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173 骨萎び溶ける
紅く紅く染まりゆく…。
人物文明呑みこまれ、大地が等しく紅となる…。
広く広く広がりゆく、谷超え海超え広がりゆく…。
人々は其れに気が付いた、紅は山を越えないと…。
高き山に人が集う、我先にと次々集う…。
先に住みて助かる者、到達出来て助かる者…。
追い落とされて死ぬる者、登り切れずに死ぬる者…。
意図しておらずも選別なりて、紅は次々と呑み下す…。
別大陸をも紅く染め、世界をどんどん呑み下す…。
世界を大凡呑み下し、残るは大陸たった一つ…。
残りし大陸に及ぶ刹那、紅の侵蝕がピタリと止む…。
突如止まった滅びの紅、引潮の如く干上がりゆく…。
紅の泉に吸い込まれ、次々続々干上がりゆく…。
唐突に溢れた滅びの紅、その始まりと同様に、唐突に終わりを告げ消えゆく…。
世界から紅が引き消える、全てが泉に引き消える…。
こうして唐突な滅びの騒ぎは、唐突な終わりを持って終幕した…。