下校(表)
早々に班決めを終えた俺たちだったが、他のクラスメイトを見るとまだ班決めに難航しているようだ
この様子ならまだ決まるのに時間がかかりそうだし適当に時間を潰すことにしよう
「万里紗、今日この後何も予定ないし放課後どこかに寄ってくか?」
最近は学校が終わったら俺も万里紗もすぐ家に帰って過ごしていたから、たまにはどこかに寄り道するのもいいだろうと思い提案してみる
「……んー」
しかし万里紗はあまり乗り気ではないようだ、口に人差し指を当てて考えているところからすると、何か迷っていることがあるようだ
少しの間迷っていた万里紗だが一度軽く頷くと、俺の方を向いた
「ごめん今日は止めとく、行きたいところがあるから先に帰っておいて、ご飯の時間までには帰るから」
「あーそうか、それは構わないけど、なんなら行きたいとこがあるのなら俺もついて行こうか?」
「ううん大丈夫、気にしないで」
一人でどこか行きたい場所があるなんて万里紗にしては珍しいことだが、まぁそういう日もあるだろうと思い特に気にしないことにする、何か俺にしてほしいことがあったらその時に言ってくるだろうしな
……余談だが、先ほど万里紗がまた俺の家にご飯を食べにくると言ったことからわかるように、万里紗の両親はあれからも家に戻ってきたと思えばまたどこかに出ていくという放浪生活?を続けている、ほんとに自由気ままな夫婦だよ、ある意味だけど羨ましいと思う
閑話休題
「はいでは班決めも無事に決まったようなので静かにしてください……では今から当日の詳しい要項を説明したいと思います」
どうやらようやく全員の班が決まったみたいだ、それを確認した委員長の堀は大声で呼びかけ皆が静かになるのを待ち、それから一枚の紙を皆に配り始めた
手元に回ってきた紙を見ると当日のタイムスケジュールや注意事項のことが書いていた、まぁと言っても先ほど説明したようにほとんどが自由な校外学習?なので書いてあることと言えば周りに迷惑を掛けないなどありきたりなことだけだ
「当日は紙に書いてある通り9時までに施設の入り口前に到着するようにしてください、もし九時より早くついても、今日決めた班の全員が揃っていることを先生が確認出来たら先に入ってもいいそうです」
へぇそれは知らなかったてっきり9時になるまでは入れないものかと、まぁでも確かに考えてみれば一斉に1学年の大人数で入ろうとすると他のお客さんの邪魔になるから、それを少しでも緩和するための配慮ということだろう
「それと入った後ですが、今日決めた班全員で行動しないといけないわけではないですが、決して一人だけで行動する人が出ないようにしてください、これを守れていないグループが判明した場合、後で先生から呼び出されますのでくれぐれも気を付けてください」
余程大事なことなんだろうな、委員長は俺たちに繰り返し釘を刺す、ただ俺らのグループに関してはその心配は皆無だろう……いや椎名の動向だけはきっちり見とかないと何をしでかすか分からんか、まぁ俺たちに迷惑がかかるようなことをするとは思ってないけど、気分次第ではないとは言い切れない
横の万里紗をちらっと見ると俺と同じ事を考えていたのか俺と同じタイミングでこっちを向いてきた、そして一瞬目を合わせた俺らは軽く頷きあった、短いやり取りだったが自分の考えが間違えてなかったことを確信するには十分な時間だった
キーンコーンカーンコーン
そこで5時限目終了のチャイムが鳴る、それを確認した委員長が号令をかけて休み時間に入った
「あ」
しかし皆が動き出そうとしたタイミングで委員長が何かを思い出したような声を上げた
もしかして何か当日のことで連絡することがあったのだろうか
「ごめんなさい忘れてました……椎名さん、放課後職員室に来なさいと先生が伝えといてくれとのことです、はいもう解散しても大丈夫ですよ」
