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188 ???の覚醒
それは今も胎動していた…。
変わらず苛立ちのようなものを感じながらも、それは在り続けた…。
それが…、今まさに変化しようとしていた…。
いや…、変化という言葉は間違いだろう…。
それは進化…と呼ぶのが適切であろうか…。
あるいは元に戻ろうとしていると呼ぶのがいいのだろうか…。
どちらにしても変革の時が来たのは間違いないだろう…。
それは人の形へと成形されてゆく…。
今まで無かった存在感が…、実体が…、誕生してゆく…。
そうして30秒も経たぬ間に…、黒い人型が誕生した…。
黒い人型は両手を前に突き出し、感触を確かめるかのように掌を握っては開くのを繰り返す。
首を回す…、肩を回す…、手首を回す…、全身を確かめるかのように…、解すかのように…、身体のあちこちを繰り返し動かす…。
一通り終わった後…、黒い人型は徐に立ち上がり、歩き出す…。
先の判らぬ暗闇へと…、弧を描く笑みを浮かべながら…。