下らないことのために誰かが苦しむのは許されない。だけど誰もそれに気づこうとしないのだ。

「お兄様」

ノック音と共に千鶴子が入ってきた。

「お兄様、お財布にお金入ってなかったので入れておきました。」

「ありがとう。テーブルに置いといてくれ。」

「お兄様、遠征先で何かありました?」

千鶴子が財布をテーブルに置くと芳子の隣に腰掛ける。

「ああ、1人の中国人少女が襲いかかってきた。」

「まさかその子に?」

「いや、違うんだ。話を聞いたら彼女は日本軍に家族を殺されて困っていたとこなんだ。だからお金は彼女にあげた。なあ千鶴ちゃん、僕がこの大陸に抱いた夢は間違っていたのか?今日田中中佐に言われたんだ。日本は他のアジア民族より優れている。だから満州国は日本がアジアの他民族を先導するために作ったと。」

「私は軍の方針はよく分かりませんが、お兄様がその中国の少女にしたことを間違っていないと思います。日本人とか中国人とか関係なく目の前にいる困ってる人に手を差しのべるのは素晴らしいことだと思いますよ。」

千鶴子は芳子の手を握る。

こちらも前編、後編に分けてお届けします。

史実に基づいて書くの難しいです。

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