184 Side.連合国密偵
一体何がどうなっているんだ…?
いきなり光に包まれて…、そして気が付いてみれば…王国首都が地獄と化していた…。
薄暗い路地裏からでも煙が立ち上っているのが見える…、アレは確か広場の方じゃ…。
それに空が赤い…、その赤い空を多数の白と黒の影が飛び交っている…。
嘗て図書館の書物で見たことがある…、黒い影が「悪魔」で白い影が「天使」…だったか…。
だが彼らは遥か昔に地上からは姿を消したはずだ…、いるはずがない…。
けれど路地の隙間から見える表通りでは、黒い影が人々を串刺しにし…、白い影が人々の首を切り落としていく…。
目の前に広がる惨状が…、これが現実だと叩きつけてくる…。
(とにかく国に戻って…この惨状を国に伝えないと…)
そう決心して踵を返すと…、黒い影が此方を見て嗤っていた…。
「ヒッ…」
それを見て悲鳴を漏らして後退りをすれば…、白い影が肩に手を置き動きを留める…。
「あっ…あぁっ…」
嫌に冷静な自分の脳が、自分の死を確信していた…。
そうして自分は悪魔に三又の槍で串刺しにされ、天使に両刃の剣で首を落とされ、意識が闇へと消えた…。




