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インフィニット・ダンジョン・オンライン《Infinite Dungeon Online》  作者: 筋肉式卓一同+α
第二章:《終戦行動編》
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90話:マグニゲイルの代表


 ~Side:リヴィ~

 


 ……どうしてこんな事に。


 歩いている私の体は、大きな翼に包み込まれていた。


「……あの。」

「どうしたのー?」


 透き通った声で囁くように話しかけてくる彼女の名前は“オード”。

 顔や胴体は人種と変わらない見た目をしているが、両腕は大きな翼となっており、両脚は鳥のような形をした魔人だ。

 私たちがマグニゲイル魔帝国を訪れてから一番最初に出会った人物で、事情を話したところ皇帝の居る場所までの道案内をしてくれると言ってきた。


「……歩きにくいです。」

「いいじゃーん。さむいんでしょー?」


 オードの言う通り、高山の頂上に位置しているマグニゲイル魔帝国は途轍もなく寒い。

 隣を歩いているミャオとフェイは、寒さで体をカタカタと震わせている。


「暖かそうッスね」

「羽織る物を持ってくれば良かったデス」

「さむいならミャオちゃんとフェイちゃんもはいるー?」

「遠慮しとくッス」

「ワタシも遠慮しマス」

「ざーんねん」


 ……え? 私には入るか、なんて聞かなかったのに。


「……あの。」

「えへへー。リヴィちゃんかわいー」


 二人が遠慮したことが理由なのかはわからないが、私を抱きしめる力が更に強くなる。


「あ、そうッス!」


 何かを思い出したかのようにミャオが声を上げる。

 すると、ミャオの体が薄っすらと発光し始めた。


「何かのスキルデスか?」

「そうッスよ! フェイにも掛けてあげるッス」


 ミャオがフェイの体に触れると、フェイの体が薄っすらと発光した。


 <冒険術☆>スキル『ミティゲーション』。

 ルング湖で見た、環境の影響を軽減・無効化するスキルだ。


「エッ!? 寒くないデス! ミャオさん、凄いデス!」


 フフンと胸を張るミャオ。


 ……え。

 ……私には?


「へー。すごいスキルをもっているんだねー」

「タスクさんってクランマスターに教えてもらったんッスけど、星付きスキルっていうらしいッス」

「ユニークスキル? ヴノさまがもってるスキルといっしょかなー?」

「「「ヴノ様?」」」


 私たちが首を傾げると、オードはニコッと笑い、正面を見る。


「さ、ついたよー」


 オードが見ている先に視線を向けると、大きな空洞が口を開けていた。

 そこは、先程まで魔人たちが賑わっていた街中とは違い、辺りには魔人の姿は全くなく建物もない岩場だった。


「洞窟デスね」

「ダンジョンの入り口みたいッス」

「……本当にここであってるの?」

「あってるよー」


 ニコニコしながら私から離れると、空洞の方まで走っていき大きく息を吸い込んだ。


「ヴノさまー!! おきゃくさまですよー!!」


 先ほども聞いた名前を大声で叫ぶ。

 すると、大きな足音と共に空洞の奥から巨大な何かが姿を現した。



 それは――鷲の頭部と上半身に、獅子の下半身を持つ()()だった。



 ……嘘。

 “鷲獅子(グリフォン)”だ。

 数百年前、魔人と縄張りをかけて戦争をして絶滅した、と本に書いてあったのを読んだ事がある。

 どういう事? オードに騙された?


 でも今は、それどころではない。


 私は手に持っていた、本を開き魔力を通した。

 それと同時にミャオは弓を、フェイはバックラーを魔法鞄から取り出して構えをとる。


 私がフェイとミャオにバフを掛けると、フェイは『ナイトハウル』を発動させた。

 『ナイトハウル』を受けた鷲獅子の瞳がフェイを捉えた瞬間、大きな咆哮を上げる。

 それを聞いたフェイは、ビクッと肩を上げた後、尻もちをつきプルプルと震えだした。


「嘘ッスよね!?」

「……えっ。」


 私は目を疑った。

 目の前に居る鷲獅子の体からは“黒い魔素”が漏れ出していたのだ。


 ……やばいかも。

 フェイはまだ下位職の<騎士>だ。

 おまけに、フェイは黒い魔素を纏う魔物と戦った経験がない。

 以前、タスクさんが黒い魔素は<MEN(異常耐性)>かレベル差――ステータスでしか解決出来ないと言っていた。

 どうしよう。


 尻もちをついた状態のフェイに鷲獅子が襲い掛かろうとした――その時。


「ストーーーップ!」


 大きな声が響き渡る。

 私たちが声のした方に視線を向けると、オードが深々と頭を下げていた。


「ごめんなさーい! やめてくださーい!」


 オードの言葉を聞いた鷲獅子はフェイに鉤爪が当たる既の所で動きを止める。

 すると、鷲獅子はオードの方へと近付きながら口を開いた。

 

