172 肉飛び弾ける
其の始まりは近くの寒村…。
紅き泉を監視するため、作られてから時が過ぎ去り…。
既に理由も定かでなく、ただ漠然と在り続けた…。
森が見える位置にあり、森の側に無かった故に…。
誰一人として気づかない、溢れ出るまで気づけない…。
森が見える位置にあり、森の側で無かった故に…。
溢れ出て村に到達するまで、都市に馬を走らせられた…。
故にその寒村の末路は、語らずとも自明の理だろう…。
既に寒村は役目を果たした…。
都市に知らせる役目を果たした…。
故に役目を終えた演者には、早々に舞台から降りていただく…。
しかし都市に知らせが届けど、それを用いるは愚かな王…。
齎される事実を馬耳東風、無駄な時を過ごし行く…。
危機感覚えたるは時の宰相…。
他国と情報を共有し、事の対処を願い奉る…。
どうか恙無く終わってくれと、どうか災禍なく終わってくれと…。
だがその願いは叶わない、どう足掻こうと叶わない…。
これから起きる惨劇は、運命に決められた地獄なり…。
人がどれほど騒ごうと、人がどれほど努力しようと…。
運命は決して覆らない、結果は決して変わらない…。
運命に決められた物事を、人は決して覆せないのだから…。