165 Side.エクスタシス 7
「相変わらず気に喰わないったらないわ…」
「貴方も変わらないわねぇ…」
目の前で愚痴を零すチルブリアちゃんに返事をしつつお茶を飲む。
相も変わらずアグニルちゃんとは反りが合わないみたいねぇ…。
まぁ二人が仲良くしてるのはそれはそれで気持ちが悪いけれど…。
「それにしても珍しいわねぇ…」
「何がかしら?」
何がって…、そりゃあねぇ…。
「貴方が私とこうしてテーブルを囲んでることよぉ…」
「…!」
私が誘ったこととはいえ…、今まで受けたことなんてなかったのに…。
それに何より…この子は私を警戒し、敵視してすらいるはず…。
我が主様の眷属は皆が皆…、我が主様に求められて眷属となった者達…。
その唯一の例外である…、自ら進んで眷属となった私を除いて…ね…。
私以外の眷属達は皆…、我が主様に眷属になるかを問われ、それに同意した者達…。
例えそれ以外に選択肢が無かったとしても…、選択する権利を我が主様は与えてくれた…。
けれど私は…、選ぶかを問われる前に自らこの身を奉げた…。
一目見た時から…、それ以外のことは考えられなかったから…。
基本的に眷属達は皆、お互いが眷属になった経緯を知っている…。
故に私が自ら進んで眷属になったことも周知の事実…。
だからこそ親しくなった者もいるけれど…、だからこそ親しくなれなかった者もいる…。
彼女はその後者…、故に珍しいと言わざるを得ない…。
「何か用でもあるのかしらぁ…?」
「……」
彼女が話すまで黙したまま待つこと数秒…。
「…何を企んでいるのかしら…」
「……あらぁ…? 何を言って───」
「惚けないで頂戴…」
「!」
「久しぶりに帰ってきて…、暫く直接会ってなかったから変わったのだと思ってた…」
「…」
「けれどやはりおかしいわ…」
「……」
「貴女…、何を抱え込んでるの…?」
「…!」
この子…、
「私は幽霊…、肉体を持つものよりも魂の変化を感じ取るのは容易いのよ…。 だからこそ貴女の魂に内包されているそれに気づいた…」
やはり見えてる…!
「最初に変わっただけだと思ったのは…、抱え込んでいるそれが貴女と似た性質を持っていたから…。 けれどだからこそありえない…、類似ということは同一では無いということ…」
やはり…、彼女が最も…!
「貴女一体…、何 を 持 ち 込 ん だ の か し ら …。」
……隠し通すのは無理そうねぇ…。