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インフィニット・ダンジョン・オンライン《Infinite Dungeon Online》  作者: 筋肉式卓一同+α
第三章:《北の大陸編》
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120話:ギルド依頼



「「ねーねー! タスク兄!」」


 カトルとポルが片方ずつ俺の腕を掴み左右に揺らす。

 かれこれ五分ほど放置しているのだが、一切やめる気配がない。


 何故こんな事になっているのかと言えば、今朝アイザックと話していたことをフェイから聞いたらしく、二人がモジャモジャに興味を持ったからである。

 伝えた張本人であるフェイはというと、二人がゴネ始めた辺りから俺と少し距離をとっていた。


「「行ーこーうーよー」」

「ダメ」

「「なーんーでー」」

「ダメなもんはダメ」


 ポルはプクゥっと頬を膨らませながら俺の腕をこれでもかというほどブンブン振り回し、カトルは俺の腕から離れるとフェイも一緒に説得してくれと頼みに行った。


 それにしてもポルならまだしもカトルがゴネるとは珍しいな。


 これは俺の憶測でしかないのだが、パーティメンバーを集めている二人からすればモジャモジャと一度会ってみたいのだろう。

 というのも、俺が「近付かない方がいい」とアイザックに忠告した事をどう解釈したのか、俺がそこまで言うモジャモジャは物凄く強いと思っているようなのだ。


 まあ、間違ってはいない。

 相手が人ならばの話だが。

 うーん。

 行ってもいいんだが……一つ問題があるんだよなあ。


 転移スクロールが無い。

 厳密に言えば、残り十巻ほどしか無い。


 一パーティの行き帰り分でギリギリな現状、無駄遣いは出来ん。

 モジャモジャを見に行くとすれば、ぺオニアを昇格させた後だ。


 ん? 待てよ? 良いことを考えた。


「カトル、ポル」

「何?」

「んー?」

「モジャモジャに会いに行ってもいいぞ」

「「ほんと!?」」


 俺の言葉に二人は目を輝かせながら纏わり付いてくる。

 しかーし、俺は無条件に甘やかすほど優しくはない。


「ああ。だが、その代わりお前たちにやってもらいたい事があるんだ」

「何をしたらいいの?」

「依頼だ!」

「「依頼?」」

「そうだ。バトラ、水晶板を持ってきてくれ」

「畏まりました」


 バトラは頷くと、今居るダイニングから出て行き、一分も経たないうちに水晶板を手に戻って来た。

 俺がどういう依頼なのかを伝えると、バトラは慣れた手つきで水晶板を操作する。


 そして、一つの依頼を映した状態で手渡してくれた。


――――――――――――――――――――――――

 【抄造資材の採取お手伝い】


 <場所>

 ・シャンドラ王国 シティクル子爵領 ケパケロ


 <依頼主>

 ・ドホディ


 <仕事内容>

 ・護衛


 <報酬>

 ・4000G


 <職業>

 ・不問

――――――――――――――――――――――――


 おお、これこれ。

 やっぱりあったか。

 でも、俺の知っている内容と少し違うな。

 IDO時代は報酬はお金じゃなかったはずだ。


 そう、これはIDO時代からあった依頼で、紙の素材を森の中に取りに行くから護衛してほしいというもの。


 何故、紙の素材なのかと言えばケパケロの町は紙の生産地として有名で、一般家庭用の紙を始め各種スクロールの複製素材として使われる特殊な紙まで多種に渡り取り扱っているからだ。


