校外学習とは
「んじゃ提出してくるからまた後でな~」
その後俺たち三人は学校に到着した、そして椎名はさっき話していた通り進路調査票(白紙)を担任の先生へと届けに行った(遅刻)
「……なぁ万里紗?」
「何?」
「もしかして俺たちが進路調査票に書いたことってあいつ並みに酷かったりする?」
「……」
俺が進路調査票に書いたことについて万里紗や母さんに何を言われても気にしなかったが、先ほど椎名に言われて気が付いた、結局白紙で出しているのと変わらないのだ、いやむしろ内容的に先生をおちょくっているように取られても仕方ないレベルである
……あれ?もしかして同じぐらいどころか俺らの方が酷い?
「……いやまだ期間内に出してるから私たちの方がまし」
そ、そうだよな、提出期限を二回も破っている椎名に対して俺たちはちゃんと締め切りまでに提出したんだ、俺たちはまだ椎名よりまともだ!!
……はい勿論苦しい立場なのは分かっていますよ、無論万里紗も俺と同じく厳しいと思っている、声に力が無いのがその証拠だ
「ま、気にしても仕方ないか、俺たちは俺たちのペースでやっていこうぜ」
「ん」
いつまでもこんなことに悩んでいても出しちまった事実は変えられないのだから仕方ない、それよりこれから二人でどうしていくかを考えていくことが大切なんだ、うんそうに違いない
ほら万里紗もこの通り気持ちを一新出来たのか晴れやかな顔になっている
前向き?になった俺たちは決意新たに教室へと足を踏み入れた
……いやまぁそんなに大層なことではないんだけどね
あ、ちなみにそれから少しして、一限目が始まる直前に戻ってきた椎名の様子はいつも通り元気満々だった、先生は恐らく怒ったのだろうが彼女の鉄壁のマイペースを崩すことはできなかったようだ
……ふと思ったのだが椎名を筆頭に俺や万里紗のような変わった生徒が沢山いるこのクラスの担任をするのって滅茶苦茶大変なのかしれないな、いやほんとご愁傷様ですとしか言えないね
あれから普通に授業を受け昼休みもいつも通り過ごしたところで、五時限目のHRの時間になった
HRは他の学校だとそもそも無かったり、それか毎朝短い時間を取ってSHRをしたりするそうだが、この学校では週に一限だけだがしっかりとその時間が取られている
その内容はかなり様々でそのクラスの担任の先生によって毎回変わるが、例外があって体育祭や文化祭などの学校行事が近づいてくるとそれらに対して、クラス全員で決めごとをしたり話し合ったりとする時間として使われる、まぁ要するに週に1度だけあるクラスが自由に使える時間ってことだ
さて、そんなHRの今日の内容はその例外に当たるものだ
「はいじゃあ皆さん、今日は来週の火曜日に予定されている、1年生全員が行く校外学習の班決めをしたいと思います」
「「「「「よっしゃあああああああ」」」」」
クラスの委員長である堀七海が皆にそう告げると、クラスの男子どもが一斉に歓声を上げた
何故ただの校外学習ごときにここまで気合が入っているのだろうと疑問に思っている人が多いだろう、むしろめんどくさいと思う人が多くても不思議ではない行事なのにと
皆が歓喜する理由はその行先が特殊だからだ
「いやーでも学校の行事で遊園地に行けるなんてラッキーだよな、本当にこの学校が進学校なのか怪しく思えてくるわ」
前の席に座る泰輔が、こちらに振り向いて話しかけてくる、その顔は楽しみで仕方ないという雰囲気を滲ませている(一昨日席替えがあって、泰輔は俺の前、万里紗は俺の左と席の位置が変わっている)
まぁでも確かに俺もそう思う、実は今回の行事と言うのは校外学習と言う名前を借りただけの、ただのお遊びだからである
勿論校外学習としての目的は一応ある、この学校に入学してしばらく経ち、ある程度の人間関係を築けてきたであろう俺たちが更に仲良くなってもらおうというのがこの校外学習の狙いだ
当日の朝、一旦全員が遊園地に集合して点呼を取られるのだが、それが終わるとその後は完全にフリーになる、因みに服装は最初から私服でもオーケーだし、また点呼が終わった後何も遊ばずに帰ってもいい……そんな勿体ないことをする奴はまずいないだろうがな
話を戻すが、何故男子たちの気合がこんなにも入っているのかという理由は今回一つだけあるルールによるものだ
その内容は遊園地内で遊んでいる間は必ず二人以上で行動しないといけないというものになっている
一応一人で遊園地を回っていると何かトラブルがあった時対処しにくいっていう理由はあるのだが、正直そっちの心配をしているやつはいないだろう
何故なら、このルールを盾にすると合法的に自分が気になっている人を誘うことが出来ると皆分かっているからだ
だから特に彼氏や彼女が欲しくてたまらない人からするとこれはビッグチャンスに思えるのだろう、だからこその盛り上がりようだ
……なんでこれが学校行事として許されているんだろうな、俺としては気楽にできるからいいけど何回聞いても不思議な気持ちになるな
というわけで、そのための班決めを今日のHRでするという訳だ
班決めと言っても特に人数制限とかがあるわけではない、とりあえず一人になる人がいなければそれでオーケーというものだ
さて、話し合いが解禁され我先にと他のクラスメイトを誘い始めるやつらを尻目に、俺は泰輔に声をかける
「泰輔、一緒に回ろうぜ」
「おういいぜ、けど宝野と二人じゃなくていいのか?」
泰輔の中では俺と万里紗が同じ班なのは決定事項のようだ、まぁ勿論その通りではあるんだけどな
「ん、大丈夫、皆と遊ぶの楽しいから」
「そうか、じゃあ入れさせてもらうぜ」
万里紗が泰輔をグループに入ることに許可したため、それで泰輔も納得したようだ
そしてその万里紗も誘いたい奴がいるようだ
「後香帆も誘っていい?」
「椎名のことか?そう言えば宝野とよく喋っているな、勿論いいぞ」
俺は聞かれるまでもなくオーケーだ、椎名は適当な奴ではあるが中学からの付き合いでそれなりに気心知れてる、泰輔もオーケーみたいだし問題が何もないことを確認した万里紗は早速椎名を誘いに行った
少しすると万里紗が戻ってきて、椎名から了解をもらったと伝えてくる
しかし椎名と一緒の班なのはいいが、それより確認しておかないことがある
「万里紗、ちゃんと椎名集合時間に来いと言ったか?」
椎名に関して心配なのはその部分だ、変に遅刻でもされたら目も当てられん
「ん、大丈夫、当日は私たちが香帆の家まで行って遊園地まで連れて行くから遅れようがない
「あ、そういうことね、了解したその方が安全だわ」
「……椎名ってそこまでやばいやつなのか?なんか少し怖くなったんだが」
なんとも締まらないが、それが確実なのだから仕方ないだろうと泰輔には諦めてもらう
かくして、俺らの班は、俺と万里紗と泰輔と椎名の4人になった
どうもロースです。
お読みいただいてありがとうございます。
書いていて思ったのですが、二人以上じゃないといけないっていう班決めのルールぼっちにきつすぎないかなと、まぁ私の小説は皆リア充なので大丈夫でしょう()
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