85話:会議参加国
数日が経ち、明後日はいよいよ各国の代表が集まって円卓会議が行われる日となっている。
一足先にベルアナ魔帝都に到着していた俺とグロースは二人でグレミーの城まで足を運んでいた。
「こうして顔を合わせるのは、初めてだね。グロース王。僕はアザレア・ツー・リレイドア。知っての通りギュレーン魔帝国皇帝だよ。そして、この子がベルアナ魔帝国の皇帝グレミー・ツー・マルグロアだ」
「……」
「我はグロース・フォン・シュロス。シャンドラ王国の王なのだ」
軽く挨拶を終えたとこで、気になることが一つ。
「アザレア様、一つお聞きしても?」
「なにかな?」
「何故、グレミーは頭を持ってないんですか?」
まさかとは思うが、また無くしたりしてないよな? もしそうだったら、さすがの俺もキレるぞ。
「無くしたりはしてないから、心配しなくていいよ」
「そうですか」
アザレアはニコっと俺に笑顔を見せると、真面目な顔でグロースに向き直る。
「早速で悪いんだけど、東大陸からの円卓会議参加国を教えてもらえるかな?」
「我がシャンドラ王国を始め、クラ―トラム帝国、グランツメア王国が参加となっておる。ウィンスダム共和国の連中は不参加なのだ。あの引きこもり共は戦争の事など、どうでも良いのだろう」
「そっか、そっか。ありがと」
「聞きたいのだが、事が事とはいえレヴェリア聖国に招集をかけなくて良かったのか?」
「いいんだよ。これで。ねっ? タスク君?」
チラリと俺の方に視線を移してニコニコとする。
「タスクの事をえらく買っておられるようなのだ」
「もちろん。タスク君をギュレーンにくれないかな?」
「それは、アザレア殿の頼みでも聞けないのだ」
「ざーんねん」
俺はグロースの物になった覚えはないのだが?
「それにしてもさ、タスク君は本当に良かったの? 高価な転移スクロールを使ってまで、各国の代表を迎えに行ってくれるんでしょ?」
「迎えに行くわけじゃないですよ。転移スクロールを渡しに行くだけです。馬車や船を使ってもいいんですが、それだと開催日がいつになるかわからないので」
「えらく急いでるんだね?」
「やりたい事が山積みなんで、こんな面倒な事はさっさと終わらせたいだけですよ」
『コンコン』
ノックの音と共に失礼しますと聞こえ、扉が開く。
その先に立っていたのはジュラルダラン獣王国のガンディ獣王と一人のメイドだった。
「失礼する」
「久しぶりだね。ガンディ獣王」
「久しいなアザレア。む? タスクも居ったのか」
「俺はグロース王の付き添いですよ」
ガンディ獣王は視線を落とし、グロースに向ける。
「シャンドラの王か。初めましてだな。我はジュラルダラン獣王国、国王。ガンディ・ド・ジュラルダランだ」
「初めまして。我はグロース・フォン・シュロス。シャンドラ王国の国王なのだ」
ガンディは空いていた椅子に座りながら口を開く。
「アザレアよ。西大陸はジュラルダラン獣王国、イシュトゥラルト精霊国、ユミルド連合国のすべてが参加だ」
「はーい。ありがと」
「南大陸の参加国はどうなっておる?」
「全ての国が参加だよ。アッサール魔帝国もマグニゲイル魔帝国も。渋ってたけど絶対来いって言っといたから」
「そうか……。何もなければいいのだがな。ユミルドとその二国は特に仲が悪いからな」
「だね」
マジで言ってる? ユミルド連合国はアッサール魔帝国とマグニゲイル魔帝国は仲が良かったと記憶していたが。
というのも、アッサール魔帝国の大半は乾燥した砂漠地帯で、マグニゲイル魔帝国は山岳地帯で、と過酷な自然環境で暮らしている。
それとは逆に、資源や職人の多いユミルド連合国は色々な物を作ってはアッサール魔帝国とマグニゲイル魔帝国の支援をしていたはずだ。