「ほーしゅー少ないよー?」

「タスク兄、本当にこの依頼なの?」


 カトルとポルは不満げに眉を顰めながら言う。


 確かにポルの言う通り報酬4000Gは安宿一日分ほどと少ない。

 その上、ケパケロの町は王都シャンドラから馬車で二日かかる。

 この依頼がギルドの依頼ボードに貼り出されていても二人はおろか、誰もやりたいとは思わないだろう。


 だが、こういう依頼をこなすのも必要な事なのだ。


「ああ、間違いなくこれだ」

「うーん、タスク兄が言うならやるよ」

「不満か?」

「正直言うとね。さっきバトラ爺が水晶板をいじってる時、もうちょっと面白そうな依頼があったし」

「カトルの面白そうは討伐系だろ?」

「うんっ!」


 人的被害が大きい物は別として、極力『侵犯の塔』メンバーには討伐依頼を受けて欲しくないんだがな。


 理由は大まかに分けて三つある。


 先ず一つ目。

 フィールドの魔物はダンジョンの魔物と違って死体が霧散せず、いちいち解体して魔石や素材取り出す必要がある。

 そんなことに時間を使う暇があるなら一匹でも多くダンジョン内で魔物を倒していた方が良い。

 それに、何を隠そう俺は解体なんて経験がない……というか、やったら吐く自信がある。


 次いで二つ目。

 フィールドの魔物がAIで動いていたIDO時代とは違い、この世界のフィールドの魔物は実際に生きていてそこそこ知能が高い。

 自然の中で暮らす術をしっかりと心得ており、中には畑を耕している魔物ですらいるという。

 それをわざわざ殺してしまうのは可哀想だ。


 最後に三つ目。

 二つ目の理由の続きになるのだが、こちらは依頼者側の問題だ。

 そこに魔物が棲んでいるからという理由だけで、わざわざこちらから冒険者を向かわせて駆逐するなんて事を依頼する馬鹿が居る。

 そういう奴は逆を考えてみろ。

 俺たちがそこに住んでいるという理由だけで、魔物が蹂躙しに来たらどう思う? と。

 それが次元の間の魔物や天界・地界の魔物だったらと思っただけでもゾッとする。


「討伐依頼もいいが、こういう依頼も結構大事なんだぞ」

「なんでー?」

「その依頼に携わっている人との人脈が出来るからだ」

「人脈?」

「そうだ。例えば、カトルとポルは戦うのに武器を使うだろう?」

「「うん」」

「もし、カトルとポルがゼムと知り合っていなかったらその武器を誰が作るんだ?」

「武具店の人?」

「その辺の武具店でお前たちが満足できる武器は売ってるのか?」


 カトルとポルはブンブンと首を横に振る。


「だろ? それと一緒で、ケパケロの町の人たちとは知り合っといた方が良いんだ。スクロールを作るのに必須と言っても過言じゃない」

「「スクロールを作るの?」」

「ああ。昇格したらぺオニアがスクロールを作れるようになるからな」


 俺の言葉に二人はポカーンと口を開け呆けた表情をする。

 周りを見渡すと、フェイ・ミャオ・リヴィ・ゼム・ロマーナ・アン・キラまでもが同じ表情を浮かべていた。


「なんッスか!? ソレ! 聞いてないッスよ」

「……私も。」

「ワシも初耳じゃ!」

「お前たちには最初に伝えたはずだぞ? 遊び人は仲間に必要だって」

「そうッスけど」

「スクロールが作れるとは聞いとらんわい」

「言っても信じなかっただろうが」


 三人は納得したように「まあ」や「確かに」と言いながら頷く。

 すると隣にいたロマーナがガタッと立ち上がった。


「待て、タスク。それじゃあ、わたしたちがあれだけ苦労して入手した<軽騎士>のスクロールも作れたんじゃないのか?」

「それは無理だ。厳密に言えば一から作る訳じゃなく、既にある物を複製するんだ」

「なるほど。ということは少なくとも一巻は必要な訳か。しかし一巻あれば複製できるという事はぺオニアさえ昇格させていればスクロールを使い放題という訳だな」

「理解が早くて助かる。ぶっちゃけると、転移スクロールの在庫が少ないんだ」


 その時カトルが俺の意図に気付いたのか「だからか」と小さく呟く。

 

「わかったよ。タスク兄! その依頼、俺たちが行ってくる! いいよな? ポル、フェイ」

「ハイ!」

「いーよー」

「では、わたしも同行するとしよう。先ほどから話を聞いていたが、ケパケロの町に行くんだろう? あそこにはわたしも用がある」

「そうか。ロマーナ、三人の子守は頼んだぞ」

「ああ。任せておけ」

「よく言うよ。『哮る枯れ井戸』で俺たちを放置してたじゃん」

「五月蠅い。口を縫い合わるぞ」


 ロマーナが魔法鞄から針を取り出すのを見て、カトルは脱兎の如く逃げ出した。

 

「じゃあ、俺たちはぺオニアのレベル上げに行くぞ。ミャオ、リヴィ、ヴィクトリアは付いて来てくれ」

「了解ッス」

「……わかった」

「畏まりましたわ」

「主、拙僧は何かすることはあるか?」

「うーん。無い」

「では、拙僧もカトルたちに同行するのである」


 ――翌日。



 俺たちは二手に別れて屋敷を出た。



読んで頂き誠にありがとうございますorz


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毎日一話ずつですが更新します!

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