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インフィニット・ダンジョン・オンライン《Infinite Dungeon Online》  作者: 筋肉式卓一同+α
第二章:《終戦行動編》
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76話:哮る枯れ井戸


~Side:カトル~




 ロマーナさんが屋敷に来た翌日。


 俺たちは朝早くから、馬車で南へと向かっていた。


「ところで、何でロマーナさんが居るんですか?」

「気にするな。邪魔をする気はない」


 ロマーナさんは俺たちが乗り合いの馬車を待っている時、突如として現れ同行すると言ってきた。

 昨日ゼム爺とリヴィ姉の同行を断ったというのに、何故、来たのだろう。

 その事を聞けば、ダンジョン内に入る気はないから問題ないだろう? との事。


 確かに問題はないけど……。


「危ないことはしないでくださいね?」

「その言葉はソックリそのまま返させてもらう。難易度四等級ダンジョンに入ろうとしている子どもが言うような言葉ではないからね」

「俺たちは大丈夫ですよ!」

「何故、そう言い切れるのか、わたしには理解できない。キミたちは自分たちがまだ幼い、という事をしっかりと理解した方がいい」

「理解してますよ! 馬鹿にしないでください!!」


 ガタガタと揺れる乗り合い馬車の中で言い合いをしていると、ゴホンと一度咳払いが聞こえた。

 辺りを見渡すと、他の乗客がこちらを見つめていたので、一度頭を下げ小声でロマーナさんに話しかける。

 

「とにかく、俺たちは絶対に寄生花弁を持って帰ってきますのでミャオ姉をお願いします」

「言ったはずだ。必ずわたしが助けると」

 

 それだけ言うと、ロマーナさんは目を瞑り黙り込んでしまった。


 ――数時間後。


 まだ乗り合い馬車が揺れている中、俺は御者さんに降りる旨を伝えてから飛び下りる。

 馬車が進んでいた道とは違う道を数十分ほど歩いた頃、『破裂蛙(バーストトード)』の棲む、難易度四等級ダンジョンがある小さな村が見えてきた。

 村とは言ってもダンジョンがある場所に人は住んでいるはずもなく、廃村となっている。

 

「今日はもう遅いから野営の準備を済ませよう!」

「ハーイ」

「もー歩き疲れたー」


 そう言って座りこんでいるポル。


 だが、俺にはわかる。

 この言葉は嘘だ。

 ダリオスやレトナ、タスク兄たちが居ない初めての遠出にワクワクしているのか、本当は疲れていない。


「サボってたら晩御飯抜きだからな!?」

「えー!」


 ポルは勢い良く立ち上がると、フェイと一緒にテントを張り始める。


 やっぱり疲れていなかったようだ。

 ポルの気持ちはすごくわかる。

 俺だって同じ気持ちなんだから。


 そんな中、ロマーナさんは棒立ちで、ジッと俺たちを見つめていた。


「野営の準備はしないんですか?」

「必要ないだろう? そこら辺には雨風を凌げる建物があるのだから。わざわざテントを張る必要性を感じない。それに労力が勿体ない」

「そうですか」


 野営の準備が終わり、アンさんが持たせてくれた保存食を食べてから早めに床に就く。


「フェイ。ポル。まだ起きてるか?」

「起きてマスよ」

「うん」

「いずれはさ、俺たちだけで色んな所行ってみたいよな」

「そうデスね」

「そーだね」

「だからさ、明日はタスク兄に俺たちだけでも出来るってところ見せてやろうぜ」


 フェイとポルは力強く頷いた。


 明日は必ずうまくいく。

 そう、思っていた――。


 

 ――翌日。


 俺たちは朝からダンジョン内に侵入していた。

 廃村の中央にある井戸の滑車を降りた先がダンジョンとなっており、中は薄暗くジメジメとしている。

 