……あー朝の続きだろうな、俺らに出来ることと言えばこちらに飛び火しないように祈ることだけだ南無南無
またかよーーーめんどくせーーーという椎名の叫び声に反応する人はいなかった
放課後俺は泰輔と一緒にゲームセンターに来ていた、久しぶりにここで遊びたかったのでどうせなら泰輔も来ないかと誘ったところオーケーをもらえたので一緒に来ることになった
男が二人で遊んでる絵面なんて面白くもないからカットするが、一応少しだけ教えるとすると、格げーやシューティングなどのゲーム全般は俺のほうが上手かったが、ホッケーやモグラ叩きのような反射神経が問われるものでは泰輔の方が強かった
「んあー疲れた、でも久しぶりにゲームセンターなんて来たけどやっぱり楽しいもんだな」
遊び疲れたようで欠伸をしながら喋りかけてくる、けど確かに同感だ俺もはしゃぎすぎたので疲れてしまった、まぁそれでも楽しかったから言うこと無しだけど
「こんどは宝野とかも連れてまた皆で来ようぜ」
「そうだなー、でも来週の校外学習終わったら試験があるからちょっと先になるかもな」
「うがーそうだったわ試験あるの忘れてたわ、はぁー勉強めんどくさいなー」
「それはほんとに思うわ……けどちゃんと勉強しないとな、赤点なんて取ってしまったら目も当てられん」
「いや赤点って言うけどお前は大丈夫だろ、だっていつも成績良いじゃんか」
そう泰輔の言う通り一応俺はそれなりの成績を取ってきてはいるのだ、しかしそれは俺の力ではない
「いやいつも万里紗が勉強は見てくれるのよ、だからそれで何とかっていう感じだよ」
それぐらい万里紗は頭がいい、俺に毎回勉強を教えているにも関わらずそれでいて学年で5本の指に入る成績をいつも取っているのだ、なんなら俺がこの学校に入れたのだって万里紗のおかげと言って過言ではない
「あー宝野かあいつ頭いいもんな……くそーいいなー羨ましいぞ千里、あれだけ可愛いのにその上勉強まで見てくれるだなんて非の打ち所がないじゃないか……俺も勉強教えてくれる彼女とかほしいぜ」
「あーうん確かにそうだなあいつのスペックはすごいと思うよ……あ、それなら椎名とかどうだ?あいつ頭もいいし顔も可愛いじゃん」
「いや千里それ本気で言ってるのか?勿論悪いやつではないと思っているけど、正直あいつが何考えてるのか全く分からんのよ、そんなのとは流石に付き合えないって」
「んーまぁその気持ちはわかるけど……なら次の校外学習で話してみたらいいよ幸い同じ班なんだし、思っている以上にまともな奴だと思うぞ」
「そこまでお前が言うなら……ま、とりあえず来週は楽しもうぜまたな!!」
「おうまたな」
丁度俺と泰輔が別れる交差点に来たので、話の途中ではあったが切り上げて泰輔と別れた、どうせ来週までまだ時間があるのだし何もここで無理に話さなくてもいいだろうしな
それから家に帰った俺は暫く自室でゲームをしていた、すると俺の部屋が急に開いたので少し驚きつつも扉の方に目をやると万里紗が立っていた
「お、お帰り、もう用事は済んだのか?」
「ん、ちゃんと終わったよ、ごめんね今日はゲームセンターに付き合えなくて」
「いいよ、ほら泰輔もまた皆で行こうって言ってたしその時に行けばいいさ」
「……でもその前にテストだからね、ちゃんと頑張らないと駄目だよ」
「……はい頑張らせていただきます」
それからしばらく万里紗とゲームで対戦した後、母さんにご飯ができたと呼ばれたので、下に降りていつも通り3人でご飯を食べた
どうもロースです。
お読みいただいてありがとうございます。
特に言うことが無いですね、次話をお待ちください
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