196 Side.ジズ 2
「ふむふむ…、体調も大分良くなったかな…」
翼を伸ばし、身体が元の調子に戻っていることを再確認する。
ベヒーモスとレヴィアタンも回復したようだし…、これで通常運営に戻れるかな…。
「……ん?」
異様な気流の乱れ…、この感じは……!?
奴が次元門を開けようとしている…!?
急ぎ我らが使役者に連絡せねば…!
(我らが使役者よ! 緊急事態だ!)
『…どうしたジズ…?』
(次元門出現の前兆を観測した…、奴だ…)
『…!』
(このままでは原初の惑星の各都市の付近に次元門が出現する…!)
『……』
我らが使役者は思案しているのか少しばかり無言の時が過ぎる…。
あまり時間の余裕は無さそうだ…。
…ん? 別の奴の念話か…?
(俺らの使役者! 奴の魔手が…!)
(ベヒーモス! お前も察知したか…)
あいつも地脈を通じて前兆を察知したか…。
(おうジズ! それで、どうする俺らの使役者…?)
『……次元門の出現位置を世界樹の北西側に誘導する…』
北西側は…、確か港も無い場所だったか…。
『ジズはレヴィに念話を送って仔細を伝え、共に北西側で待機…。 ベヒーモスは北西側と城塞の中間地点で待機…。 他の眷属達には私から伝える…』
(了解だ、我らが使役者…)
(了解した、 俺らの使役者)
『……次元門から漏れ出た奴らは全て斃して構わない…。 ……奴の最初の手だ…、心して掛かれ…』
言葉が終わると同時に、念話が切れる…。
「病み上がり早々…、骨が折れそうだな…」
愚痴を零しながら翼を広げ、北西側へ向けて飛び立った…。