78 ベヒーモスの思考
何体目かの異界の者を倒し、一息吐く。
既に異界に来てかなりの時間が経った…。
異界と元の世界とでは時間の流れが違うとはいえ…、滞在期間を超過しないように気を使う…。
異界の者は耐久力が高く、身体を縮めた俺達では最低でも二回攻撃を叩き込まなければならない…。
だからこそ鍛練になるとも言えるが…、流石にそろそろ飽いてきた…。
兆を超えたあたりから数えるのが億劫になったが…、どれだけ倒しただろうか…。
……死体も残らないから今更数えることも無理だな…。
身体は無意識と反射で動かしつつ、昔の記憶を想起する…。
俺らの使役者と出会う前は、唯々在るだけだった…。
何故在るのか…。
何故居るのか…。
その理由も意味も…、何一つ気づくことはなかった…。
そうして何一つ為さず…、時の流れるまま唯在り続けた…。
そんなある時…、俺らの使役者と出会った…。
その存在を認識した時…、俺達はほんの少し動きを止めた…。
その存在を畏れて服従しようとする身体と…、即座に攻撃を叩き込もうとする何かの意思とで身体のコントロールが狂い…、ほんの僅かな隙を生んだ…。
その僅かな隙の間に…、俺達はマスターに屈服させられていた…。
マスターの眷属となり様々な物事を見て知識を蓄えた結果…、嘗ての俺らが何であったのかを理解するに至った…。
なればこそ…、マスターも引き返すことはできないのだろう…。
俺達を屈服させた時点で…、マスターは来るべき時を阻止することは避けられないことであった…。
導火線が着火してしまった以上…、最早爆発は避けられない…。
爆発が止められないならば…、爆発による被害が出る前に処理するしかない…。
マスター側に就いた以上…、俺達も来るべき時を阻止しなくてはならない…。
既に俺達も異物になっているだろう…。
であるならば躊躇う理由はない…。
俺らの使役者が望むのならば…。
例え相手が……俺達を創造したモノであろうと…。