なんでその二国がユミルド連合国とやりあってんだ? 魔人種はレヴェリア聖国だけに宣戦布告したんじゃないの? うーん、考えても分からん。
機会があったら聞いてみるか。
「それじゃあ、ウィンスダム共和国とレヴェリア聖国以外の代表たちに転移スクロールを届けたらいいんですね?」
「うんうん! お願いね?」
「では、俺は失礼します。グロース王はどうします?」
「我はもう少し話していくのだ」
「では、アザレア様。グロース王を宿まで送ってもらってもいいですか?」
「任せて!」
俺に向けてピースをしながら答えるアザレア。
それを横目に部屋から退出した。
宿まで戻ってきた俺はゼム・ロマーナ・使用人の三人を除く『侵犯の塔』の全員を一室に集め、先ほどアザレアたちと話してきた事と円卓会議参加国を伝えた。
「という訳で、みんなにはコレと転移スクロールを届けるのを手伝ってほしいんだが」
俺は手に持った六枚の封蝋付き手紙をテーブルに置く。
それぞれ、グロースの手紙が二枚、アザレアの手紙が二枚、ガンディの手紙が二枚だ。
「それでは私は、イシュトゥラルト精霊国とユミルド連合国に向かわせて頂きますわ。面識もありますので」
「拙僧も同行しよう」
「いや、ヘススには別の場所に行ってきて欲しい。ヴィクトリアとは俺が行く」
「主が言うのであれば」
今居るメンバーは八人。
大陸ごとの三グループに分けた場合、どこかのグループが二人になる。
そこに俺が入った方が有事の際に対応しやすい。
「アッサール魔帝国とマグニゲイル魔帝国にはフェイ、ミャオ、リヴィの三人で行って来てくれ」
「了解ッス」
「……わかった。」
「ハイ」
「グランツメア王国とクラートラム帝国はヘスス、カトル、ポルに頼む」
「任された」
「了解!!」
「はーい」
「いいか? 手紙と転移スクロールを各国の城まで届けるだけだからな? 余計な事に首ツッコむなよ? 危険な事があればすぐ逃げろ」
だけの部分を強調して、念を押しておく。
全員が頷くのを確認して、それぞれに手紙と転移スクロールを渡した。
「「「転移、王都グランツメア」」」
「「「転移、アッサール魔帝都」」」
「「転移、ドワルドラ」」
それぞれが文言を唱えると、姿を消した。
視界が切り替わった瞬間、酸素が薄くなり、気圧で耳鳴りがする。
ここ、ドワルドラはユミルド連合国のちょうど中心部に位置しており、山頂に造られた大きな街だ。
俺とヴィクトリアの目前には十メートルはあろうかという巨大な門があり、振り向けばいくつかの山を見下ろすことが出来た。
「何者だ?」
景色を堪能していると、大きな足音をたてながら門番である六メートルほどの巨人が話しかけてきた。
「ジュラルダラン獣王国からの使者だ。クラフト族王とステイブ族王に用があって来た」
そう言ってガンディ獣王家の封蝋が付いた手紙を門番に見せると、通れとだけ言い巨大な扉を開ける。
その先にはIDO時代と何も変わらない、巨大な石造りの家が建ち並んでいた。
感極まっていると、何の迷いもなく目的地の方へと歩き始めるヴィクトリア。
「ん? 道分かってんの?」
「ええ。ガンディ獣王様のご子息様を護衛した際に訪れましたの」
「なるほどね」
『ドスッ、ドスッ、ドスッ、……』
俺たちが話しながら歩いていると、少し遠くから大きな足音を立て、こちらに走ってくる人影が一つ見えた。
「ヴィクトリアさあああああん!!!」
徐々に近付いてくるその人物はヴィクトリアの名前を呼んだ。
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