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インフィニット・ダンジョン・オンライン《Infinite Dungeon Online》  作者: 筋肉式卓一同+α
第一章:《登場人物編》
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41話:オレカル鉱石



 ハハハ!


 俺は自分でも分かるほど口角を吊り上げながら、エルダードワーフの振り下ろしてくる四角槌を受け止める。


 あー、テンション上がるわ。

 仲間の成長……こんなに嬉しい事は、他に無い。


 視界の端に映っていたミャオが攻撃の手を止めてまでステータスウィンドウを凝視していたかと思うと、魔法鞄から再び弓を取り出し、矢を放った。


 その矢は空中に一筋の線を残したまま、突き刺さった。


 正直、鳥肌が立ったぞ。


 ミャオはアタッカーとして後ろ向きだった。

 その上、自分のスキルを熟知してない。

 

 それがどうよ?


 今、自分で考え、導き出したスキルで攻撃をした。

 実際に目に見える形でエルダードワーフに傷をつけた。


 愉しいだろ?


 俺はミャオを見ると、リヴィに向けてピースをしている。


 油断するな、と言いたいが今は良いか。

 エルダードワーフに範囲攻撃は無いし。

 俺が敵意(ヘイト)を持っていれば問題ないだろ。

 

 俺はエルダードワーフの猛攻を凌ぎながら辺りを見る。


 ミャオは矢を放ち続けており、その全て弾かれることなくエルダードワーフの体に突き刺さっており、刺さった矢を目がけてヘススが<闇属性魔法>のスキルを放っていた。

 

 <闇属性魔法>スキル『ディングリース』:傷口を広げる。

 

 PVPで見た事のあるスキルだが、あまり知識はない。

 だが、一目見たらわかるくらいは効果がある。

 矢が刺さっている部分からは魔素の放出量が上がってる。

 確か途中からスキルを変えてたよな。

 相変わらず、ヘススは周りがよく見えてるな。



 リヴィは本を開き、ずっと『バフ』を掛けている。

 しかし『バフ』の効果時間は決まっているので、リキャストタイムが空けるたびに掛け直す必要は無い。

 効果時間さえ覚えてしまえば、後は攻撃に参加出来る。


 まあ、リヴィは攻撃することは好きじゃないらしいから、無理に攻撃しろとは言わないけど。

 最上位職にもなれば攻撃する暇無くやることがあるし。

 そのためにも効果時間を覚えさせるのは必須だな。



 うーん……問題はゼムだな。

 鍛冶職という事もあるんだろうが火力が足りていない。

 そこは良い鉱石で作った武器やボスの魔核があればなんとかできる。


 だが、素のステータスとミスリルの武器だけで戦っている今はキツいだろうな。

 エルダードワーフ相手ではあまりダメージを入れられていないみたいだし。

 ミャオの木製弓の方が威力が出ている。

 そこもステータスの差分があるから仕方ないが。


 俺がみんなを見ている間にもエルダードワーフのダメージは蓄積していく。


 すると、エルダードワーフの顔が真っ赤に染まっていく。

 額には青筋が浮かび上がり、腕の血管も切れるんじゃないかというくらい浮き出てくる。


 まあ、魔素の塊だから血管は無いんだが。

 この変化は残りHPが十分の一以下になった証拠だ。

 戦い始めて既に数十分。

 みんな肩で息をし始めている。

 もちろん、俺も。

 さすがに受け続ければ腕も痺れてくるしな。


 真っ赤になったエルダードワーフは攻撃モーションも変わり、素直に振ってきていただけの四角槌を片方、ぶん投げてきた。


 俺は飛んできた四角槌を大盾で弾き、隙間から前を覗く。


 すると片手の四角槌を放して身軽になったエルダードワーフは先程よりも遥かに速いスピードで走ってきた。

 そして一本の四角槌を両手で握り、ゴルフスイングの要領で、下から振り上げてくる。


 この攻撃には『シールドバッシュ』が合わせずらい上に、地面を擦るので石礫が一緒に飛んでくる。

 もし石礫に『シールドバッシュ』を吸われたら、俺は両腕で振るわれた四角槌に吹っ飛ばされるだろう。


 ……ハハハ。

 このスリルがたまらない。


 俺は『シールドバッシュ』を準備して…………今!