「どういうことだ?」


 鷲獅子が喋った!? あ、ウサギさんも喋ってたし、ミャオも喋ってるか。


「そのコたちを、あんないしてきたんですけどー、ヴノさまがグリフォンだってことをいいわすれてましたー」

「嘘だな? お前の事だ。驚いた顔が見たかった、とかだろう?」

「ウッ」

「人を惑わすのがお前たち魔鳥人(セイレーン)族の性なのかも知らんが、本当にやめろ」

「はいー……」

「それで? この娘らは?」

「アザレアさまのおてがみをもってきたらしいですー」

「なんだと!? この、大馬鹿者!! もし殺してしまっていたらどうするつもりだ!!」


 鷲獅子はオードを怒鳴りつけると、一度深く深呼吸をしてフェイに近付いて行く。


「粘体の娘。襲い掛かってしまい、すまなかったな」

「ワタシこそ、いきなりスキルを使ってごめんなサイ」

「立てるか? 掴まるが良い」

「ハイ。ありがとうございマス」


 片方の前脚をフェイの方へと伸ばして立たせてあげる鷲獅子。

 そんな二人? の元へ私とミャオが近付くと、オードも近付いてきた。


「そちらの娘らもオードが悪戯をしてしまったようですまなかった」

「騙されたと思ったッスよ」

「……私も。」

「ワタシもデス」

「ううー。ごめんねー」


 謝りながら私に抱き着いてくるオード。


 何故? ……寒かったから、いいんだけど。


「我が輩はヴノ・ツー・グリフォール。魔物の身ではあるが、マグニゲイル魔帝国の皇帝だ」

「アタシは『侵犯の塔』のミャオッス」

「……リヴィです。」

「フェイデス」

「『侵犯の塔』とはなんだ?」

「クランの名前ッスよ」

「ほほう。娘らは冒険者なのか」

「そうッス」

「カカカ。我が輩に向かって来るわけだ」

「生きた心地がしなかったデスけど」

 

 先ほどの光景を思い出しているのか、フェイは体を震わせる。


「そう言えば、娘らがアザレアの手紙を持ってきたと聞いたが?」

「はい! これッス」


 ミャオが魔法鞄から一枚の手紙を取り出すと、ヴノは器用に前脚で受け取り、嘴を使ってペリペリと封をはがしていく。

 ヴノは手紙の内容を確認すると、私たちに大きな顔を近づける。


「明後日とは間違いじゃないのか?」

「間違いないッス」

「本気で()()()も三日はかかるぞ?」


 いいな。

 <飛行(フライ)>のスキルを持ってるんだ。

 私も空を飛んでみたいな。


 亜人や魔人の中には羽の生えた種族は居るみたいだけど、何故か<飛行>のスキルを持っていない限り自由に空を飛ぶことができないと聞いた事がある。

 その理由は本にも書かれていなかった。


 タスクさんに聞いたらわかるかな? もしかしたら<火属性魔法>みたいにスクロールで<飛行>も覚えられたりして……ふふっ、まさかね。


「転移スクロールを預かって来てるッスよ」

「ほほう。珍しいな。アザレアの物ではないだろう? 娘らの持ち物か?」

「いや、タスクさんのッス」

「タスク? どこかで聞いた事のある名だな」

「アタシたちが所属する『侵犯の塔』のマスターッス」

「うーむ……。どうやら、人違いのようだ。そのような名のクランではなかったな」


 ヴノの言葉を聞いた瞬間、背筋が凍り付くような感覚に襲われる。

 それと同時に、私は無意識にその言葉を発してしまっていた。


「……『流レ星』」

「そうだ! 『流レ星』のタスク! それならば聞いた事があるぞ!」


 ――絶句した。

 私の中にあった疑念が確信に近付く。



 タスクさんに聞いてみよう。



読んで頂き誠にありがとうございますorz


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毎日一話ずつですが更新します!

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