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長い一日 11

 さてここで少し万里紗の話をしようか、今回万里紗が計画して俺を笹生と一緒に行動させたのだが、万里紗は今回と同じことを中学の時にもやっているのだ


 そしてその時の相手と言うのがあの椎名香帆だった


 勿論今回と全く同じ状況と言うわけではないがその目的は同じだ、そしてそれは俺が先ほど笹生に言った「どれだけ強い思いを持っているのか」を試すことだ


 正直これだけ聞いても万里紗が何をしたいのか分かる人は居ないと思う、笹生もその例に漏れず呆気にとられたような顔をしているが仕方のないことだろう


 因みに椎名もこれを聞いた時は今の笹生と同じような表情をしていた、今思い返すとなかなか笑える顔だなもう一回見ることはできるかな?


 ……話を戻すが、じゃあ万里紗はなんで椎名や笹生が強い思いを持っているのかを確かめたいと思っているのか、それは俺のためだ


 万里紗曰く「私には千がいるし千には私が居る、けど信頼できる友達の存在は別、その人がほんとに信用に値するのならば千の人生にとってとても大事な人に必ずなる」


 更に、けど、と万里紗は言葉を続けた


「けどそんな信用できる人を見つけるのはそう簡単ではない、特に異性が相手の場合私にとっては千が、千にとっては私の存在が邪魔になってしまうのは事実、だから難しいけど私が千のことを大事に思ってくれる友達を見つける」と言っていた


 これを万里紗が俺に言ったのが中学に入学する時だ、正直そのときは俺はあまりその意味を理解していなかったし、今なら完璧に理解できているのかと問われても自信は無いが、俺にとって……いや俺と万里紗にとって信頼できる友達を作るということが大事なことなんだというのは分かっている、だから今回も何も言わず万里紗の計画に乗ったのだ


 それで今回のことに話を戻すが、今の俺には何がきっかけかはわからないが万里紗は笹生のことを信頼できるのか試す価値のある人だと思ったのだろう、そして丁度タイミングが良かったのかそれとも狙っていたのか、今日この遊園地に来る日に俺と笹生を一緒にさせて二人の関係がどうなるのかを確かめようとしたということだ


 まぁなんかめんどくさそうな話をしていたが、簡単に言うと俺と笹生の相性は良いのか悪いのかを調べたかったってだけだ



 と言うことを、ある程度かいつまんで目の前で未だに呆気に取られている笹生に伝える


 少し時間が経って、急に我に返った笹生が声を出す


「……なんかよく分からない話だったんだけど、とりあえず私は試されていたってことでいいの?」

「んーまぁそういうことになるな、それについては悪かったと思ってるよ」

「いやほんと正直に言うけど、それって滅茶苦茶悪趣味なことじゃない?、人の気持ちを利用して実験していたようなものでしょ?」


 万里紗の考えを擁護したい気持ちはあるが流石の俺でもその意見には同意する、笹生としてはそれこそ俺とデートしている気持ちだったのだろうけど、その相手の俺はというと笹生のことをただの観察物として接していたようなものなのだから


 でも確かにその通りではあるのだが、俺は一つの確信をもって笹生に言葉を返す


「そうだな、確かにお前のことを試していたっていうのは間違いじゃないし、酷いことをしている自覚もある……けど俺は自信をもって言えることがあるぞ、それは今日一日絵里と過ごしていて楽しかったということだ、絵里もそうだったんじゃないか?」

「う……そ、それは……」


 今回俺は最初から襟を楽しませることを目標としていた、その理由は折角の今日という日を楽しみたいというのは勿論あるが、それ以上に絵里にこんな俺との関係が悪くないものと思ってもらうためだ