「さあ! 行こっか!」

「では、ワタシが先に行きマスね」

「ありがと! 頼んだぞ!」


 フェイを先頭にポル、俺の順に暗い通路を進んでいく。

 今回、フェイはバックラーをミスリル製に変えており、俺とポルは手斧と糸をそれぞれミスリル製に変えていた。


 それを構えながら少し進むと、通路の奥からズリズリと何か重たい物を引き摺っているような音が聞こえてきた。


 <指揮官☆>スキル『コントロールコンバット』:術者が戦闘参加時、味方ステータスの上昇。


 ――発動。

 ポルも音が聞こえていたのか、俺の掛けた『バフ』と共に声を上げる。


「おいでっ! デスビィくん!」


 <虫遣い☆>スキル『眷属召喚』:テイムした魔物の召喚。


 ――発動。

 ポルの背後に大きな蜂が現れると、抱き着くように背中に引っ付いた。


 以前タスク兄、ミャオ姉、ヴィク姉に手伝って貰い、ポルが初めてテイムした『破壊蜂』だ。

 因みに“デスビィ”という名前の名付け親はポルで、タスク兄に聞いた()()()の名前も加味して付けたらしい。


 戦闘態勢も整ったところで、俺たちはズルズルという音のする方へと走っていくと、“ソイツ”が見えてきた。

 

 一メートルはあろう巨体はヌメヌメとしており、歩くたびに膨らんでいるお腹を地面に擦る。

 常識では考えられない程大きな蛙は口から細く長い舌を垂れ下げており、飛び出た横長の黒目をギョロギョロと動かし俺たちを捉えると吠えだす。


 その刹那、『破裂蛙』に向けたフェイの『ナイトハウル』で戦闘の幕が切って落とされた。


 破裂蛙の視線がフェイに移る時、長く伸びた舌をグググと縮めたかと思うと、物凄い勢いで伸びてくる。

 

 <指揮官☆>スキル『コマンダーバフ』:術者の命令に従う事でステータスの上昇。


 ――発動。


「フェイ、前進! ポル、デスビィ、敵背後へ!」

「ハイ!」

「りょーかい!」


 指示通り動くフェイ・ポル・デスビィの体が淡く光る。

 同時にフェイは伸びてきた舌を『プロテクトシールド』を発動させながら、バックラーで弾く。

 そんな攻防している両側をポルとデスビィが走り抜けていった。


「ポル、斬! デスビィ、飛針!」


 ポルはミスリル製の糸を『動』で操作し、『斬』で切りかかる。

 隣ではデスビィが<飛針>スキルを使い、腹部に生えていた紫色の針を飛ばす。


『ゲコォォォオ』


 糸が皮膚を裂き、飛来した針が突き刺さった蛙は呻き声を上げた。


 これなら……! 四等級でも倒せる!


「ポル、デスビィ、追撃だ! フェイ、ヘイト固定! 俺も出る!」


 俺は駆け出し、フェイが『ナイトハウル』でヘイトを集めている中、()()から攻撃する。


 真横から攻撃する理由は以前、タスク兄に教えてもらった立ち回りというやつだ。

 戦況を見て指示(バフ)を掛ける俺は、背後からの攻撃による威力の上昇を狙うよりも、タンクやアタッカーの見える位置から指示を出すことを優先しろと言われていたのだ。


 まあ、バッファーは攻撃に参加しないほうがいいとも言われていたが。

 

 <斧術>スキル『パワーアックス』:威力重視の斬撃。


 ――発動。

 横腹辺りを抉るように振り下ろした手斧が弾かれた。


「腹は硬い! ポル、デスビィ、背中に集中!」

「やってるよー」


 指示を出した俺は『スラッシュショット』を使い斬撃を飛ばす。


 狙ったのは勿論、背中。

 飛んでいった斬撃は背中の皮膚を抉った。



 …………数分経った時だった。

 蛙の様子がどうもおかしい。

 プルプルと震え始めたかと思うと、お腹の辺りが薄っすらと光る。


 もしかして……ッ!?


 ()()する前に倒すって書いてあったけど、そういう事か。

 まさか蛙自身が破裂するとは思っていなかった。

 俺は位置的に間合わない。

 タスク兄の言う通り、攻勢に出なきゃよかったな。


「フェイ、ポル、デスビィ!! 全力後退!!」


 俺の声にポルとデスビィは攻撃の手を止め、後退する。

 そんな中、フェイが必死な顔で()()してきた。


 ――俺の方を目掛けて。


「ワタシがッ!! 守りマスッ!!」

 

 同時に轟音を響かせながら、蛙は破裂した。

 井戸の外では、井戸が吠えたように聞こえただろう。



 故に『(たけ)る枯れ井戸』。



読んで頂き誠にありがとうございますorz


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評価の方もしていただけたら嬉しいです( *´艸`)


毎日一話ずつですが更新します!

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