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182 Side.???
広さが判らない暗闇の空間に、宙に浮く画面のようなものを見つめる人影があった…。
「良し! 上手くいった!」
声を上げるその人影の表情は、無邪気な喜びと達成感に満ちていた…。
「いやー、異なる分岐同士を混ぜ合わせるのは思ったよりも大変だったなぁ…。
それぞれ異なる状況を作り出して、それを人間達に入れ替えさせるのも大変だった…。
一体何度やり直したことか…、だけどその苦労も漸く報われた! やったぜ!」
垂れ流される言葉に悪意は在らず、まるで積木で豪華な城を作り上げたかの如くの言いようであった…。
「さぁて後は…、どうしようかなぁ…。 結果はどうでもいいし…、このまま決着まで待つのも暇だしなぁ…。 うん、滅びまで加速させてもう一回最初からやり直すかな」
そう言うと、徐に宙に浮く画面を弄り始める…。
「次はどの状態から始めようかなぁ…。 いっそ種族自体を増やしてみるか…? 人間は多様性があるけどそれだけだしなぁ…」
ブツブツと呟きながら宙に浮く画面を夢中で弄り倒す…。
その背後へと迫り来る翼の生えた犬に気づかぬまま…。