 振り上げられた四角槌は俺の大盾に当たった瞬間、けたたましい金属音を鳴らしながら弾け飛ぶ。

 そのままエルダードワーフは体勢を崩した。


 しかしあの状態のエルダードワーフの変わる点は攻撃モーションだけじゃなく、ノックバックや怯みの耐性がつく。

 ノックバックや怯まない訳ではないが、弾かれ少し怯むとすかさず動き出すのだ。


 故に今、俺の前には既に四角槌を今度は上から振り下ろそうとしているエルダードワーフが居る。

 俺は大盾を構えて『オーバーガード』を発動させながら、振り下ろされた四角槌を受け止める。


 四角槌は大盾と衝突し、轟音を響かせる。

 その衝撃と共に俺の足が地面にめり込んだ。

 

 俺は受け止めた四角槌を横に流しながら、エルダードワーフを見ると、振り下ろした体勢のまま俺の方に倒れてくる。

 そして、そのまま腹から地面に倒れ伏した。


 エルダードワーフの背中には数えるのが億劫なほど矢が刺さっており、そこから漏れ出す魔素と共に霧散していく。

 そしてエルダードワーフの居た場所には土の大魔石と拳ほどの大きさのくすんだ黄色い鉱石が落ちていた。


 同時にボス部屋である大きな空洞の奥にあった扉が開いており、下へと続く階段が伸びている。


 俺は土の大魔石とくすんだ黄色い鉱石を拾い上げ、周りを見渡すとリヴィがミャオに抱き着いていた。

 

「……ミャオ。……やったね。」

「うわっぷ! リヴィ、苦しいッスよ」


 仲がよろしいな。

 いい事だ。


 俺は視線をゼムの方へと移し、近付いて行く。


「火力出なくても気にすんなよ。ゼムの本業は鍛冶だ」

「馬鹿にしてんのかッ!? 言われんでもわかっとるわい」

「ならいいんだが」

「タスク。ワシは職人じゃ。難易度十等級ダンジョンの中でも、お前さんらの命を守る武器防具を作るという無理難題がワシの役目じゃ。今更、力が不足しとるくらいで凹んでられんわい!」


 ニカッと笑うゼム。


 今は無理難題と思うかもしれないが、その内みんなが実感する事になる。

 ゼムが作った武器防具以外じゃ、攻略が出来ないということを。


「ところで、その石はなんじゃ? 見た事もないが」

「だろうな。これはオレカル鉱石っつって、難易度六等級以上のダンジョンしかドロップしない鉱石だ」

「オレカル鉱石? 聞いた事もないし、加工の仕方もわからんのじゃが?」

「オレカル鉱石はエルダードワーフが確定ドロップするから後、四つは手に入る。少しくらい失敗しても大丈夫だ」


 サブキャラで鍛冶職を経験していた俺だが、この世界での鍛冶は教えられない。


 というのもIDO時代は、適当に鉱石を叩いていれば武器や防具が出来たが、この世界の鍛冶職の人たちは本気で鍛冶をしているからだ。


 しかし、完成時の形や大きさだけは俺も手伝う予定だし、細かい武器ステータスは一緒に決める予定だ。


「それなら、いいんじゃが」


 そう言いながらゼムはその場に腰を下ろし、革水筒の中身を呷る。


 全員を下層へと続く階段の前に集め、先ほど見ていた時のアドバイスをする。

 四人は地下二階層のボスから俺のアドバイスを試しつつ、ドワーフを屠っていく。


 因みに、二階層から五階層までのボスも、一階層のボスと同じくエルダードワーフだ。


 同じことの繰り返しではあるが、繰り返していくうちに討伐時間は縮んでいき、五階層のエルダードワーフを討伐した時は一階層の四分の三ほどの時間で討伐できた。


 五階層に現れた魔方陣に乗り、『堀小人(ほりこびと)の坑道』の前に転移してくる。

 『堀小人(ほりこびと)の坑道』は結局二周だけして計十個のオレカル鉱石が手に入った。


 屋敷に帰った俺たちはフェイ・カトル・ポル・テアを加えた九人で夕食を摂った。

 食器を片した後、俺たちは明日のために早めに就寝する。


 

 明日はテアのレベル上げ最終日だ。



読んでくれてありがとうございますorz

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毎日一話ずつですが更新します!


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