「だからさ、絵里さえ良かったらこれからもこうやって遊んだりとか、普通に話したりしようぜ、俺はそういう関係を続けられたらいいなと思ってる」

 「……」


 俺の言葉を聞いて絵里は悩みだす、もう俺が伝えられることは全て伝え終わったから、後は絵里がどういう判断を下すかというだけだ、やっぱり俺らのことを許せなくてもう俺のことなんてどうでもいいと思うのならこの関係はここで終わりだし、この関係が続くのは悪くないと思ってくれるのならそれで問題ないし


 長い時間沈黙が続く、俺としては緊張の時間だからできれば早くに答えを出してほしいと思ったりもしているがこればっかりは急かすことはできない、耐えるしかない


 「うん」


 そしてその時は不意に訪れた、絵里が言葉を発したのを聞いた俺は一瞬で緊張が高まった


 「……はぁーー、ほんと仕方ないなぁ無茶苦茶なことされてるなーって思うけど今回は許してあげるよ、だからこれからもよろしくね」


 俺はその言葉を聞いてホッとした、どうやら絵里は許してくれたようだ


 「でもさーなんかセコいよねー、結局私乗せられているみたいだし……あーあほんと宝野には貸しができたというか今度会ったら一発がつんと言わないと気が済まないかな」

 「……まぁうんほどほどに頼むよ、あいつも色々と考えてはいるからさ」

 「いやその考えっていうのがむかつくんだよなー、だって多分あいつ、私が千里と一日行動したらもう突き放したりする選択は取れないだろうって予測してるんじゃないかな、しかもそれがドンピシャで当たっているって言うのがほんとね……あーむしゃくしゃする」

 「落ち着け落ち着け……ま、でも楽しかっただろ?こうやって今日一日過ごしてさ、万里紗の計らいが無かったらこういう機会もなかったわけだしさ、直ぐに完全に許せとは言わないけど頭の片隅には置いといてやってな」

 「ハイハイわかっておりますよ……まぁいいよ結局こうやって千とも仲良くなれたのは事実だしね、今回はそれで許してあげるよ」

 「そうかありがとな……まぁじゃあこちらこそこれからもよろしくな」

 「はいはいよろしくよろしく」


 俺が差し出した手を絵里が渋々といった感じで握り返してきた、まぁでも顔は先程に比べて明るいし態度ほど渋々ではないというのがわかる



 すると丁度そのタイミングで楽器を演奏しているような大きな音が聞こえてきた、恐らくパレードの音だろう


 「よしじゃあ俺は今からパレードを見に行くけど絵里も来るか?」


 先程は断られたが今度こそはと思い声をかける


 「うん私もついていくよ、とりあえず気に病むことはなくなったしそうとなれば楽しまないとね!!」


 絵里の了解もとれたところで二人横並びで歩きだしパレードに向かうとこにする、うんこうやってまた二人で歩くことができて良かったよ



 そんなことを考えていた俺に絵里がふと質問してきた


 「そういえばさ単純に気になったんだけど聞いていい?」

 「ん?どうした?」

 「もしだけど、宝野は千里の気が変わったりして私と付き合うとかなる可能性が怖くないのかな?普通自分の彼氏を理由があるといえ他の女と一緒にいさせたくないようには思うけど」

 「あぁそれな、それに関してはこの話を最初に聞いたとき俺も万里紗に同じ質問をしてみたんだよ、万里紗はそれでいいのか?って」

 「じゃあなんて?」

 「千の気持ちを私から動かすことのできるぐらいの人が現れるのなら現れてほしいって、まぁそんな人がいたとしても私が勝つけど……だってさ」

 「……やっぱりあいつ一度殴ってもいいよね?どんだけ傲慢なんだよ」


 うん俺も殴られても文句言えないと思う、それぐらいひどい言い分ではある


 ……けどな、実は俺も同じことを思っている、それは二人の信頼の裏付けだから当たり前のことなんだ


 憤慨する絵里の横で万里紗との関係を思い馳せる俺がいた

どうもロースです。

お読みいただいてありがとうございます。

私の文章力が足りてると信じて伝わることを願っています。

では

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