40 Side.原初の覇王 2
「無事に完了いたしました、父様」
『ご苦労だったね…、ディオン…。 ルキウスにも言ったが…、暫くはゆっくりしているといい…』
ルキウスに続き…、ディオンに頼んでいた仕事も終わったようだ…。
今の所…、予定通りに事が進んでいる…。
初めてそれを認識した日から…、それは変わることがない…。
来るべき時は…、刻一刻と迫ってきている…。
あの頃から少しも変わることはなく…、ただ時を刻み続ける…。
早まることもなく…、遅れることもなく…、確かな時を刻みながら…。
(私にできるのは…、備えることのみ……)
定められた歴史を知ることが出来る故に…、それに書かれていないことを知ることはできない…。
来るべき時以降の定められた歴史は…、完全な白紙となっている…。
恐らくは…、その時が来ると…、世界は消え去るのだろう…。
ここだけでなく…、無数とも言える全ての世界が一つ残らず消失するのだ…。
必ず阻止しなければならない…。
私がこの力を手にしたのも…、原初の覇王になったのも…、来るべき時を阻止し…、乗り越えるためだろうから…。
『残るは…、アイオーンに頼んでいることだけだね…。 其れさえ済めば…、後は待ち構えるだけだ…』
「来るべき時を乗り越えれば…、父様の悩みもなくなるのですか…?」
不安そうな顔で…、ディオンがこちらを見てくる…。
相変わらず心配性なようだ…。
『私が原初の覇王となる前より続いていた心配事が…、無くなるという意味ではその通りだね…』
「なら…! その時は父様と皆で一緒に慰労会をやりましょう!」
『慰労会か…。 …うん…、全てが終わったら…、それもいいね…』
皆には苦労を掛け通しだ…。
私の自己満足に…、永いこと付き合わせ続けてしまっている…。
来るべき時が人の世の終わりであり始まりならば…、私は何もしないべきなのだろう…。
既にここだけならそれを回避する算段は付いている…。
ただ見ているだけで…、定められた歴史の通りに進むのだ…。
だが…、私は原初の覇王だ…。
世界を思いのままにできるだけの力を持って生まれた以上…、私の我儘を通させてもらう…。
(私が嫌だから…、来るべき時を否定させてもらう……)




